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原口一博氏の政治家までの道と政治家としての道 2013年3月13日原口一博氏講義

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ファシズムが生じる理由

軍部に引っ張られ、ものが言えない状況をつくったファシズムは、なぜ生じたか。ファシズムは、不満によりエネルギーが増す。この不満のもとは格差である。その格差は、遠い人との格差ではなく、身近な人との格差だ。例えば、被災地でもそうしたことが生じている。この負のエネルギーが熱狂になったのがファシズムである。人々が絆で結ばれている時は、ファシズムは生じない。

民主党主権時代にやり残したこと ~ファウンテンモデルの提唱~

小泉氏の構造改革は、強いものをより強くするトリプルダウンモデルであり、一部の大企業の業績や大都市の経済が向上することで、その富が関係会社や近郊都市にも波及するというものである。独占や格差が生じるため、経済学でも過ぎ去ったモデルと言われている。一方で、原口氏はファウンテン(泉)モデルを提唱している。これは、地域の自給、きずな、人としての豊かさである創富力を地域単位で分散自立型で実現していこうというものである。

民主党主権時代にやり残したこと ~チャレンジドをタックスペイヤーに~

税金を支払うことは義務だけでなく権利である。障害者というのではなく、チャレンジドピープルだ。このチャレンジドをタックスペイヤーにしたいと原口氏は考えている。(J.F.ケネディの公約でもあった)

例えば、原口氏の友人で、体が不自由で目だけが動く人がいる。彼は、目しか動かないのにカウンセラーをしている。そして、「できない事が問題なのではなく、できる事が大切なのだ」と言っていた。「カウンセラーで初めて給料をもらったと」と言っていた。原口氏は自身の名刺に押し花をつけていて、1枚配れば、この友人の施設に50円寄付されるようになっている。

原口氏は、消費者保護基本法を改正し、消費者基本法を作った。何故なら本来は、消費者が権利の主体であるのに、保護の客体となっていた為である。これは、保護の主体を曖昧な状態にする。このように主体が曖昧になったときには政治は異常な状態となる。

民主党主権時代にやり残したこと ~メディアのクロスオーナーシップ規制~

ひとつの資本が複数のメディアを持つと、物が言えなくなる。従って、これを規制するクロスオーナーシップ規制を設けようとしていたが、政権が代わり、これが法案から抜かれてしまった。

人間の尊厳と社会のきずなのための7つの改革 ~言論の砦~

正しい情報を配る。正しい情報を知ってこそ、国民は正しい判断ができる。以前は内側に閉じていた政務三役会議をフルオープンにした。これは情報公開だけに留まらず、議事録としても役に立った。例えば、未来の学校を仕分けるという話が出た際、事業仕分けといえども、パートナーなどのあるものは仕分けてはならないと、既に政府三役会議で決めていた。従い、元大臣が政務三役会議の議事録の提出を要望したが、官僚に隠されてしまった。あるはずの議事録は結局出てこなかった。しかし、先述の政務3役会議の映像により記録が見つかったのである。

人間の尊厳と社会のきずなのための7つの改革 ~人間の安全保障~

これは教育で世界を平和にするという考え方である。例えば、ベナンでは、教育を受けられないことが、格差を呼び、テロの連鎖に繋がっている。従い、もし何かを行うなら、教育の可能性を考慮し、教育の視点、お互いを高める視点を入れるべきである。その中にいる人がその理念や戦略を学ばなければ、そのシステムは機能しないからである。またこの教育を変える為には、政党も替わる必要がある。教育政権が変わることによって今までの過ちを改めることができる。民主党は、教育と人権の政党であり、自民党のほかのもう一つの政権政党である。自民党は、自らで自身の過ちは改められない。例えば、あの福島の原発事故がなぜ起きたのかの追及について、なかなか証拠が出てこなかった。国会の事故調査委員会は、津波だけでなく地震によっても起きたのではないかと主張する一方、政府の事故調査委員会は、津波によると主張していた。行政と国会が異なる意見になっているのである。この原因は、事故は記録される装置があるが、その紙がつまっていて記録されていないとの主張であった。

