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事件報道の役割についてちょっとだけ考えてみる

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いずれにせよ、これらも事件の捜査の進展状況について、一方の当事者である取調べ側の検察(今回は取り調べられる側も検察官だったりするからめんどくさいねえ)の話に基づいて書いてるわけだから、やってることの本質はそう変わらない。検察と同様、報道の方々も、冤罪事件を生み出しかねなかったのはなぜか、真剣に考えているとはあまり思えない。

じゃあ報道が今やるべきことって何?とつらつら考えると、それはやっぱり、今回のような事件を生み出す構造自体を明らかにしていくこと、ではないのだろうか。朝日のこの記事は、そっちの方向性かと思う。

「見立てに合わぬ供述通じない」 特捜捜査、経験者語る」(朝日新聞2010/09/30)

そもそも取調べのやり方がまずいのではないか、という指摘だ。同種の指摘、つまり、警察も含む、被疑者の取調べをする人たちが自白を偏重する姿勢をとっていること、そのためにかなり強引に調書を作ってしまうこと、被疑者に有利な証拠を隠してしまうこと、そしてそういう行動を裁判所が認めてしまうことについては、これまで何度も問題視されてきたはず。それはもはや、個人の暴走とか監督不行き届きとか、襟を正すとか言ってるレベルじゃない。まさに構造的要因だ。

その意味で、この朝日の記事に出ている元特捜部のこの人のコメントは、申し訳ないが的外れといわざるをえない。なんでこの人のコメントとったんだろう。
東京、大阪の両地検で特捜部にいた元検事の堀田力弁護士(76)は、検察が「真実を追い求める」という使命を以前ほど重く考えなくなったことが、FDのデータ書き換えの背景とみている。

 証拠集めや分析、関係者の聴取、アリバイの確認……捜査はこれらを延々と繰り返す作業だ。安易に結論を急ぐことはタブーだと教えられ、「筋読み」と呼ばれる当初の事件の見立てが違えば、ゼロからやり直した。

 東京地検特捜部時代に捜査に携わったロッキード事件では、特捜部副部長が事件のチェック役で、顔も見たくなくなるほど厳しく細かく指摘された。それだけに、村木厚子氏の事件で、前田検事の上司が、証拠や供述のチェックを十分にしていたのかどうかが疑問だという。

 堀田氏は今回の事件で、検察に対し、「証拠を改ざんしてまで有罪にしようとする組織」というイメージがついたとみている。「原点に返り、間違えるかもしれないという怖さをかみしめながら捜査するしかない」と言った。

「先輩」として「後輩」に心構えを説きたくなるのはわかるが、ことはもはやそういう精神論のレベルではすまない。構造的要因には構造改革で対処するしかない。可能性のある対応策の案はすでに提示されている。取調べの全面可視化や証拠の全面開示などだ。直接的な物証がないと有罪認定しない、という基準みたいなものを設定できるなら、それもアリなのかもしれない。また、そもそも今回の厚生労働省を含む官庁と各種団体や政治家との関係のあり方や、官庁の決裁システムだって問題にしうるだろう。

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