記事

北方領土 安倍・プーチン共同声明を読み解く

1/3
安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領が約3時間20分間会談したあと発表した共同声明には、北方領土問題について「双方に受け入れ可能な」解決策作成へ交渉を加速させることが盛り込まれた。

これが何を意味するのか、ロンドンを訪問中のモスクワ国際関係大学のアレクサンダー・ルキン副学長に聞いた。同大学はロシア外務省に属する外交専門家を養成するための学校だ。

「日本が南千島(北方領土)の帰属をまず解決するという立場を離れ、妥協するという原則で合意しない限り領土交渉は始まらない。領土問題で妥協なんかしたら、安倍首相は辞任しなければならなくなる。だから領土交渉は始まらない。これは政治的な話し合いに過ぎないのだよ」

日本では「首脳会談は成功した」という論評も聞かれるが、ルキン副学長はにべもなかった。

「平和条約は領土問題と切り離せばすぐにでも署名できる。しかし、日本側はこれまで平和条約と領土問題を結びつけてきた。領土問題が完全に暗礁に乗り上げているのは日本側の過ちだ。ロシアは妥協する用意があると何度も日本にヒントを送っている」

「2000年に大統領に就任したプーチン氏は、平和条約締結時に2島返還を約束した1956年の日ソ共同宣言に基づいて行動する用意ができているとシグナルを送ってきた。しかし、4島の主権が日本にあることをロシアがまず認めろ、そのあとに交渉だというのが日本の立場だ」

「これはロシアには受け入れることができない。ロシアにはこれを議論する理由がない。これではステイルメイトのままだ。私は日本が先に妥協するという原則でロシア側と合意すべきだと思っている」

こう説明するルキン副学長は、2004年にプーチン大統領と中国の胡錦濤国家主席が合意した中ロ国境協定が参考になると強調した。ルキン副学長によると、中ロ首脳はまず妥協することで合意したあと、特定の領土、条件などについて交渉し、「ヒフティ・ヒフティ」に折半することで合意した。

「2001年に中国とロシアはまず領土問題を解決するというフレームワーク合意に署名した。そして、領土交渉を始めた。最終的に04年に領土問題を解決した」

「中ロ国境は公式に変わったわけではない。しかし実際には変わった。それまでは国境沿いを流れる川の島々をロシアが実効支配していたが、分割した」とルキン副学長は語った。

ノルウェーとの間でロシアがバレンツ海と北極海の大陸棚海域の境界を画定する条約は参考にならないと退けた。

あわせて読みたい

「ロシア」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    橋下氏 任命拒否の教授らに苦言

    橋下徹

  2. 2

    田原氏 野党は安易な反対やめよ

    たかまつなな

  3. 3

    iPhone12かProか...売り場で苦悩

    常見陽平

  4. 4

    コロナ巡るデマ報道を医師が指摘

    名月論

  5. 5

    コロナ禍も国内工場は異常な強さ

    PRESIDENT Online

  6. 6

    学術会議に深入りしない河野大臣

    早川忠孝

  7. 7

    感染リスク高い5つの場面に注意

    赤池 まさあき

  8. 8

    数字を捏造 都構想反対派の欺瞞

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

  9. 9

    トランプ氏 逆転攻撃はほぼ不発

    WEDGE Infinity

  10. 10

    学生転落 巻き添えの女性が死亡

    ABEMA TIMES

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。