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「いつの時代も、世の中を大きく変えていくのは若い世代」~日本維新の会・丸山穂高議員×元経産官僚・宇佐美典也対談~

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維新の会所属の衆議院議員・丸山穂高氏(編集部:撮影)
維新の会所属の衆議院議員・丸山穂高氏(編集部:撮影) 写真一覧
安倍政権を誕生させた昨年末の衆議院総選挙で、自民党の圧勝劇とともに目立ったのが、橋下徹・大阪市長が率いる日本維新の会の躍進だった。その維新の会の候補者として大阪の選挙区から出馬し、28歳という若さで当選を果たした丸山穂高氏は、経産省出身の新人議員だ。一方、同じく経産省に官僚として勤務した後に30歳で独立した宇佐美典也氏。二人の若手官僚OBが、現在の霞ヶ関の課題や政治のあるべき姿について語り合った。【取材・永田正行/構成・亀松太郎(BLOGOS編集部)】

目次
1.二人の元若手官僚が語る霞ヶ関の問題点
2.「地方自治制度は事実上、破綻している」

「30歳までに政治家になろう」と決めていた

宇佐美典也氏(以下、宇佐美):経済産業省の元同僚ということで、まずはお久しぶりです。丸山議員が経産省に入ってきたときは、「凄い生意気な奴が入ってきた」と噂になったことが思い出されます(笑)。とはいえ丸山議員は早々と3年で役所を辞めて松下政経塾に行ってしまいましたが、なぜ官僚を辞めて、政治家になろうと思ったんですか。

丸山穂高衆議院議員(以下、丸山):後輩ということで役所時代のように”丸山君”でお願いします(笑)。もともと小さいころから、政治家を目指していたんです。小学校の卒業文集に「政治家になりたい」と書いていたくらいです。関西出身なので、幼いときに阪神大震災を経験しているのですが、父に連れられて現地にボランティアに行ったときに、周囲の人たちの政治や行政に対する不満を聞いたのが、政治家という職業に興味を持ったきっかけです。

役人ではなく政治家になりたいというのは、今の政治や行政の「仕組み」自体を変えなければならない、変えたいと考えているからです。これは行政の役割ではなく政治の役割です。もともと政治への志があったので、経産省に入る前の学生時代には政治家の秘書をやっていました。ところが議員の先生のもとで役所の人たちと話していると、いろいろな物事のスイッチを最初に押しているのは役所が多いということに気付いたんです。

そこで、いずれ政治家を目指すにしても、まずは行政の現場や政策決定のプロセスやノウハウを知らないとどうにもならないと思い、まず新卒で役所に入ることを考えました。経産省を選んだのは、私のような変わった者でも採っていただけるということだったことと、作家や起業家そして政治家など外部で活躍するOBも多い中で、途中で役所を辞めて外へ出ることについてもそれほど抵抗感がない空気があったからです。

もともと11歳で政治家を志して人生を考えたときに、改革のために日本に残された時間はそう長くない一方で、まだまだ未熟な自分を成長させる必要があることから、10代20代の間に自分を磨いて「30歳までに政治家になろう」と決めていました。だから政治経済の中心である東京への進学を決めましたし、大学時代は議員秘書もやらせていただきました。議員秘書や役所時代での仕事も含めて気が付いた、役所には出来ない政治の「仕組み」自体を変える必要があること、そして政治家になるには自らの人間性を高めるとともに選挙や政局にも強くなければいけないということで、「石の上にも3年」の3年を一区切りに役所を出て、松下政経塾の門を叩くことにしました。

宇佐美:松下政経塾では、どんなことをしていたのですか。

丸山:本当に様々なことをしていましたね。政経塾の一日は、朝6時に起きてラジオ体操をすることから始まります。その後、塾の構内を掃除して、ランニングをして、朝食となります。さらに朝礼があって、塾是、塾訓と呼ばれる政経塾の教えを皆で唱和します。その後は、講義があるときもあれば、剣道や茶道があるときもあれば、現場を見るために外に出て行くこともありました。

