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小選挙区制とその導入についてのマスメディアの責任も共に検証されるべきだ

「政治改革」後、すでに6回の総選挙が実施され、その結果、害悪や問題点は誰の目にも明らかになりました。このような「実験」を踏まえて、その結果どうなったかが検証されるべきでしょう。「政治改革」によって、政治は果たして「改革」されたのか、という検証が……。
 同時に、この制度についてのマスメディアの責任も検証されるべきです。その導入の旗を振ったマスメディアにも大きな責任があるのですから……。

 小選挙区制に数々の問題があり、大きな害悪を生むことは、すでに多くの国民の知るところとなっています。これについて、私もこれまで何度も書いてきました。
 ここでは一点だけ、そもそも選挙とは何かという原点から批判しておきましょう。小選挙区制は選挙の本質を歪め、最もふさわしくない制度だからです。
 選挙とは代表を選ぶ行為で、有権者が決定に直接参加できない間接民主主義に特有の制度です。有権者の代わりに代表が決定を行うわけですから、有権者と代表との間にズレや歪みが生ずることがあってはなりません。

 ところが、小選挙区制は、多数と少数を逆転させる可能性がある、極めて少数の支持で多数を獲得できる、代表選出に関わらない投票(死票)が膨大に出る、わずかな支持の変動で代表の構成が大きく変わってしまうなどの弊害があります。これについては、いずれ改めて説明することにしますが、このような弊害が明らかなのに、「政治改革」と称してこの制度が導入されました。
 しかも、その導入の先駆けとなったのが第8次選挙制度審議会で、そこには多くのマスコミ関係者が加わっていました。これは89年6月に発足し、会長の読売新聞の小林与三次社長はじめ、27人の委員のうち、11人が日本新聞協会の会長、各紙の社長、論説委員長、解説委員など、社論の形成に大きな影響を与える大手メディアの関係者だったのです。
 この8次審が90年に海部内閣に「小選挙区比例代表並立制」を答申しますが、これが小選挙区制導入の始まりになりました。その後、92年4月にこれらのメンバーと財界代表らが「民間政治臨調」を結成し、「政治改革」を推進する大キャンペーンを展開することになります。

 その結果、選挙制度が変わり、日本の政治は今日のような「焼け野原」になってしまいました。マスメディアは、戦争協力に引き続いて、またもや日本の荒廃に手を貸したと言うべきでしょう。
 それに対する反省はあるのでしょうか。今日の政治の劣化に対して、自らも大きな責任を負わなければならないという自覚を持っているのでしょうか。
 犯された過ちは、検証され、改められなければなりません。そのための材料は、豊富に存在しているはずです。

 6回も繰り返されてきた選挙において、小選挙区制はどう機能し、どのような問題を生み出したのか。その出発点に際してマスメディアが主張したメリットは実証されたのか、その主張と報道にはどのような誤りがあったのか、きちんと明らかにする調査報道が必要でしょう。
 そして、最悪の選挙制度である小選挙区制の息の根を止めてもらいたいものです。自らが生み出した「モンスター」を葬り去るのは、それを生み出した者の責任なのですから……。

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