というのは、原発なんてリスクは必ずあるものです。有史以来起きていない巨大地震だってあるわけですし。人災でも有り得ないミスが重なれば事故は起きるわけです。リスクをゼロにはできないんです。宇宙開発なんかやってるとよーく分かります。出来る事は99.9%の小数点以下の9をどこまで増やせるかだけです。
で、ここはコストと人々の気持ちのトレードオフになります。例えば1000年に一度の大災害に備えるか、あるいは1万年に一度の大災害に備えるか?等。一般的に小数点以下の9を増やすと指数関数的にコストが増えていきます。リスクはやらない以外ではゼロにはなりませんから、やると決めた以上どこかでトレードオフをすることになります。でも人々の気持ち的にはリスクをゼロにしたいわけです。しかもこの気持ちというのは科学的な知識に基づくものではない事が多いです。
科学者はリスクがゼロか?と聞かれればゼロではありませんと正直に答えるでしょう。それを聞いたジャーナリストはリスクはゼロではないと報道するでしょう。だからマスコミにCMなどの形で金をばらまいて安全性をアピールすることになります。結果として国民は騙されたとなるわけです。生の科学者の声を聞いてリスクを自分で判断し、どこでトレードオフするか一人一人が冷静な判断ができるようになるのが理想ですが、いつになったらそうなるのか。。。
先日養老孟司さんと対談しましたが、そのときの題材になった本です。
養老孟司の大言論〈1〉希望とは自分が変わること (養老孟司の大言論 1)
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養老 孟司
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養老孟司の大言論〈2〉嫌いなことから、人は学ぶ (養老孟司の大言論 2)
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