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中国人はSNSで「民主主義社会のふるまい」を練習している~中国の著名ブロガーが語る「ソーシャルメディアの役割」

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「中国のSNSは巨大な戦場。艦船と艦船が戦闘している」

「工人日報社」編集部主任、石述思氏。
「工人日報社」編集部主任、石述思氏。 写真一覧
ー中国の言論空間は3つに分かれると思います。1つ目は、政府当局が上から出していく世論。2つ目は、ネットの世論。3つ目は、中国のネット普及率はまだ40%ですから、残りの60%のネットに参加できない人たちの世論です。この3番目の「ネットに参加できていない人たち」の声は、ネットの世論に対してどのように反映しているのでしょうか。実は、まだあまり実現できていない部分があると思うのですが。

五岳:中国以外でも、ネットにアクセスできる人とできない人を分ける「情報デバイド」が存在しています。両者の、情報を得たり発信したりする力には大きな開きがあります。しかし、中国ではネットユーザーが日々増えていますし、また海賊版の端末があるため、モバイル端末の多さも世界で抜群だと思います。

問題は、発言力が強い層とそうではない弱い層があることです。だからこそ、中間層・中産階級をさらに育成していかなくてはいけません。そのように育成された中産階級が、情報の弱者に変わって声を上げていくことに期待しなければなりません。それが実現できれば、中国も民主化に向けて少しずつ進歩していくと思います。

:確かに、中国ではインターネットが使えない人たちがいますが、こういった人たちがある事件に遭遇した場合に、自分の子供やほかの人にお願いして、ウェイボーに声を載せてもらうことがあります。そのほか、助けを求めたり、自分の利益を擁護してほしいという声を、ネットにアクセスできる人に依頼して発信するということがあります。

ー今後、中国の伝統的なメディアはどのように発展を進めることができると思いますか。

:インターネットというものは、個人の声を伝播するチャンネルだと思います。伝統的なメディアには載せられないような個人の意見が、ネットでは発信することができます。私と五岳散人さんが知り合えたのもネットのおかげです。

今後のメディアは、紙媒体とテレビ、インターネット(PC)、モバイルの4つに大きく分けられます。どんなメディアもいつかは消滅しますが、情報を発信する源である人間は消えません。つまり、どんなメディアであれ、鋭いまなざしをもった知性が大切だと思います。

五岳:今後の中国のメディア業界について予想してみると、5年後には、多くの伝統メディアが崩壊するでしょう。出版業などを含めて、おそらく60%の古いメディアが崩れていくと予測します。

今後は、新しい時代のメディアとして「自メディア」が発展するでしょう。つまり、ある個人にまつわる話、あるいは、ある個別のテーマを追跡していくメディアが伸びてくると思います。このような自メディアへの転換は、3年か4年で実現できるだろうと思います。

ー中国において、ソーシャルメディアの可能性と限界について、どう考えていますか。

五岳:中国のSNS上の言論は、とても偏っています。中国だけでなく、他の国のSNSでも偏った、過激な意見が多くみられます。これは人間の本性にもとづいているのだと思います。人間というのは、自分の正しさを証明しようとする存在で、それを証明しようとするときに、非常に過激な論旨に陥るものなのです。


中国のSNSは巨大な戦場です。艦船と艦船が戦闘をしているような場です。今までの伝統的なメディアは、中国人に意見を発表するような空間・場所をほとんど与えてくれなかったので、それも当然といえます。

私は中国の今のSNSについては、とてもいいと思っています。民主主義の社会では、どんな人も自由に自分の意見を述べることが必要です。中国のSNSはいま、中国人にその練習をする場を与えているといえます。お互いに意見を発表し合って、それを認め合うという「民主主義社会でのふるまい」を練習する場になっていると思います。

:インターネットには副作用があって、人を過激にさせてしまうところがあります。しかし一方で、議論を交わし、ディスカッションを経て、みんなが理性的になっていく面もあります。

一つの例として「同性愛」の問題があります。中国では10年前は、同性愛について話題にすることはタブーでした。しかし最近、インターネットでアンケートを実施したところ、私たちの予想を超える反応があったのです。「同性愛者の結婚の合法化について」というテーマについて、1420万人が投票に参加しました。

以前は、こういうタブーといえるテーマについて議論しようとすると、過激な人が一斉に批判したり、差別的な反応を寄せることが多かったのですが、今はそうではありません。人々が非常に高い関心を持って参加すると同時に、徐々に理性的になってきています。

大谷:最後にみなさんに一言ずつ、日本と中国の関係を改善していくために、メディアとしてどんなことができるか、うかがいたいと思います。

:メディアにとって、「自由」と「誠心誠意」は重要な要素です。私たちは、いいシステムを作ることで、理性的ではない行為に対してコストを強いることが必要でしょう。

五岳:情報の自由な移動と伝達が、誤解を解く唯一の方法です。

:中国の進歩を図るためにも、日中関係の改善を図るためにも、一兵卒の地道な努力が必要です。粘り強く前進するということです。

大谷:こういうリアルな場やネット上で、日本と中国の人がもっと交流できるような機会が増えていけば、日中関係にも明るい未来が開けてくるのではないかと思います。今日はありがとうございました。

■過去のイベント

「新卒採用をやめて、もっと多様性を」ー外国特派員と考える、日本のメディアと記者のあり方
自分にとっての「国」とは何か~最前線から考える領土問題~
ブロガーよ!批判をするよりも、批判を受ける人間になれ!

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