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国債市場の乱高下

個人投資家にはほぼ縁のない、だから報じられることの少ない国債市場が乱高下した。やはりと思う。3/22に書いたように、短期間のうちに債券市場も株式市場も両方とも価格上昇するのは変だ。

以上の疑問に対し、今日の債券市場がある程度答えてくれた。

今日、10年国債利回りは0.315%まで低下し、史上最低利回りを記録した。歴史に残る日となる可能性大である。しかし、その後は売られて利回り上昇に転じ、一時は0.620%となった。債券価格でみれば急落である。その後は買い戻され、最終取引での利回りは4.6%となっている。昨日と比較して、0.025%の利回り上昇(価格下落)だった。より満期までの期間の長い20年債、30年債の利回りも同様に乱高下したらしい。(実は研究室に行かなかったので、利回りの詳しい推移は不明。)

このような乱高下が生じるのには、いくつかの理由が考えられる。

まず、5年債の利回りは0.1%程度となっている。この利回りでは国債を買う理由に乏しい。日銀に預けても(預金準備として預ける義務のある部分を除いて)、現在は0.1%の利回りを確保できる。銀行にとって預金保険などのコストを考慮すると、0.1%の利回りでは不十分である。ということは、満期まで5年前後の国債に投資する意味が消えつつある。「日本銀行に預けると0.1%の利回りになる」との措置がいつ廃止されるかもしれないとの思惑だけが、5年国債に投資する意味である。

では10年国債、20年国債など、満期まで長い期間を残した国債に投資するのがいいのだろうか。

残念ながら、日本が数年でデフレを脱却すれば、満期まで長い期間を残した国債利回りが上昇してしまう。その利回り上昇を日銀が力ずくで抑えれば、日本の金融市場に対する疑問符が明確になる。

逆に、数年でデフレを脱却できないのであれば、日本経済は大混乱するだろう。日銀と政府の金融政策上の癒着関係がクローズアップされかねない。その時、国債の利回りがどうなるのかは神のみぞ知るである。

今日の国債市場の相場は、以上の状況や懸念や表現したものだろう。債券、株式、為替の3市場のうち、どれが一番冷静だろうか。結論は為替であり、次に債券だろう。ただし、債券市場は一方通行しやすい。少数の投資家が支配する市場だから。この債券市場が混乱したということは、日銀の大胆な(昨日から「異次元の」と表現されている)政策に対し、冷静な投資家が消化不良を起こして戸惑った、疑問を感じたということではないのか。

日銀の言う「市場との対話」が、明日以降どのようになされるのか。いきなり緊張する場面となった。

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