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重大犯罪の犯人検挙率目標56.5% 相変わらず情けない南ア警察

南アフリカ警察(SAPS: South African Police Service)が今後3年間の「crime detection target」を発表した。「crime detection」というのは、「犯罪捜査」のこと。その「ターゲット」(目標)というのだから、「犯罪解決目標」つまり「犯人検挙率目標」。

3年後に「重大犯罪」(serious crime)の56.5%を解決することを目指すという。えっ? つまり、4割以上は最初から解決する気がないってこと? 基づく数字は当然のことながら、警察が把握しているものだけ(日本の警察庁風にいえば「認知件数」)。例えば、レイプなどの性犯罪は、被害者が泣き寝入りして届けないケースもしばしば。だから、捕まらない犯人の数は統計に表れるよりずっと多いはずだ。

南ア警察のいう「重大犯罪」は、5つに分けられる。

(1)「Contact Crime」(接触犯罪)…犯人と被害者が顔を合せるもの。

これに含まれるのは殺人、殺人未遂、性犯罪、身体に重大な危害を与える暴行、通常の暴行、凶悪な強盗、通常の強盗で、重大犯罪全体の33%。中でも「カージャック」、「住宅強盗」、「ビジネス強盗」(店舗や事務所への押し入り強盗)は「トリオ・クライム」(Trio Crime)と呼ばれる。「犯罪御三家」という感じか。重大犯罪全体の1.8%を占めている。

(2)「Contact Related Crime」(準接触犯罪)…実際に接触はなくても、身体に危害を得る可能性があるものでしょうかね。

放火や、所有物・建物などに悪意のある損害を与えることなど。重大犯罪全体の6.7%。

(3)「Property Related Crime」(住居器物関連犯罪)

空き巣、車の窃盗、車の中に入っているものの窃盗、在庫品の窃盗など。重大犯罪全体の25.7%。

(4)「Crime Detected Police Action」(警察が探知した重大犯罪)

武器・弾薬の不法所持、飲酒運転、麻薬関連犯罪など。重大犯罪全体の8.7%。

(5)「Other Serious Crime」(その他の重大犯罪)

その他の窃盗、万引きなど。重大犯罪全体の25.9%。

「万引き」(shoplifting)も、「重大犯罪」に入るんですね。「重大犯罪」と見做されないのは、詐欺など知能犯罪、売春、道路交通関係、公務執行妨害などか。

因みに、南ア国民が恐れる「犯罪御三家」の目標検挙率は、来年度29%、3年後に32%。7割は解決できないものと、警察は最初からあきらめているのだ。実現不可能な目標を立てず、現実的であるという点で、評価できると言えるかもしれない。しかし、警察が無能なことは国民も十分承知とはいえ、こうやって数字を見せつけられると、情けなさがひとしお。(でも、もしこれが「現実的」な目標でなかったら、もっと情けないかも。)

では、現在の犯人検挙率は? 重大犯罪全体では51.1%、御三家は僅か24%!

「犯罪御三家」の検挙率の低さの原因を、捜査部を率いるヴィネシュ・ムーノー(Vinesh Moonoo)はこう説明する。カージャックや強盗は暴力的であることから、被害者のトラウマ度が高く、犯人の顔を覚えていない。だから、科学捜査などから得られる証拠に頼らざるを得ない。従って、検挙率が低い。。。そんなものなのかあ。。。

警察の調査によると、一般国民が最も恐れている犯罪(複数回答)は、
押し入り強盗(50.4%)
空き巣(50.2%)
路上での強盗(39.7%)
殺人(34.1%)
レイプを含む性犯罪(27.0%)

喜ばしいことに、南アフリカの重大犯罪は2003年をピークとして、それ以降減少傾向にある。(カッコは10万人当たり)
2003/04年度 266万6395件(5288件)
2004/05年度 249万2783件(4852件)
2005/06年度 226万5498件(4330件)
2006/07年度 221万9604件(4159件)
2007/08年度 215万0347件(3942件)
2008/09年度 219万6948件(3923件)
2009/10年度 222万3375件(3872件)
2010/11年度 216万8245件(5680件)
2011/12年度 217万8700件(3609件)

警察の捜査力が向上したというより、企業やコミュニティや一般家庭の努力のタマモノのような気がするが。。。

さて、重大犯罪の犯人検挙率51.1%というのは、世界的に見てどうなのだろう。

取りあえず、犯罪数自体が格段に少なく、警察も優秀だと思われる日本の現状は? 

法務省『犯罪白書』(平成24年度版)によると、2011年の場合、刑法犯の検挙率が52.4%、一般刑法犯の検挙率が31.3%。(一般刑法犯というのは、「刑法犯から自動車運転による業務上過失致死傷と危険運転致死傷を除外した合計」。)思ったより低くてびっくり!

警察庁の『警察白書』(平成24年度版)で犯罪の種類別検挙率を調べて、胸を撫で下ろした。「凶悪犯」(殺人、強盗、放火、強姦)の検挙率は75.6%と立派なものだ。内訳は、殺人97.6%、強盗64.9%、放火81.0%、強姦83.8%。

その他の犯罪はどうか。「粗暴犯」(凶器準備集合、暴行、傷害、脅迫、恐喝)73.1%、「知能犯」64.9%、「風俗犯」62.7%といずれも健闘。

どうやら、総検挙率を引き下げるのに貢献したのは「窃盗犯」(27%)らしい。うち、「乗り物盗」の検挙率は僅か8.8%。「窃盗犯」は刑法犯全148万765件中113万3176件、76.5%を占める。

つまり、目撃者(被害者を含む)がいないところで起こった犯罪の方が、犯人が捕まりにくいということか。当然といえば当然。被害者が犯人と接触している犯罪の検挙率は高い。更に、被害者が証言したくてもできない殺人にいたっては、97.6%という恐るべき検挙率である。

とすると、「被害者が犯人の顔を覚えていないから」また「科学捜査などに頼らなければならないから」検挙率が低いという南ア警察の説明は、日本では通用しないのではないか。

やっぱり無能としかいいようがない南ア警察。被害に遭っても、誰も警察に期待していないものなあ。あ~、つくづく情けない。

(参考資料:2013年4月19日付「Business Day」など)

【関連HP】
FACT SHEET:Explaining the official crime statistics for 2011/12 (Institude for Security Studies)
Crime Stats
Crime Statistics Overview 2011/2012 (South African Police Service)
平成24年版犯罪白書
平成24年版警察白書

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