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放射性汚染水が大量に漏洩−−−多数の記者から公表が遅いという指摘

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地下貯水槽の様子(東電資料より)

 4月5日午後11時55分、東電は、福島第一原発に設置している地下貯水槽から放射性物質を大量に含む汚染水が漏洩した可能性があるというメールを一斉に配信した。

http://kinor.hatenablog.com/entry/2013/04/06/080300

 その後、6日午前1時半から臨時会見を開催。しかし説明者の尾野昌之・原子力立地本部長代理は、漏洩量や漏洩の原因等、多くの質問に対して「確認」するというに留まった。

 漏洩が発生した地下貯留槽の大きさは60m×53m×深さ6mで、3月2日までに約13000トンの汚染水を貯めて満水状態になっていた。この汚染水は、セシウム除去装置で放射性セシウムを取り除いた後の処理水で、除去できていないストロンチウムを1立方センチあたり2300ベクレル含んでいる。東電はこれを「濃縮塩水」と呼んでいるが、立派な放射性汚染水だ。

 東電が漏洩の可能性を認識したのは4月3日だった。地下貯留槽では漏えい確認のため、週に1回、貯留槽の底に敷いている3層の防水シートの外側に設置したドレーン孔と呼ばれる場所から水を採取し、分析している。東電の説明によれば、3日の分析で、それまで検出限界以下だった全ベータ核種(ストロンチウムを含むベータ線を出す放射性物質)を、1立方センチあたり約20ベクレル(20Bq/cm3)検出した。しかし、東電の漏洩確認手順では塩分濃度を同時に確認することになっており、この時は塩分がごくわずか(10ppm)だったため漏洩と判断しなかった。

 しかし全ベータが検出されたことから、翌日も続けて分析することを決定。よく4日に再度分析すると、貯水槽北東にあるドレーン孔で、やはり35Bq/cm3の全ベータを検出。このため5日には、3層になっているの防水シートの、2層目と3層目の間から水を採取して分析した。その結果、5日午後10時頃に約5800Bq/cm3の全ベータ、300ppmの塩分濃度を検出し、漏洩があったと判断したという。

http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/handouts/2013/images/handouts_130406_01-j.pdf

 もっともこの経緯には疑問点はいくつかある。まず、漏洩の可能性を認識した4月3日に、なぜ説明しなかったのかという点だ。複数の記者からの質問に対して尾野本部長代理は、「後から振り返ってみれば、兆候が出た段階で紹介しておけばという気持ちも強いが、4月5日の前は塩分濃度は動きがなかった。しっかり確かめる必要があるだろうと。5日に結果が出たので間違いないと判断した」などと説明した。

 この説明は、2年前の事故直後と同じ公表姿勢がいまだに続いていることを示唆している。100%の確実性がないと公表しないのである。

 2013年3月に発生したネズミによるショートが原因の停電事故についても、事故の発生から報道機関への公表まで3時間かかり、その理由について、状況を確認していたと説明した。2011年3月11日の事故後すぐにメルトダウンの可能性を認識していながら、認めるのに2か月もかかったことを思い起こすと、2年が経過して、その間に同じような発表遅れが何度もあったにもかかわらず、その公表方針に大きな変化がないことになる。

 また5日の分析結果の公表が午後11時になったことにも疑念が残る。東電が分析のための採水を実施したのは5日の午後2時半と午後3時だった。尾野本部長代理の説明によれば、全ベータの分析には時間がかかるため、結果が出たのは午後10時で、それから漏洩の判断に至ったという。

 しかし尾野本部長代理が説明した、漏洩検知の手順では、まず第1に、貯水槽に設置してある水位計などで水位変化を確認し、第2に採水した水の塩分濃度を分析して判断することになっている。塩分濃度の確認なら、それほど長い時間はかからない。

 今回は、水位変化が確認できなかったため、塩分濃度の他に全ベータを確認することで判断の精度を上げたということらしいが、そもそも漏えい確認のために採水したサンプルから、通常は10ppm前後の濃度だった塩分が300ppmも検出されれば、漏洩を強く疑うのが普通ではないだろうか。加えて、5日に採水した場所は、本来は水がない場所だという説明もあった。それならば、『本来は水がない場所』に水があったのだから、それだけでも漏洩の可能性を疑うのではないだろうか。

 つまり漏洩を示唆する出来事が複数あったにもかかわらず、東電はなにも公表しなかったことになる。繰り返すが、高濃度の全ベータ核種が検出されて100%の自身がつくまで公表しなかったのである。事故直後に、メルトダウンや放射性物質の拡散予測を公表しなかったことで、大勢が、避けられたかもしれない被曝をしたことを、どのように考えているのだろうか。

 その後、6日午前6時25分に東電は、続報として、漏洩量は120トンと推計したというメールを送信。漏洩した放射能量は18000万ベクレルと判断した

 東電は現在、原子力規制庁の指示もあり、漏洩した貯水槽から、隣接する別の貯水槽へ汚染水の移送を進めている。

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