政経塾は「現地・現場」を重視しているので、基本的に常勤の講師がいません。塾生が「こういう人の話を聞きたい」「ここに行ってみたい」と提案する形で決まっていきます。今は4年制ですが、私のとき3年制でした。前半の期間はそういった形で寮生活を送り、同期で切磋琢磨する。後半は「社会保障」や「教育」などそれぞれの自分のテーマにしたがって行動する。私の場合は「議会制度改革」と「経済活性化」がテーマでした。

政経塾でいろいろな人に会う中で、自分の志も出馬の決意も固まりました。政経塾は志と人間を磨く道場です。塾生は職を辞めて退路を絶って来ているのですが、その出身は地方公務員やマスコミ、民間企業、金融機関など様々でした。しかし、みんな熱い志をもっていましたし、ロールモデルになるような先輩もいたので、大変勉強になりました。

宇佐美:政治家になるには官僚を経験しておいたほうがいいということで経産省に入ったということですが、実際に役所に入ってみて、どこか変だと思うことはありましたか。

丸山:宇佐美さんは、どうでしたか(笑)。

宇佐美:上手く話題を反らしましたね(笑)。僕が感じたのは、責任の所在の曖昧さの問題です。たとえば、100億円規模のプロジェクトともなると、民間企業ならば担当者はサラリーマン人生を賭けるくらいの意気込みで取り組むと思うのですが、役所の場合は予算を立てたら終わりで、いざ実行段階になると役人がコロコロ変わってしまう。プロジェクトが結局、失敗に終わっても、責任をうやむやにして誤摩化してしまう。ひどい場合「ある法律を通すから、この業界にお金を落として納得してもらう」というように、プロジェクト予算が政治上の調整の取引に使われて、バラマキ自体が目的になってしまうこともある。

丸山:その通りで、役所は誰も責任をとらない構造になっています。先輩から引き継いだ業務の連続性を重視して、担当者が何代も替わりながらやっているので、誰の責任か分かりにくい。そういうことは、確かにありますね。

私の場合、経産省で最初に配属された大臣官房総務課で、経済成長戦略の取りまとめをするために過去の先例をチェックしたことがあるのですが、「10年前から何も変わってない」ということに気づき、びっくりしました。各部署ではPDCAを回しているようで、結局、毎年同じことを繰り返している。

宇佐美:政策を決めるルートも、何十年も前から変わっていませんよね。それぞれの課に、お得意先の企業や大学がぴったりくっついている。政策を立てるとなると、担当者が大企業の官庁対応者を呼びつけるか大学の先生のところに訪ねて行って、「こんな予算があるんですけど、どうやって使うべきでしょうか」と相談する。その企業や大学の顔ぶれは10年たってもほとんど変わらず、既得権益を温存するような仕組みになっている。

丸山:そうですよね。役所のシステムとして、継続すること、先例があることについては素晴らしい対応をすることが出来ます。しかし役所は保守的な部分も多く、新しく何かを変えなければいけないというときに弱い組織です。

それは、「人」ではなく「仕組み」が問題なんですね。もし役所の外へ出た人が、外で新しいアイデアを吸い込んできたあと、再び役所に帰ってこられるのであれば、そして、そういう人材も上の役職に就くことができる仕組みになれば役所は大きく変わると思うのですが、なかなか変われないですね。

宇佐美:そのような「役所の仕組みを変えるべき」という議論は昔からある、ともいえます。問題は「誰が、どうすれば、仕組みを変えられるのか」だと思いますが、その点についてはどう考えていますか。

丸山:役所の組織論として一番大きいのは、採用や昇進などの「人事」だと思います。経産省で職員を採用すれば、基本的にずっと経産省で働くということになりますが、そうなると、どうしても経産省を中心にした考え方になってしまい、国全体をどう良くしていくかという視点が弱くなりがちです。

宇佐美:役人は省益をあまり背負わないようにするべきだということですか。

丸山:いや、そうではなくて、省益を「背負うとき」と「背負わないとき」の両方があっていいのではないか、ということです。もっと役所の外へ出る仕組みや、役所の外から客観的に見る仕組みを作っていくのがいいと思います。たとえば、10年ぐらい外へ行った人が再び役所に戻ってくるとか、まったく役所で働いたことのない人が中に入るとかですね。