人間の尊厳と社会のきずなのための7つの改革 ~未来の学校~

ICTを使い子供達が教えあい学びある共同教育を推進する。1:Nではなく、N:Nで互いに教えあうこと。電子黒板等を使うのは単なる道具として使用する。N:Nでの学び合いを推進する理由は、どんな天才でも1人でNASAのサバイバル課題に取組むと生存率は低くなるからである。
一方で、3人で取組めば生存率は70%まであがる。福島第一原発事故でも、このような課題解決型の思考が必要であった。
また、1人で覚えられる数は7つ前後に過ぎない。従い、人間という生き物の特性は、そもそもお互いが教えあい、支えあうことであるのだ。もし、1つの答えしかないと教えられたら、人はどうなるか。この場合、人は協同よりも排他的となる。なぜなら、上に行くために人を蹴落とす必要があるからである。夕方に帰って読み聞かせをし、そして競争力も世界一である北欧のような協同社会を原口氏は目指している。

人間の尊厳と社会のきずなのための7つの改革 ~地域主権改革

憲法には、「主権は国民に存す」とある。自らの地域の基礎をつくることなくして、国はつくれない。現在、自治体には増減税する権利がない。政治は税であり、その税を勝手にされないように議会がある。自身で税を集められず、借金をすることも出来ないようでは自治体とは言えない。現在、中央政府がお金を集めているが、その使い道は、道路や天下りに使われている。また、名古屋市の河村市長が掲げた減税も、総務大臣と財務大臣の印鑑が必要である。だから、国会は財源や増税にかかる議論も行う一方で、自治体の議会では予算をどう使うかに終始し、財源は国からもぎ取るというものになる。これでは財政が拡散するばかりである。

原口氏は、これを依存と分配の政治と呼んでおり、こうなれば、誰も価値を生み出さない状態となると考えている。そして、これを変えるのが地域主権改革と原口氏は考えており、枠付け、義務付けの廃止を行った。地方議会の議員になるなら、自分で条例を作るべきであり、国まかせにしていては成長出来ない。

よく、地域主権改革をやれば私の地域はよくなるか?と聞かれることがあるが、分からないというのが原口氏の見解である。永田町や霞ヶ関に閉じた中でつくった政策はたいてい実らない。外部の人材を入れて議論する必要がある。

人間の尊厳と社会のきずなのための7つの改革 ~光の道改革~

光の道(超高速ブロードバンドサービス)実現を実施してきた。
総務大臣時代、すべての世帯が光の道を利用できる環境にしようとしてきた。昨年、東京で電波の道が混んで動かなくなったことがあり、一度動かなくなると復旧に時間がかかるからである。
また、こういったICTに我々は電力の1%を使っている。これは今後級数的に広がっていくと見られる。ICTの電力を01の二進法ではなく、脳のように曖昧なものを曖昧なまま処理すれば消費エネルギーが小さく強固である。従って、超低エネルギーで強固な脳研究も実施している。

人間の尊厳と社会のきずなのための7つの改革 ~緑の分権改革~

エネルギーは権力である。

昔、太陽エネルギーを固定化して、人類が使えるようにできたのは、植物だけであった。例えば、エジプトのファラオは、その穀類を独占して権力を掌握した。日本の大名の石高も1年間の農耕により集めたエネルギーである。ペリーが持っていた石炭についても、過去の太陽エネルギー閉じ込めたタイムカプセルである。従って、同様に過去のエネルギーを閉じ込めた石油などを有するものは権力・富を握るのである。

しかし、これは持続可能ではない。金融についても同様の事がいえる。世界大恐慌、サブプライムローン、リーマンショックは、金融という記号が一人歩きし、本来の価値よりも価値が広がって持続可能でなくなり、最後にはじけてしまったのである。このサイクルはだんだん早くなってきており、今は3年に1回起こっている。現在のアベノミクスは、中央銀行のB/Sを大きくし、財政支出をすることで広がった価値の尻拭いをしようとしている。比例するように財政赤字も大きくなる。ヨーロッパ諸国、米国の財政赤字も同様である。この状況を続けるなら、いつか危機が発散するだけである。これらを防ぐ為にも、エネルギーを大規模・独占・集中でやるのではなく、分散・共同・小規模へのエネルギー大革命を起こそうとしている。これは、権力、金融を分散・共同・小規模化する為の大革命と言っても良い。

