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TPPに反対する国民会議「米国におけるTPPに関する実情調査団」報告

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以下、概要をまとめました。

Ⅰ.訪米でわかったこと

 今回の訪米では3日間の間に、USTRのカトラー代表補、上下院合わせて19人の議員の事務所、4つの業界団体、NGOと意見交換を行い、上院財政委員会のTPPに関する公聴会の傍聴や日米それぞれのメディアに対するブリーフィングも行った。佐々江大使をはじめとする在ワシントンDC大使館の方々、現地在住のMariko Terasakiさんにも全面的にご協力をいただいた。まさに我々の訪米中に、USTRが議会に日本の交渉参加を通知したり、TPP交渉をリードしてきた民主党大物議員のボーカス上院財政委員長が次期上院選不出馬を表明したりと、エポックメーキングな滞在となった。また、残念ながら邦字紙にはほとんど報じられなかったが、ワシントンポスト紙が4月25日に私たちの一行を大きく報道してくれた。これは、安倍訪米時の記事よりも大きい報道ぶりとのこと。彼此のメディアの質の差を改めて思い知った。

これらの意見交換等を通じて私たちが認識した主な点は、以下のとおりである。

1.日本の交渉参加に関する日米の認識の差

・今回の日本の参加表明は、とりわけ農業分野において日本が市場開放を決断したものと受け止められていた。これはTPP交渉を推進している農業関係議員、アメリカンファームビューロー連盟などの共通した認識であり、上院公聴会でも様々な議員、関係者から農産物の輸出拡大への期待感が表明された。

・一方、我が国が与党自民党や衆参両院の委員会で重要5品目の関税撤廃の除外を求める決議が出ていることは誰も知らなかった。我々が英訳した文章を手渡したところ「こんな資料が出ているとは知らなかった。早速USTRに確認なければ」とTPP推進派のグラッスリー上院議員のヒル補佐官が血相を変えるなど、TPPをめぐる日本国内の政治状況が簡単なものではないことを改めて知って、日本の交渉参加の難しさを実感した関係者が多かった。

2.センシティビティの取り扱い~関税撤廃の例外はコメも含め一切認められない

・安倍総理とオバマ大統領が共同声明で出した日本の農産物のセンシティビティの取り扱いについても、山田元農水相がUSTRのカトラー代表補にコメを例に出して問い詰めたところ、センシティビティの取り扱いについては「除外ではなく、長期間の段階的撤廃やセーフガードの設定が考えられる」とし、山田元農水相が「例外は結果としてないと言っていいのか」とダメ押ししたところ「そのとおり」と答えている。

・キャンプ下院歳入委員長のエラード首席補佐官も「TPP交渉では初めから例外は設けないし、交渉の中でも例外はない。センシティビティ品目を(関税撤廃に向けて)どう取り扱うかは、今後の議論次第だ」と言っており、センシティビティとは例外ではなく関税撤廃に向けた道筋を他の品目とは別の形にすることであるとの認識を示した。米国はセンシティビティである自動車関税ですら関税撤廃の例外にしていないのだから、日本が同様なのは当然ということであった。「TPPに関税撤廃の例外なし」は、米国政府・議会双方の共通認識であろう。

3.強硬な米国自動車関係者

・一方、日米事前協議での自動車分野での取り扱いについて、米国の関係者は一様に強硬な不満を表明していた。全米自動車評議会(AAPC)のブラント会長は、日米事前協議での「関税撤廃期間の長期化は自分たちが望んだものではないし、米国政府に頼んだわけでもない。日本の自動車市場の障壁解消は自由貿易では対処できない。米韓FTAも先例にならない。TPPは既存の参加国だけでまとめるべきで、日本の参加には反対だ。USTRに交渉条件についての意見を言うことすら生産的ではない」と取り付く島もなかった。

・ミシガン州選出レビン下院歳入委員会筆頭理事のキブリア補佐官は「米国の輸入車の関税は2.5%しかなく米国の工業製品にセンシティビティはない。オープンにすべきは日本の市場である。日本の農産品と自動車の市場の開放が確保されるまでは、米国の自動車関税を撤廃すべきではない」と主張し、オハイオ州選出ブラウン上院議員のスレビン補佐官は、自動車貿易TORで結ばれた輸入自動車特別取扱制度(PHP)についても「米国の自動車業界にとっては一見よく聞こえるが、実際には2000年の台数にも達しておらず効果はない。事前交渉の結果だけではTPPを支持することはできない」として、実際に上院の公聴会でもブラウン議員は自動車産業への影響を懸念して吼えていた。

4.USTRと一体となったインナーサークルの存在

・グラッスリー上院議員のヒル補佐官が図らずも漏らしたように、セキュリティー・クリアランスを通過した議員やそのスタッフには、交渉中の協定ドラフトを閲覧する権限が与えられているようである。何人かの議員のスタッフは、協定ドラフトの一部のみ入手しているとコメントしていた。

一方、まったくドラフトを見ていないという議員のスタッフも多くみられた。上院公聴会でTPP交渉熱烈推進の意見陳述を行ったGE社の副社長バハティア氏は元USTR代表補だ。貿易問題での上下院キーとなる議員や推進派の産業界、USTRは言っていることがほぼ同じであり、これらの少数によるインナーサークルが存在し、お互いに交渉中の情報を共有しながら、共通した戦略を持って一体となってTPP交渉に臨んでいる姿が垣間見えた。

5.TPAの問題は政局論

・我が国の一部にはTPA(大統領貿易促進権限)が失効していることをもってオバマ大統領にTPPに関する交渉権限がないと主張する論調があるが、米国憲法上TPAの存在に関わらず大統領には交渉を開始する制限はあり、むしろTPAの有無は最終的に合意された協定案に議会が変更を加えることができるかどうかの問題である、ということである。推進派の議員にとっては民主党、共和党に関わらず超党派でTPAを可能な限り速やかに大統領に付与するプロセスを進めようとする機運があるが、慎重派の議員にとってはTPAがないことを交渉での安易な妥協をさせない取引材料としようとしているように見受けられた。

・いずれにしても、この問題は今年の後半の大統領対議会の権力争いの一つのタマとなることであろうが、我が国にとっては逆にTPAがないことが米国政府が我が国に強硬な主張を押し通していく材料の一つとなるに違いない。

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