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- 2010年09月19日 08:35
にもかかわらず「ネット世論」に注目すべき3つの理由
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2010年9月17日付の朝日新聞の「耕論」欄が「ネットと民意」という特集をしていて、人事コンサルタントの城繁幸さん、東京大学特任准教授の菅原琢さん、評論家の宇野常寛さんが意見を書かれていた。ちょうどSYNODOS Journalに書いた「世論調査をめぐる3つの「幻想」」という文章が公開された直後だったのだが、そういえばネット世論そのものについては書かなかったなあと思ったので、こちらで少しだけ書いてみる。最近は「ネット世論だめじゃん」みたいな議論が多いので、あえてというか何というか、「でもやっぱり注目はしとくべきなんじゃないか」という方向で。例によって「3つある原則」にしたがい3点で。
ちなみに、以前にネット世論について何書いたっけと思って自分でぐぐったらこんなことを書いてるのよろしければご参照。一応、おおまかにはこれらと矛盾してないつもりだが、矛盾してたらご容赦。
「ボットはネット世論の夢を見るか?」
「ネットにもサイレントマジョリティはある」
「民主党代表選に関する世論調査について」
(1)もとよりそれは「世論」ではないがそれが何か?
今回、ネットで小沢人気とされていたにもかかわらず、実際の代表選では、党員・サポーター票で菅首相に負けたわけで、それをもって「ネット世論は信用できない」という議論がよくなされたりしている。朝日の「耕論」欄では菅原琢さんの意見がそれに近いだろう。「「ネット小言」を報道が増幅」、と見出しから手厳しい。
要するに全体の縮図になってないぞ、というわけで、これはそのとおり。もちろん、無作為抽出じゃなくても発言者が偏ってなければいいんだろうが、残念ながらそういうことはなかなかない。そうした投票に自発的に参加したという時点ですでに動機の点でふつうとちがってるし、さらにいえばわざわざ参加するくらいだから、特定の立場や意見をすでに持っている可能性が高い。仲間内で誘い合う、みたいな事情もあるだろう。居住地域の面で人が偏在するのと同じように、ネットの中でも、場所によって人の集団はクラスターを作り、偏在する。似た立場、似た意見の人とまとまろうとする。ネット投票の大半は一般には知られていないから、意思をもって集まってくる人の割合が自然と高くなる。よって、そういうクラスターの近くで意見を聞けば、偏るのはむしろ当たり前だ。
前回参院選直前の2007年7月、ニコニコ動画に民主党の小沢代表(当時)が出演したときのことをご記憶の方もいるだろう(参考)。あのころは、政治家がネット動画番組に自ら出演すること自体けっこう珍しかったんだが、それが小沢氏だったことがまたある意味衝撃的だった。当時のニコニコ動画は今よりもさらに2ちゃんねる的な要素が強く、いってみれば「小沢嫌いの巣窟」のようなところだったからだ。何を好き好んで、という意見もあったような気がする。予想通り、動画には罵倒コメントが殺到し、運営者は一時コメントを停止、再開時にはコメント監視を行うこと、荒らしや落書きはアカウント停止や削除を含む処分の対象とすること等、異例ともいえる対応をした。もちろん、そんなことでユーザーが収まるわけもなく、ニコ動上にはありとあらゆるMAD動画があふれかえることになったわけだが。当時を知る人からみれば、「小沢氏はいつの間に「ネットの人気者」ってことになったんだ?」ということになるのではないか。
今回の参院選前に行われたニコニコ生放送番組内のアンケートでも、やはり小沢氏は不人気だった。今でもニコニコ動画ユーザーの中では、アンチ小沢的な意見はかなりの割合を占めているんだろう。もちろん小沢支持者も少なからずいるはずで、それらしいコメント弾幕を見かけたこともある。個人的には、あの2007年のニコニコ動画出演はネット上での小沢人気を高める方向に働いたと根拠なく推測してるんだが、それはともかくこの件、基本的には、ネットにはさまざまな意見があり、そのどこを見ているかによって風景は違って見える、というきわめてシンプルな「象をなでる」系の話なわけだ。このあたり、まずはそれを伝えるマスメディアの人たちのリテラシー向上に期待したいところ。新聞の人たちというより、問題はおそらく確信犯で飛ばし記事書いてる週刊誌の面々なわけではあるんだが。あとテレビで無責任コメントを飛ばす「文化人」の皆様とかもいるんだろうが、固有名詞を知らないので省略。
ちなみに、以前にネット世論について何書いたっけと思って自分でぐぐったらこんなことを書いてるのよろしければご参照。一応、おおまかにはこれらと矛盾してないつもりだが、矛盾してたらご容赦。
「ボットはネット世論の夢を見るか?」
「ネットにもサイレントマジョリティはある」
「民主党代表選に関する世論調査について」
(1)もとよりそれは「世論」ではないがそれが何か?
