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高債務国の経済は低成長か?

というラインハートとロゴフの研究の一部が誤りであったということでちょっと話題になっている。国家は破綻する――金融危機の800年画像を見るという本にもその内容がありGDPに対する債務比率が90%を超える国家の経済成長はマイナス0.2%しかないというもの。

だが、最近その研究結果が統計の扱い方の間違いGDP対比の債務比率が90%を超える国家の経済成長率は2.2%であるという内容が発表されこれが大いに話題になっているというわけだ。アメリカでも日本でも国家による経済への介入を好む人たちや景気が悪いから財政出動を叫ぶような人たちが喜び勇んでいるというわけだ。

まあ、そもそも債務の水準自体がどの程度経済成長に影響を与えるかというのは微妙な話だ。僕自身は直接の因果関係はあまりないと思う。確かに債務水準が高ければ将来に対する不安は高まるだろう。だが、債務水準が高くても経済が成長していればあまり気にならない可能性もある。

重要なことは債務水準がそのような高いレベルにまで来てしまう国の多くは財政支出が多すぎて民間の経済活動がクラウディングアウトされていたり、経済の新陳代謝がうまく状態になっていたり、利権などが多すぎて政治がうまく機能しなくなっている可能性が高いということだろう。その一つの表れが債務水準なのだと僕は思っている。

仮に現在の債務水準が高くても政府がしっかりと改革を行い民間がそれを信頼すれば特に問題はないはずだからだ。

ただし、現実には上述のように過去の問題から債務水準が高くなってしまった政府は問題を多く抱えているので経済成長をうまく促せないようになっているというのが普通の考えだろう。

では2.2%という経済成長はそれほど立派なのだろうか?マンキューのブログにこんなグラフが出ていた。

リンク先を見る
Stevenson-Wolfers on Reinhart-Rogoff経由Refereeing Reinhart-Rogoff Debateより)

左端が間違っているとされるラインハートとロゴフの研究結果。左から3番目がその誤りを指摘して正しく計算した結果だが、それでもやはり90%以上を超える債務を抱える国の経済成長は低い。

また右から2番目の1790年から2009年まで(左三つは戦後の例)をとってみてもやはり90%を超える重債務国の経済成長は低い。

一部の人が大喜びするような経済の低迷は起きていないが、同時に一部の人が手をたたいて喜ぶことができないくらい重債務国の経済のパフォーマンスはやはり低い。そして重要なのはおそらく債務と経済成長に明白な因果関係があるわけではない点だ。ただし経済活動への政府の介入や財政出動を好むような国は往々にして経済は低成長だしその結果として重債務に陥りやすいというだけの話だと僕は思う。


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国家は破綻する――金融危機の800年画像を見る

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