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規制は退化の生みの母

今日の日経新聞は笑えた。笑うと同時に少し虚しさを覚え、記者の謙虚さをイメージした。何の記事かと言えば、1面の「規制 岩盤を崩す」と、それと対の6面の対談である。

ネットで新聞を購読すれば、この手の記事がどうなっているのかは不明、「ゴメンね」だが。

それで何が笑え、虚しく、謙虚なのか。これらの感情が起きたのは、これは記者自身の言葉ではなく、大田弘子氏の言葉を見出しにした「規制で栄えた業種なし」に対してである。この対談の中身は読んでいない(多分、読まないまま終わる)ので、以下は「規制に守られた企業の株は買えない、むしろ売り」と考えている僕自身の言葉である。

ごく最近、規制業種で破綻寸前まで追い込まれたのが、電力業界である。いまだに、規制の全面解除を免れようと抗っている。規制が原発の事故と業界の退化しか生み出さなかったのだろう。

また、規制の撤去を最高裁に命じられかねない「業種」が国会議員である。自分達が法律を作る立場を利用し、一票の格差を無視し続けてきた。この結果、政治に花が咲かなくなり、国民の不信だけが満開になってしまった。

逆に、規制を打ち破ろうと試みた企業が業界の雄になった例として、運輸(宅配のヤマト)、電話(携帯のソフトバンク)を指摘しておこう。また、規制のネットの上から補助金という肥料を注ぎ込んでもらっているものの衰退の止まらない業種として、農業と、これは非常に申し訳ないことだが教育とがある。

「で、どこが笑え、虚しく、謙虚なんや」ということになるから、この点を説明する。

実は、規制業種の最たるものの1つがメディアだからである。出版物や新聞の価格にしろ、音楽の価格にしろ、NHKの受信料にしろ、独占禁止法の適用除外か特別法(放送法)によって保護されている。これらの保護の名分はともかく、規制業種であることだけは確かである。このことを忘れたのか、忘れた振りをしたのか、謙虚に述べたのかはともかく、新聞業界の雄である日経新聞が「規制で栄えた業種なし」を見出しに使ったのは、一読者としてあまりにも驚嘆すべきこと、つい笑ってしまった。内部者からすれば苦笑ものかもしれない。

キンドルを買って思うのは、他の同種の端末でもそうらしいが、日本語のコンテンツがあまりにも貧弱なことである。業界にとってはともかく、読者からするとあまりにも不便だ。これに対し、英語のものは山ほどある。これでは日米の情報格差、教育格差は広がる一方だろう。

良いコンテンツをできるだけ多く、早く、低コストで、しかも便利に提供する。それがメディアの本来の使命だろう。そのために通信技術をいかに活用するのか。このことをもっと真面目に考えないといけない。日経新聞が電子版の新聞に力を入れ、紙面の何割かをその宣伝に使っているのは、この努力の一環だとは思うが、これに加え、「規制で栄えた業種なし」を当分の間、経営者や記者の座右の銘として欲しいものだ。

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