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どんなものでもギフトカードに変えてプレゼントできるECサイト「Giftly」

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米国のギフトカード市場は年間1000億ドル(10兆円前後)を超える売上を記録する巨大市場である。

米国人の半数以上が1年に少なくとも1枚のギフトカードを贈るか、贈られている状況だが、既存のギフトカード業界はハイテクの導入という点で最先端を進んでいるとは言いがたい。

2011年9月にサンフランシスコで開設されたECサイト「Giftly」はギフトカードをハイテク化して、贈る側にも贈られる側にもより便利で喜ばれるものにすることを目標としている。

280万ドル(約2億6000万円)の投資を確保し、昨年9月にモバイル専用アプリもリリースした。

ギフトカードをよりパーソナルな贈り物に



CNN Moneyの「Holiday gifts: What women want, men don't give」という昨年10月の記事は、米国の裕福な階級の女性の3分の2は夫や恋人からプレゼントとして「ギフトカード」を贈ってほしいと希望していたが、そのうちの70%の女性は期待に反してジュエリーや衣料品を贈られたという調査結果を報告している。

相手がよく利用している店のギフトカードならば、趣味に合った品物を本人に選んでもらえるので、がっかりされる心配はまずない。それは男性も十分に承知しているはずだ。

しかしギフトカードには事務的で味気ないイメージがあり、どんなに相手のことを思って選んだとしても、その気持ちが伝わりにくいという欠点がある。そのため、妻や恋人に贈るには向かない品物と思う男性が多いのだろう。

既存のギフトカードには、ほかにもまだ欠点がある。

たとえば贈る相手の好みに絶対に合うと確信できるレストランや店を知っていて、そのレストランでの食事や店での買物をギフトカードとしてプレゼントしたいと思っても、そのレストランや店がギフトカードを販売していなければ贈ることはできない。

贈る金額を贈る側が指定できない点も不便だし、携帯するカードが増えることを嫌がる人もいるだろう。また、贈られたことを忘れて使わずに無駄にされるカードも少なくない。

そこでGiftlyでは、そういった問題を解消して、どんな商品や体験でも贈る側が金額とカードのデザインを自由に選んで、よりパーソナルなギフトカードに変えられるシステムを考案した。

Giftlyでギフトカードを作成する手順

GiftlyのECサイトでギフトカードを作成するには、「Make a Giftly(Giftly作成)」のページで「贈りたいギフト」を表すアイコンと金額を指定する。



アイコンは、以下の左の例のように用意されているアイコンリストの中から選んで、色を選択することも、右の例のように自分で贈りたい商品に関連する画像をアップロードしてアイコンを作ることもできる。



クレジットカードを利用できる場所でさえあれば、どんな店や施設でも指定できる。

「食事」「映画」のようにカテゴリーだけを選んで具体的な店や施設は相手に選んでもらうことも、複数のオプションを提示して相手に好きなものを選んでもらうようにすることもできる。使い道をすべて相手に任せてもよい。

「レストランでの食事」「映画館での映画鑑賞」「ワイン1本」をプレゼントというように、相手に体験してほしいことをすべて選んでギフトカードにすることも可能だ。

また、「レストラン」「カフェ」などのカテゴリーを選び、相手にとって便利な地域を指定すれば、レビューサイトのYelpでの評価をもとにどの店や施設がよいかをレコメンドしてもらえる。



ギフトカードが作成できたら、贈る相手を指定し、メッセージを入力する。

作成したギフトカードを相手に届ける方法には「電子メール」「携帯電話へのメッセージ」「Facebookのウォールに投稿」「郵送」の4通りがある。

「郵送」の場合は、Giftlyから相手に郵送するので、注文してから相手に届くまでに5~7日がかかるが、それ以外であれば、すぐに届けることも、予約した日時に届けてもらうこともできる。

また、自分でカードを紙に印刷して渡したい人のために「PDFファイル」をダウンロードするオプションもある。

Giftlyは額面金額が1~20ドルまでは1ドル、21~30ドルまでは2ドル、31~75ドルまでは4ドル、76~125ドルまでは5ドルという具合に、作成したギフトカードの額面金額に応じた手数料を徴収する。額面金額が250ドルを超えると、手数料は一律10ドルとなる。

Giftlyのギフトカードを贈られたら



Giftlyのギフトカードを受け取った相手は、カードに掲載されているコードをGiftlyのECサイトまたはモバイルサイトで入力すれば、カードの額面金額が自分のクレジットカードまたはPayPalの口座にGiftlyから振り込まれる。

上の画像の例は「Blue Bottle Coffee」というレストランの額面20ドルのギフトカードになっているが、このカードを受け取った相手は指定されたレストランへ行っても、ギフトカードをレストランに見せる必要はない。

