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電力制度改革~電気事業法改正案について~

今後20年、30年の経済発展の為に必要不可欠なインフラ整備の一つに、電力制度改革があります。

政府は4月2日に「電力システムに関する改革方針」を閣議決定し、これを法制化する「電気事業法の一部を改正する法律案」が経済産業省から4月12日に国会に提出されました。

この閣議決定、法案には様々な項目が盛り込まれていますが、大まかに言うと以下の三段階に沿って改革が進むことになっています。

第一段階として、広域系統運用機関が設立されます。

現在の地域独占電力事業者の体制では地域を越えた電力の融通を行うための機能整備などが中々進まないため、より高所から広い視野で電力供給体制の整備を行うことを目的としています。

震災後、西日本と東日本で交流電力の周波数が違うために東西での電力融通が極めて限られた量しかできなかったこと、また東日本内でも電力事業者間での融通に使用できる経路に容量制限が有ったことなど、まだ記憶に新しいことと思います。

これらの諸問題に対応するための機関の設立は、今国会で法案を提出し、2015年の設立を目指すものとされています。

第二段階は、電気の小売業への参入の全面自由化です。

これは2014年の国会に法案を提出し、自由化は2016年を目指すものとされています。

そして第三段階が問題の発電と送配電の分離ですが、法的分離方式によって行われることになっています。

現在は各地域独占電気事業会社内での会計的な分離にとどまっているものを、発電と送配電で法的に別会社にするというものです。

ここまでは良いのですが、実は送配電会社が地域独占形態をとること、そして発電会社との資本関係を認めることという二つの大きな問題を抱えています。

しかも、第一段階、第二段階がそれぞれ2013年国会と2014年国会での法案提出をうたっているのに対し、第三段階は2015年国会での法案提出を「目指す」という逃げ腰、弱腰の書きぶりになっています。

これは自民党内の改革反対派の意見が反映されたもののようです。

第一段階が先行するのは合理的と考えられますが、第二段階と第三段階が同時に行われていけない理由は無いでしょう。

さて、発電・送配電分離に関する問題点の第一ですが、地域独占を認めるということは現在の地域独占電力事業者(東京電力、関西電力など)が持つ送配電設備をそのまま別会社化していくことを意味します。

私は、送配電網は全国に張り巡らされている国道と同様に国民が共有すべき社会的インフラだと考えています。

形態的に独立行政法人となるか国有企業となるかなど議論すべき点は多々有りますが、一つの組織であるべきです。

それが第一段階の広域系統運用機関設立の精神にも沿うものですし、自然災害に対応する上でも大きな利点があると考えています。

ところが地域独占を認めて、しかも現在の地域独占電力事業者との資本関係を認めるとなると、経営面、システム面、財務面などで各地域独占送配電会社が独自の進化をする事になり、将来的な統合一元化がどんどん困難になってしまいます。

広域系統運用機関設立の趣旨、精神は理解できるものなのですが、これは屋上屋のようなものに過ぎず、本来は一元化された送配電事業体の設立を目指すべきだと思います。

その観点から考えると、地域独占送配電会社の設立は逆効果になりかねません。

もう一つの問題点である資本関係の容認ですが、地域最大の発電会社と送配電会社が資本関係を持つ兄弟、あるいは親子会社である状況で、発電事業の自由競争が達成できるとは思えません。

例えば送配電の料金を非常に高く設定し、発電会社の収益を低く抑えるような経営戦略を地域独占送配電会社がとれば、独立の発電会社の経営が困難になる一方で、送配電会社が獲得する余剰利益を合算できる発電会社は安定した収益を得ることができます。

これでは何のために発送電分離を行おうとしているかわからなくなります。

私は以下のような修正提案を行いたいと考えています。

最終的な目標は、全国一元的な送配電体制を設立することです。

その為の第一歩としては、仮に地域独占の送配電会社を認めるのであれば、これらの企業が近い将来統合しやすくするために、システム、財務などで同じ体制、制度をとるよう規定するべきです。

独自の発展は認めないということです。

そして、分離後の発電会社との資本関係は議決権ベースで三分の一未満にとどめるべきです。

残りの議決権は広域系統運用機関に保有させても良いですし、地域独占電力事業者通しでやりとりをさせて若干の持ち合いを認めても良いかも知れません。

この様な提案に対しては、地域独占電力事業者の財産権の侵害に当たるのではないかというような反論も有るようですが、適切な価格を支払えば良いだけの話です。

何も無料で強制収用しろと行っているわけではないのです。

官僚はどうしても現状をベースに話を作り上げていきますが、今は日本にとってのニューディールに相当する時代だと私は考えています。

これまでの繰り返しではなく、20年、30年先を見据えた抜本的な改革を進めていくことが必要なのです。

これからのあるべき経済の姿をしっかりと思い描きながら、政府への提案、働きかけを続けていきたいと思います。

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