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  • 2013年04月09日 21:46

サッチャー元首相の死去に伴う中国での評価

イギリスのサッチャー元首相が亡くなりましたが、『環球時報』が大変興味深い社説「撒切尔夫人带走了大英帝国的余威」を掲載していたので、これについて少し。


1 記事の紹介

 最初にいつものとおり、記事を翻訳したものを簡単に紹介させていただきます。
 イギリスのサッチャー元首相が昨日病死した。彼女は3期連続してイギリスの首相の11年務め、冷戦やソ連崩壊を経験すると共に、中国と香港返還の共同声明を発表した、またフォークランド戦争を戦った。

 そして、イギリスの経済再生に貢献し、サッチャー元首相は大英帝国の余勢を体現しており、彼女のは死は1つの時代の終結を表しているという者もいる。

 サッチャーは西欧諸国で、女性で初めて首相となり、「鉄の女」と呼ばれた。彼女はレーガンと共に、ソ連崩壊に重要な役割を果たした。フォークランド紛争では、彼女の武力行使もためらわない姿勢が、多くの人に深い印象を残した。

 香港返還の交渉時、イギリスはフォークランドで「完勝」したので、イギリス国内には中国に対して強硬を述べる人が多くいた。そのため交渉は揉めたが、サッチャーは中国がアルゼンチンでないこと、香港がフォークランドでないことを、はっきり理解しており、中国と共同声明を発表し、香港返還の基礎を築いた。

 結果として、香港返還で、かの「鉄の女」は正しい「妥協」をした。中国とイギリスの摩擦は香港の正式返還まで続いたが、大きくこうした評価を下すことができる。

 サッチャーはイギリスの経済を盛り返したが、彼女の非国有化方針、強者に対する減税、特に労働組合運動に対する強硬姿勢は、今なお依然としてヨーロッパの経済と政治学者を感無量ならしめる。

 ヨーロッパ全土で、「鉄の男」「鉄の女」は現れなかったが、この原因は、落ちぶれつつあるヨーロッパ列強は、外からの強硬策では支えきれず、西側の選挙が発展した結果、政治家達が国内問題で更に弱くなったことにある。

 冷戦が終結し、米ソ対立は終わった。今後こうした対立は存在しがたく、中国とアメリカはこうした対立に至る可能性は少ないわけだが、ヨーロッパの新しい指導者は歴史的展望に欠け、思い切りがよくなく、サッチャーの様に中国を大きい目で見ることができない。


2 個人的感想

 中国では、サッチャーと言えば香港返還が真っ先に来るので、おそらく彼女の業績ということから言えば、それを強調した形で社説が掲載されることは予想通りでした。

 しかし、彼女が「鉄の女」と呼ばれていたことを引き合いに、何故今西欧で彼女の様な強い政治家が出現しないかという話で、中国にとって天敵とも言える「選挙」制度(エジプトの選挙結果を受け、西側に嫌みを言う中国アメリカの大統領選挙に対して中国人は冷静?)を引き合いに出して批判してくるとは思っておりませんでした。

 実際、こうしたことはロジックとしては全く成立していません。日本では、小泉首相の例が一番わかりやすいと思いますが、彼も選挙制度を通して政権の座につき、経済財政諮問会議などを用い、首相に強い権限が集中する体制を築きあげました(官僚主義の呪縛2)。

 しかし、その後の首相は、基本的に小泉首相時代と同じ体制を有していたにも拘わらず、同じような強い体制を作りあげることができなかったわけで、選挙制度などの体制とは異なる別の要因が大きな影響を与えていると考えます。

 ただ、個人的に一番興味深かったのが、最後のところで、故人であるサッチャー元首相を褒めるだけでなく、中国に都合の良い形で賞賛し、中国に対し警戒心を持っている現在の西側の政治家を批判するという形をとっているところです。

 しかし、サッチャー元首相は労働組合に厳しい政策をとったことからもわかるように、小さい政府を主張しており、中国のような共産主義(国家主導型の経済体制)とは全く相反する立場にいました。

 そのため、確かに香港返還の道筋を付けはしましたが、それ以外は、どう考えても中国にとってはかなり好ましくない政治家だったわけで、ものは言い様だと思った次第です。

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