太陽光パネルの開発も進むが、これは単に環境を変えようというのではなく、記号、社会、未来を変えていこうということである。遠くまで行ってむさぼる仕組みから、近くで人間を尊重する形へ変えていこうということである。このような視点から、原口氏は緑の分権改革ということを総務大臣時代に提唱した。日本は、カリフォルニアより国土が狭い。しかし、この狭い中に、過疎や限界集落があるのは異常である。東京では価値が高く、他では価値が低いというのは異常である。離島の子ども達は、どんどん島を離れていくがこれは持続可能でない。これは変えるべきである。

宮崎県の東国原知事が、補助金や道路整備の要望に来ていた。宮崎県は、太陽が多く降り注ぐ県なのに、エネルギーに年間5000億円を支払っている。これは宮崎県の1年間の収支に匹敵する。もし、宮崎県内でエネルギーを作ることができ、県内で消費するサイクルができれば差し引き1兆円の効果がある。現在、日本全体では、25兆円のエネルギー支出があるが、エネルギーを奪い合うのではなく、分け合うことが、緑の分権改革である。

震災の1年前に、「自らが学び、自らが支える」教育と組合わせて、緑の分権改革を行った岩手県の遠野市では、実践がベースになり、震災から3時間後に遠野市は支援の拠点となった。遠野市長は「今までのように中央から指示が来ることを待っていたらできなかった。自分達が持っている資源や人材をいかに活用するかを学んでいたからできた」と言っていた。

民主党の政権交代について

民主党が政権を譲ってしまった理由は3つあり、1つ目は、頭(代表:菅、鳩山、小沢)を直撃されたことである。

2つ目は、仲間われや内輪もめが生じたことである。

3つ目は、1と2の結果として、ドラスティックな改革が国民に届かなかったことである。消費増税を行ってしまった結果、マニフェストを守らなかった為に国民から信頼を損ねた。

若い人が政治に向かう為にどうすればよいか

第一に、志を立て、それから志へ向かう為の障壁を無くして行くことである。原口氏の志は、人を人でなくすものと戦うこと。原口氏は、政治家になる為にお金は必要ないと考えている。松下氏に選挙に出る際いくら必要かと言われ、5億円と言ったものの、続いて何に使うのか聞かれて答えられなかった。原口氏は、詳細なプランを作成後、結局500万円を貸りた。

第二に、政策は自分でつくれるようにならなければいけない。政策を発信していれば、自然と人が集まってくる。

政治家になる為の勉強

政治家になる為の勉強は3つあり、一つ目は、世界のトレンドを知ることである。
閉じた世界での勉強では意味が無い。世界の中で自分がどこにいるのかを知るべきである。
二つ目は、歴史を学ぶことである。政治家を志す者は、歴史を学ぶべきである。そして荒ぶるものと戦う。ただしこれは、決して神風特攻隊になれといっているわけではない。日本の伝統(皇室)は刀に血を塗らない、和が信条である。アメリカにおいて、従軍慰安婦はホロコーストと同列に扱われている。もし安倍首相がリビジョニストのレッテルを貼られれば、米国に受け入れられなくなる恐れがある。
三つ目は、日々の学習の癖をつけることである。道路のように何度も通るとそこは太くなる。人間は思った以上に不器用であるから繰返し学習をすべきである。また、ひどいことを言われたら、大きな志で返すこと。恐れに恐れで返すと、火に油を注ぐことになる。

講師:原口一博氏

1959年、佐賀県生まれ。東京大学文学部心理学科科卒業後、松下政経塾(第4期生)に入塾。1987年、佐賀県議会議員選挙に当選。1996年の衆議院議員総選挙に新進党から立候補し、当選。以後、連続当選6回。2009年の鳩山内閣では、総務大臣・内閣府特命担当大臣に就任。その後も衆議院総務委員長の職に就任。2012年9月の民主党代表選挙では出馬した経験も持つ。

(2013年3月13日に開催された、政策議論講義「生活者・地域起点の日本へ」より)

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