宇佐美:人事の問題は、さきほど話した「責任論」とも関係していると思います。役所は基本的に、入ったら終身雇用で、そこでずっとやっていくのが前提になっている。そうなると、短期間の人事ローテーションが必要になり、各プロジェクトに対して、誰も最後まで責任をもたないということになる。

もちろん俯瞰的にものを見る力や組織を動かすノウハウなど人事ローテーションを続けるからこそ育つスキルもあると思うのですが、事業に関しては一つの分野や事業にコミットしなければ必要な能力や責任感は育ちませんよね。従来の人事制度には当てはまりにくいけど、たとえば5年の期間雇用で、「この人はこのプロジェクトに責任をもつ」ということを明確にするやり方をもっと増やしてもいいと思うんですよね。そういう人は、組織に縛られずにやるべきことをやる、と。

丸山:そうですね。役所には優秀な人がいっぱいいるのに、それを生かしきれていない。やはり「人」ではなく「仕組み」に問題があるのだと思います。

宇佐美:そういえば丸山君が大臣官房総務課にいたときに衝撃的だった事件があります。丸山君が所属していた官房総務課はそれぞれの部局に仕事を割り振るのですが、複数の部局から「それはうちの担当ではない」と断られたときに、丸山君が先輩の職員に向かって「なんなんだ、あんたは! 局の利益ばかり考えていて、全然、全体のことを考えていないじゃないか!」と怒鳴ったということがありました(笑)

丸山:そんなことがありましたか……。すみません、失礼しました。若かったですね(苦笑)

宇佐美:でも、丸山君が怒った感覚もあながち間違いとは言い切れないと思います。役割分担を明確にして仕事を増やさないというのは、役所内の原理としては正しいのですが、それを貫きすぎると全体を見失ってしまうという問題がある。

丸山:宇佐美さんは経産省を出て、今は前とは違う景色を見ていると思うのですが、どうですか。

宇佐美:役所を出てみて痛感するのは、「役所って、民間とは違う原理で動いているんだな」ということですね。民間で、少なくとも私のようなスタートアップの段階では、人に説明して納得を求めるよりも「俺がこうすると決めたから、こうするんだ」という感じでまず行動することが大事なのですが、役所はそうではない。AさんとBさんがいたら、それぞれの言い分をじっくり聞いたうえで熟慮して動き出し、双方がWin-Winか妥協できる仕組みを考えようとする。このスタンスとスピード感の違いは慣れるのに苦労しました。

丸山:民間の場合、プロジェクトが失敗したときに損害を被るのは自分自身、つまり自己責任だから、その分、自分でどんどん決めていくことができるのですね。でも、役所は国民から集めた税金や付託された権利に基づいて行政を進めているのでそういうわけにはいきません。新しいことを決めるのは、国民から直接選ばれた政治家の役割です。その点、今の政治は不甲斐ない。役所と同じように、政治も「足して2で割る」ということをしていたらダメです。もっとエッジの効いた、変える決断の出来る政治家がどんどん出てこないといけないと思います。

今、安倍さんの支持率が高いのも、TPPにしても教育にしても、きちんと方向性を打ち出して、どんどん前へ進めていこうという姿勢が評価されているからでしょう。役所だったら「調整できないだろう」とあきらめてしまうことをやっていくのが政治の役割なのであって、維新の会の橋下代表も、まさしくそういうところが支持されているのだと思います。

宇佐美:丸山君も、そういう橋下さんのリーダーシップにひかれているということですか。

丸山:それもありますが、もう一つは、地元の大阪でいろんな活動をしていると、東京に比べて「ほんまにこのままやったらアカン」と思うことが多いのですね。大阪は、梅田や難波など一部の街を除いて、人が減ってシャッター街みたいになってしまっている。関西空港もうまくやれば、もっとポテンシャルを生かせるのに、うまくいっていない。

東京へ一極集中するのではなく、大阪が成長発展のためのダブルエンジンの一つになれるのならば、それは大阪のためになるだけでなく、日本全体のためにもなるはずです。その意味で、私としては、橋下さんが一番言っていて維新の会の根本方針である「統治構造を変えたい」という部分と「大阪を元気にしたい」という部分が、自分の元々の志と一致しているし、これらをライフワークとしてやっていきたいということですね。

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