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「正解は『殺す』」の何が不適切なのか

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この手のニュースはなぜか忘れたころになると出てきて、なんでこういつも忘れたころに思い出させるようなちょうどいいタイミングで出てくるんだろうと不思議な気もするんだが、まあ今回もそんな感じで出てきた印象。
正解は「妹を殺す」 教諭、小3の授業でクイズ 杉並

東京都杉並区立浜田山小学校の女性教諭(23)が、授業中に自殺や殺人を題材にしたクイズを出題していたことがわかった。同校は23日に臨時保護者会を開き、岩崎義宣校長が「不適切な指導だった」と謝罪した。

(朝日新聞2010年10月23日)

またかという話だが、同時に違和感もあるのでちょっとだけ書いとく。

一応報道内容を確認しておくとこう。以下、これを事実であるとした上での話。
問題となっているのは、19日の2時間目、3年生の算数の授業中に出したクイズ。「3姉妹の長女が自殺し、葬式があった。その葬式に来たかっこいい男性に、次女がもう一度会うためにはどうすればよいか」という趣旨の質問で、答えは「三女を殺す(また葬式をする)」だったという。

これは「学生時代に友人からきいたクイズ」を思い出したものだそうで、なんともつまらんネタを思い出したもんだとは思うし、少しは空気読めよとも思うが、言いたいことはそこじゃない。違和感の元は2点ある。

違和感その1。10月19日に起きたできごとに対して「保護者からの匿名の投書が21日に岩崎校長に届き、発覚し」、「23日に臨時保護者会を開き」、校長謝罪、それが23日当日にニュースになるという、なんともスピーディな展開。ふつうの区立小学校のできごとをわざわざ追っかけてる記者なんていないだろうし、プレスリリースが出たようすもないから、ご丁寧に新聞社にたれこんだ人がいたか、あるいは新聞社関係者が近くにいたかなんだろう。これで24日以降のテレビ番組なんかでキャスターやら「識者」やらが「最近の教師は」とか一席ぶつのかな。実際にそうなるかどうかわからないが、ともあれ典型的に想像されるこういう流れ、あるいはこうやって騒ぎ立てようとする考え方には正直ちょっとうんざりする。

別に「殺す」発言自体を擁護するつもりはまったくないが、批判者がこのクイズ1つで子どもたちの将来が云々みたいなことを言いたいのだとしたら、それってちょっとおかしくないか。今子供たちが生きている環境の中には、いろいろないいもの悪いものが入り交じっていて、彼らはそれをシャワーのように浴び続けながら育つ。子供の人格は、そういうもの全体と、子供自身が持っているものとの相互作用でできあがるわけで、クイズ1つでどうこうなるようなもんじゃない。この年頃の子供だったら、友達同士で「死ね」だの「殺す」だの日常的に言い合ってても別におかしくないんだし、それでみんなが悪い人間に育つなんてこともない。

教師は立場がちがうのは当然だが、だからといって教師が一度何か言ったぐらいで具体的にどんな悪影響があるというのか。もちろん毎日教師が「殺す」とか言ってればそれは問題だろうが、もしそうならもっと早く問題になっていたはずだ。万が一そうだとしても、担任教員は1〜2年で交代するのが普通だし、重要な成長期とはいえ決定的な影響力をもつほどではなかろう。教師として不適格とか言う人もいるんだろうが、これ1つで引導を渡される程のものだとも思えない。

保護者から投書があったということは、その子供が保護者に話したんだろう。ひょっとしたら、その子はショックを受けたのかもしれないし、他にもショックを受けた子がいたかもしれない。だがそんなものは、保護者が簡単にカバーできる問題ではないか。「殺す」なんていけないよね、ですむ話ではないか。

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