Giftlyのギフトカードには贈り主が指定した店や施設は一切関与していないからだ。「ギフトカード」という体裁をとっているが、実際には贈る相手の口座に20ドルを振り込んで、「このお金でBlue Bottle Coffeeで食事を楽しんできてください」というのと変わらない。

Giftlyについて紹介しているブログの一つには、あるビジネスのオーナーだという読者から「一体、誰の許可をとって、うちの店のギフトカードを売っているのだ!これは詐欺だろう。」と非難するコメントが投稿されていた。一般のギフトカードとは概念が違うので、違和感を感じさせたり、理解されにくいところが現時点での大きな課題だろう。

「マイクロギフト」という新しいギフトの提案

米国では、「ギフトカード」の需要が高まるのはクリスマス、母の日、父の日の前であり、ギフトカードの約50%は10月~12月の3ヶ月間に購入される。クリスマスが過ぎると、「ギフトカード」の売上は一気に落ち込む。

そこでGiflyは年間を通して一定の売上を確保するために「マイクロギフト」というコンセプトを打ち出した。

これはクリスマスや誕生日といった特別な日ではなく、より日常的な状況で感謝や励ましの気持ちなどを伝えるために、小額のささやかなギフトを贈り合うことを推奨するもので、このコンセプトの実現に活躍するのがiPhone用のアプリである。

基本的なギフトカードの作り方は、ECサイトでの場合と変わらないが、このアプリを使う場合は、相手もiPhoneのユーザーである方がより効果的だ。



このアプリはGiftlyに登録しておいた友人や知人の誕生日を知らせてくれるので、ギフトを贈るタイミングを思い出すきっかけになる。また、このアプリはFacebookとも連携していて、友人の動向をリアルタイムで把握できる。

上の例では、この日が誕生日であるCoriandaさんのためにカップケーキのギフトカードを作成して送ろうとしている。

カップケーキの店を具体的に指定し、贈り先のCoriandaさんがiPhoneを持っていれば、彼女のiPhoneにメッセージが届き、その店への行き方を示す地図が表示される。



Coriandaさんがその店に到着して、カップケーキを購入した後、「I'm here(ここに来ました)」というボタンをクリックすると、贈られた金額が彼女のクレジットカード口座に直接振り込まれる。

ギフトを贈ってくれた相手に感謝のメッセージを送るのも簡単だ。作成したメッセージをFacebookに投稿することもできる。Giftlyでは、購入した品物を写真に撮影して、Facebookでシェアするよう勧めている。



ギフトカードを贈った側は、贈った相手がいつどの場所でそのギフトカードを使ったかをGiftlyから通知されるので、しばらくたっても相手がギフトカードを使っていない場合には、相手に連絡したり、ギフトカードを再度送信しなおすことができる。Giftlyのギフトカードに使用期限はない。

人間関係をなめらかにするささやかなギフト

過去記事で、「小額を贈られることが人間の心理にどう影響するか」についてのデューク大学のダン・アリエリー教授(行動経済学)の見解を紹介した。

同教授は「ギフトの効果」についても研究しており、「人は小額の金銭をお礼として贈られると気持ちを害するが、小額をチョコレートなどのギフトという形で贈られた場合は喜ぶ」と語っている。

つまり、小額の金銭を贈ることは社会生活にマイナスだが、ささやかなギフトを贈ることは社会生活の潤滑油になるのだ。

また、マイクロギフトを贈られた人は、贈られたことがきっかけで、自分もGiftlyを使ってマイクロギフトを贈る側に回ることが多いといい、自然に顧客が広がる仕組みにもつながっている。



従来のギフトカードがおろそかにしていた分野に注目して市場に参入

米国のギフトカード業界は法律の縛りもあり、参入障壁が高い業界の1つだそうだ。

それがこの数年、Giftly以外にも、ギフトカードを販売するスタートアップがいくつか登場した。いずれもモバイル・アプリを武器にしている。既得権益をもつ企業が導入していないサービスに注目して、隙をついた形だ。

モバイルでのギフトの交換は、一般に普及するまでにはある程度時間がかかると思われるが、アプリを利用して使い方に慣れたら、その顧客はもうプラスチックのギフトカードには戻らないかもしれない。音楽を楽しむ媒体がプラスチックのCDからMP3に変わっていったように、ギフトカード市場も数年後には様相が激変していることもあり得る。

Giftlyの成功要因で注目したいのはやはり「マイクロギフト」という新たなギフトの切り口の提案だ。

「この間はお疲れ様。これで一服してよ」とコーヒー1杯分の代金をスマートに贈り、感謝の気持ちを伝える。

「コーヒー1杯分のお金で人間関係がなめらかになるサービス」
人をほっこりした気持ちにしてくれる、eコマースの素敵な活用事例だ。

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