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「売れるコミュニティ」のつくり方を考える

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コミュニティ発展の原動力は「R&D-I-Y」

ライリー氏らの窓辺農園プロジェクトの噂はどんどん広がり、ニューヨークで野菜を育てる仲間が増えていき、ほどなくして「Windowfarms」のコミュニティが形成された。

このコミュニティでは、それぞれが装置を改良したり、栽培する品種や使用する液体肥料を変えてみるといった実験を行って成果を報告し合った。

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同じニューヨークであっても、日当たりや温度などの環境条件は部屋ごとに微妙に異なるので、ある部屋でうまく育った品種がほかの部屋でもまったく同じ方法でうまく育つとは限らない。

ここで彼らの間で「R&D-I-Y」という言葉が生まれる。「R&D(研究開発)」に「DIY(自分でやる/日曜大工)」を組み合わせた造語である。

「自分の部屋にどういう品種が適し、どうしたらより収穫が上がるかを、自分で研究して試して工夫していこう」という意味だ。

一般人の間に水耕栽培に対する関心を喚起するために、彼らは美術館などの公のスペースにWindowfarmsの装置を設置するプロジェクトもたびたび行った。

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窓辺農園の「オープンソース化」

実は「水耕栽培」は現在、米国で激しい特許競争が繰り広げられている分野の1つである。

遺伝子組み換えの分野では巨大化学バイオメーカーのモンサント社が特許を独占し、種子のほぼすべてを牛耳るようになってしまった。それが環境問題の解決をいっそう困難にしている。水耕栽培も一部の専門家に任せておくと、同じ状況になりかねない。

Windowfarmsはそのような状況を避けるためにも、水耕栽培により多くの人に参加してもらう必要があると考え、ウェブサイトを開設し、その時点で完成していた水耕栽培装置をバージョン1.0として公開した。

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上記の設計図と動作原理の説明といっしょに、この装置の欠陥がどこにあるのかも明示した。

すると、「送水ポンプではなく、空気ポンプを使った方が騒音を抑えられる」という提案や「真冬のシカゴでもイチゴが栽培できた」という実験結果の報告などが、次々と寄せられるようになった。

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誰かが提案した工夫にまた別の参加者が工夫を重ねる。それが繰り返された結果、栽培装置はバージョン1.0からWindowfarmsが現在、販売しているシステムの原型へと2年足らずで進化を遂げたのだ。

ライリー氏はこうしたコミュニティの活動形態を「相互依存(interdependence)」と表現し、「相互依存は強力な社会的基盤であり、有効に活用することで、社会問題を解決するための糸口をつかむことができる」と語っている

予約注文を募って、製造と販売を開始

世の中には、工作が苦手な人もいる。そういう人たちにも窓辺での水耕栽培を始めてもらうには、装置を商品化する必要があるとライリー氏らは判断した。

工業デザイナーに依頼して、部屋に置いてもおかしくないようにデザインを洗練してもらい試作品を完成した。

その試作品をもってクラウドファンディングのためのサイト「Kickstarter」で、製品に必要な費用をあつめることにした。ただし、募ったのは投資金ではなく、製品の予約注文である。

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目標額5万ドル(1ドル=95円換算で475万円)を大幅に上回る25万7,307ドル(約2,445万円)の注文が入り、米国内での製造が可能になった。

2012年から製品の出荷を開始し、現在Windowfarmsのコミュニティは、世界中から4万人以上が参加するまでに成長した。コミュニティでは、栽培に成功した品種や猫にいじられないための工夫など、活発な情報交換が行われている。

コミュニティの盛り上げ方

良質なコミュニティを持つECサイトは強い。これは今回の事例にかぎらず、当ブログで繰り返し述べている事実だ。そこで今回は「コミュニティはいかにしてを盛り上がるのか?」という点を考えてみたい。

Windowfarmsにおいてコミュニティが活性化した要因の一つは「オープンソース」という考え方をうまく転用したことにある。製品の問題点を、不特定多数の利用者が指摘し、修正を加えていくこのしくみ、一般的には耳馴染みがないが、ソフトウェア業界ではもうすっかりおなじみだ。

「問題点を指摘する」というのは、はっきりとしたテーマだ。割と反応しやすい。コミュニティ作りにはこの「反応しやすいテーマ・しくみ」づくりというのがとても重要だ。

例えば、下記の2つの質問のうち、どちらがあなたは反応しやすいだろうか?

a.僕のブログの、次回の記事を考えてください。
b.僕のブログの、一番面白かった記事を教えて下さい。良ければその理由も。

あなたがよっぽどアイディアに満ち溢れた人だとしても、bのほうが反応しやすいだろう。

どんなに良質なコミュニティも、それは小さな反応の集合体だ。小さくても反応さえあれば、それを増幅していくことは難しいことではない。反応を返していけばいいだけだ。きっとネットの向こう側の顧客も、その反応を歓迎するだろう。

さて、今回の記事、いかがだっただろうか?
僕の考える「コミュニテイの盛り上げ方」は一理あるだろうか?
一理あると思っていただけたら、すぐ下のコメント欄から、是非なんらかの「反応」をいただけないだろうか。(良ければその理由も。)

1つもコメントをいただけなかったら、しばらく旅に出ようと思う。

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