dragonerさんが、当ブログに言及しています。
「戦車不要論者って、軍隊不要論を否定できます? 」
その内容は、後で言及するとして、dragonerさんが指摘するように、戦車不要論(とされてしまう論説)は、記事としてとっても人気があります。
当ブログの過去記事でも、「H25概算要求-その5_10式戦車はせいぜい3両でOK」や「戦車増強論者に提示する5つの命題」は、安定したアクセスのある記事です。
非常に炎上し易いネタですが、それが何故なのか、常々考えていることを書いてみたいと思います。
戦車不要論については、論客らしい論客がいらっしゃらないようです。
「<求む情報>戦車無用論の歴史について」
それなのに、この戦車不要論があり続ける理由は、やはり対立する次の二つの状況のせいでしょう。
①陸幕をはじめ、戦車を重用する方がいる。
②dragonerさんも指摘する、島国という特性がある。(特殊性とは言わない)
ヨーロッパでは、ソ連崩壊までは、戦車不要論と呼ばれるべきものはなかったと思います。
それは島国という特性がないからでしょう。
イギリスは島国ですが、あくまでドイツ正面でNATOの一員として戦うつもりでしたから、これは別です。
が、ソ連崩壊後、イギリスでも戦車不要論が唱えられるようになりました。
実際、イギリスは、少なくとも国産は止めるようです。
島国であることによる特性を否定する方は、恐らくいらっしゃらないと思います。(敢えて考えないようにしている方は多いですが……)
なので、私が思うに、日本の戦車論に関して、問題なのは、戦車を重用する考え方が、何故か非常に強いということだと思います。
それは何故か?
いくつか考えられるので、適当に列挙してみます。
・歴史的な観点で、日本が戦争に負けた理由の一つに、九七式中戦車を始め、戦車が弱かったから戦争に負けたと思っている人が多い。
・形状、特性などから”強さ”を象徴する兵器だから。(性的な類似性を指摘する方もいる)
・コストを無視して、強さだけを考える傾向があるから。
・少数でも戦える無敵(防御力)が好き。
・清々堂々と正面から戦う兵器だから。
日本人に顕著なのは、特に後半の二つのように思います。
つまり、日本人の精神性に親和性が高いということです。
同じ傾向は、イージス艦や戦艦好きにも通じているように思いますし、逆に潜水艦やステルスが、その効果に比して今一人気がない事にも通じているのではないでしょうか。
(潜水艦が不人気なのは、その形にもあるような気がしますが……)
歴史の話題を見ても、日本人は、一騎打ちとか単機駆けとか好きな傾向があります。
ガールズパンツァーは見ていませんが、あんなアニメが作られるのも、日本人が非常に戦車好きだからでしょう。
私なんかは、卑怯が最強と思っているので、日本人としては少数派なんでしょうね。
さて、一応主題を述べたところで、冒頭のdragonerさんの記事に触れたいと思います。
一応断っておくと、私は、ある程度の性能の戦車が少数で良いと考えており、戦車不要論者ではないつもりですが、戦車の削減を唱えると戦車不要論とされるようです。
戦車不要論って、(中略)軍事オタクにとっての通過儀礼の一つ
私から見れば、戦車好きこそ、軍事オタクならぬ兵器オタクの端緒であって、そこからステップアップして、始めて軍事オタクになれるのでしょうから、戦車好きこそ通過儀礼の一つのような気がします。(軍事オタクからもステップアップするべきだと思いますが)
正直な話、10年以上前に2ch軍事板でさんざ戦車不要論は議論されていて、この手の戦車不要論見かけたら、2chのログ探って来いとしか言い様がない。
以前にも書きましたが、ネット限定で言っても、10年前どころか20年前のニフティサーブのFDRでも戦車不要論は語られてました。
古ければ(歴史があれば)良いというモノでもありませんが。
2ch至上主義なんでしょうか。
戦車不要論の論拠である、海空戦力が壊滅した(そんなものが生起するかはさておき)段階で、日本の戦争意思継続は困難になるという前提。これは政治経済上の問題、具体的には海上封鎖と、想定される本土決戦の大被害で、日本の戦争継続意思が困難と見る考え方だ。
で、この論拠を元にして戦車不要論を述べる人って、「軍隊そのもの不要だから、自衛隊解体しようぜ!」という主張に当然賛同しますよね? 論理的に。
この部分、どんな論理でも、そんな論理展開は不可能でしょう。
同じロジックで陸自不要とまで言う人は居ますが、私はそれに与するつもりはありません。
ちなみに、以前の記事を見て頂くと分かりますが、私は陸自全体に関してはむしろ増強論者です。ただし普通科増強ですが。
それは、過去に陸自に「空自の基地警備に割ける余裕はない」と言われた事を、根に持って、ではなく、懸念しているからです。
何にせよ、戦車不要論については、自民党が防衛計画の大綱を改訂する年末には、また話題になりそうです。
追伸:ニコニコ超会議もですが、戦車は広報としては強力ですね。