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Amazonへの対抗策 - Macy'sに学ぶオムニチャンネルの重要性

世界最大の百貨店であるメーシーズは、長らく続いた経営不振からの脱却を図るべく、07年頃から徐々に経営改革に取り組み始め、現在では株価が示しているように完全に復活を遂げた。

その戦略は店舗の統廃合や、「My Macy's」と呼ばれる顧客の囲い込み策、「Magic」という従業員の接客力の向上策などがあるが、中でも目覚しい成果をあげているのが「オムニチャンネル」という戦略である。

リンク先を見るオムニチャンネルとはOmni(全ての)チャンネルを使用して顧客のニーズに応えようとする取り組みである。Macy'sは膨大なシステム投資によって、店舗と自社ECサイトの区別をなくし、在庫や顧客情報を一元化させ、顧客のニーズの取りこぼしをなくすことに注力してきた。

マルチチャンネルという言葉は日本でも一般的であるが、これは複数の販売チャネルを持っているというだけで、それぞれは独立していた。クロスチャンネルになって初めて店舗やEC間のサービスの連携が見られるようになったが、これも顧客がECでオーダーしたものを店頭で受け取れる程度の連携でしかなかった。
しかしオムニチャンネルは、完全にチャネル間の区別をなくすことを意味しており、在庫管理や顧客管理などがシステムで統合されている。例えば、ECサイトが顧客のオーダーを受けた場合、その在庫は実店舗の在庫(店頭在庫も含む)とまったく同じものを参照しており、それはMacy'sグループ全体として、在庫が1つ減ることを意味している。

また、すべてのチャンネルはMacy'sのマーケティング部門の傘下に置かれ、マーケティング部が全体最適を考えた上で、キャンペーンやプロモーションのすべてを取り仕切る。従来のような店舗間や、ECサイト、カタログ間での社内の優劣は意味をなさなくなり、それに合わせて評価体系も刷新された。

これにより、Macy'sブランドに対するロイヤルカスタマーが増加し、グループ全体の劇的な在庫圧縮と売場の効率化が進み、会社の業績は見違えるように改善をしていった。現在ではこのオムニチャンネルは、他の小売大手でも採用され始めている。

スマホやタブレットの普及によって、レガシーな小売業はその存在意義が問われ続けているが、Macy'sの成功とオムニチャンネルという考え方は、接客サービスや顧客のショッピング体験を向上させることで、まだまだAmazonのようなEC専業小売に対抗できる策が残されていることを示している。

日本でも東急ハンズなどはいち早くオムニチャンネルを標榜し、変革に取り掛かっている。Amazonは近年、日本でも巨大物流センターの建設スピードをアップさせており、日本の小売業も席巻することを計画している。大手小売は、近々に対応策を講じなければならない状況と言えるだろう。

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