今回、ネットで小沢人気とされていたにもかかわらず、実際の代表選では、党員・サポーター票で菅首相に負けたわけで、それをもって「ネット世論は信用できない」という議論がよくなされたりしている。朝日の「耕論」欄では菅原琢さんの意見がそれに近いだろう。「「ネット小言」を報道が増幅」、と見出しから手厳しい。
そもそも、各メディアは蓄積された知見と技術に基づく世論調査をし、意見分布の把握を試みている。にもかかわらず、根拠のないデータを取り上げて比較対象とすることは問題です。無作為抽出が背景とするのは有権者全体で、「ネット小言」は個人の意見に過ぎません。
要するに全体の縮図になってないぞ、というわけで、これはそのとおり。もちろん、無作為抽出じゃなくても発言者が偏ってなければいいんだろうが、残念ながらそういうことはなかなかない。そうした投票に自発的に参加したという時点ですでに動機の点でふつうとちがってるし、さらにいえばわざわざ参加するくらいだから、特定の立場や意見をすでに持っている可能性が高い。仲間内で誘い合う、みたいな事情もあるだろう。居住地域の面で人が偏在するのと同じように、ネットの中でも、場所によって人の集団はクラスターを作り、偏在する。似た立場、似た意見の人とまとまろうとする。ネット投票の大半は一般には知られていないから、意思をもって集まってくる人の割合が自然と高くなる。よって、そういうクラスターの近くで意見を聞けば、偏るのはむしろ当たり前だ。
前回参院選直前の2007年7月、ニコニコ動画に民主党の小沢代表(当時)が出演したときのことをご記憶の方もいるだろう(参考)。あのころは、政治家がネット動画番組に自ら出演すること自体けっこう珍しかったんだが、それが小沢氏だったことがまたある意味衝撃的だった。当時のニコニコ動画は今よりもさらに2ちゃんねる的な要素が強く、いってみれば「小沢嫌いの巣窟」のようなところだったからだ。何を好き好んで、という意見もあったような気がする。予想通り、動画には罵倒コメントが殺到し、運営者は一時コメントを停止、再開時にはコメント監視を行うこと、荒らしや落書きはアカウント停止や削除を含む処分の対象とすること等、異例ともいえる対応をした。もちろん、そんなことでユーザーが収まるわけもなく、ニコ動上にはありとあらゆるMAD動画があふれかえることになったわけだが。当時を知る人からみれば、「小沢氏はいつの間に「ネットの人気者」ってことになったんだ?」ということになるのではないか。
今回の参院選前に行われたニコニコ生放送番組内のアンケートでも、やはり小沢氏は不人気だった。今でもニコニコ動画ユーザーの中では、アンチ小沢的な意見はかなりの割合を占めているんだろう。もちろん小沢支持者も少なからずいるはずで、それらしいコメント弾幕を見かけたこともある。個人的には、あの2007年のニコニコ動画出演はネット上での小沢人気を高める方向に働いたと根拠なく推測してるんだが、それはともかくこの件、基本的には、ネットにはさまざまな意見があり、そのどこを見ているかによって風景は違って見える、というきわめてシンプルな「象をなでる」系の話なわけだ。このあたり、まずはそれを伝えるマスメディアの人たちのリテラシー向上に期待したいところ。新聞の人たちというより、問題はおそらく確信犯で飛ばし記事書いてる週刊誌の面々なわけではあるんだが。あとテレビで無責任コメントを飛ばす「文化人」の皆様とかもいるんだろうが、固有名詞を知らないので省略。



