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海洋基本計画 独自資源の開発を急げ

経済支える新たな柱に育成を

海は日本にとって産業振興、資源確保上の要衝だ。

政府は今後5年間の海洋政策の指針とする「海洋基本計画」を閣議決定した。基本計画は、2007年に成立した海洋基本法に基づき、5年ごとに見直される。

この5年間で日本の風景は大きく様変わりした。先の東日本大震災以降、原子力発電の停止で火力発電がフル稼働状態にある。燃料の液化天然ガス(LNG)の輸入が急増し、発電コストは高騰、利用者の料金値上げに跳ね返っている。

日本は独自の資源が乏しい国と長年思われ続けてきた。しかし、近年、その定説が覆りつつある。

海底探査技術の発達により日本の海域で、天然ガスの主成分を含んだメタンハイドレートの存在が確認された。実に国内の天然ガス消費量約100年分だ。商業利用できれば先行き不透明なエネルギー問題打開の切り札になると期待されている。

新たに決定した基本計画は、2023年から28年の間に民間主導の商業化を実現するため、国による技術開発の後押しを初めて明記した。

3月中旬、愛知県の渥美半島沖で、メタンハイドレートの試験採取が成功を収めた。世界初の快挙だ。早期商業化は決して高いハードルではないだろう。

今回の基本計画は、スマートフォン(多機能携帯電話)やハイブリッド車など高付加価値製品に不可欠なレアアース(希土類)の埋蔵量を今後3年間程度かけて調査した上で、技術開発の研究を行うことも示した。

南鳥島近海には「レアアース泥」と呼ばれる泥状の超巨大鉱床が確認されている。

陸上で産出されるレアアースは、世界的に供給が安定していない。国内での事業化は市場の価格安定化に貢献し、新産業の創出も期待できる。

レアアース泥の採掘に関して、克服すべき課題は判明している。採掘は大手民間企業も興味を示すが、商業的に使える技術の確立に掛かる開発費用が大きすぎて、二の足を踏んでいる状況だ。

レアアース泥の開発が実現すれば、関連市場での売り上げで、採掘船一隻当たり年間約700億円もの収入が見込めるとの試算もある。

メタンハイドレート市場も世界的に拡大しており、今後の日本経済を担う新たな柱に育つ可能性は十分ある。

民間の開発負担の軽減を図る意味でも、政府主導で安定的かつ経済的に採掘できる技術の確立を急ぐべきだ。

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