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誰も語らないアベノミクスの一面

 ちょっと気が早すぎるかもしれませんが‥今年の流行語大賞はアベノミクスになるのは間違いないのではないでしょうか?

 とは言っても、今年はまだ9か月も残っている訳で、この先何が起きるか分からない。しかし、この先景気がどうなろうとも、アベノクスという言葉の浸透度は半端ではない。

 大胆な金融政策、機動的な財政政策、そして、民間投資を喚起する成長戦略。

 金融政策、財政政策、そして成長戦略のそれぞれにつく形容詞が何であるかまで正確に知っている人はそれほどいないにしても、アベノミクスが3本の矢で成り立っていることは多くの人が知っている

 仮に、そうしたことを知らないとしても、安倍総理になってから急に円安になり、そして急に株価が回復していることは皆よく知っている。そして、市場のムードが明るくなってきているので、アベノミクスがこうしてもてはやされるのです。

 ただ、冷や水をかけるようで申し訳ないのですが、では、アベノミクスがどのようなメカニズムで景気回復に貢献するのかと言えば‥大変曖昧でしかないのです。

 大胆な金融政策を打つことによって円安が起きるから‥そして、円安になるから輸出企業の業績が回復し‥それが経済成長の起爆剤になる、とでも言うなら、その意見に賛成するかどうかは別にて、一応筋は通っているのです。

 しかし、安倍総理が心酔する浜田教授を始めとするリフレ派の面々が言うことは、円安よりも、そもそもインフレ期待が起きることによって、経済活動が活性化すると言うのです。

 では、安倍政権が発足して100日が経過した今、本当に大胆な金融政策の結果、インフレが起きようとしているのか?

 4月に入ったら、いろいろなものが値上げされるというニュースが報じられているので‥或いは円安のせいで物価が上がると言われているので、これから先インフレになることは十分考えられる。それはそのとおり。

 しかし、それは、大胆な金融政策の結果、インフレになるというのとは少しばかり意味が違う!

 まあ、いいでしょう。アベノミクスがどのような意味を持つものかは、やがて時間の経過とともに明らかになるでしょう

 ただ、私は一つだけ言っておきたい。それは、誰もが語らないアベノミクスの一面についてです。

 アベノミクスは、謂わば水戸黄門の印籠のようなもの。誰がいちゃもんをつけられるでしょう。

 しかし、アベノミクス景気を良くする効果があると信じられているように、アベノミクスが景気の足を引っ張っている面もあるのです。

 気が付きませんか?

 4月1日に、日銀短観が発表になりました。ご存知ですよね? 製造業に属する大企業の景況判断が3期ぶりに改善したと報じられていました。

 しかし、改善したと報じられた割には、大企業の業況は思ったほどには改善していなかったのです。ボロクソに言われている民主政権時代の1年前、或いは2年前の状況に比べても、です

 なぜでしょう? こんなに円安になって、輸出企業の業績が回復していると喧伝されているのに

 では、円安の恩恵はそれほど受けないと考えられる非製造業業は、もっと業況が改善していないのか?

 しかし、非製造業はグーンと改善しているのです。グラフをご覧になれば一目瞭然です。

 画像を見る


 何故非製造業は業況が回復し‥その一方で製造業はそれほどではないのか?

 それは、ズバリ、中国の影響が大きいのです。

 安倍総理は中国に対して毅然とし態度を取っている。つまり、尖閣の領有権に関して、一歩も引かない態度でいる。

 アベノミクスを支持しない私でも、尖閣の問題に関しては断然安倍総理を支持するのです。

 ただ、そうして安倍総理が中国に対して毅然とした態度を取り続けるので‥中国としても上げた拳の下ろしどころがなく‥つまり、日本に対して中国も反発を続ける。もっと端的に言えば、日本製品を買わせないようにする、と。

 昨年、日本経済が落ち込んだ大きな原因の一つは、中国への輸出が急減したことにあるのです。

 つまり、尖閣の影響が表れた、と。そして、そうして中国との緊張が高まったので、中国側としてもそれまで積極的に円資産に投資していた姿勢を改め、一層円安に拍車がかかったとみるべきなのです。

 今世界一の貿易黒字国は中国。これは誰もが認めるところです。そして、そうして貿易で稼いだ外貨を有利な先に投資しようとするから、中国の投資姿勢が為替市場に大きな影響を与えるのです。

 日本が大胆な金融政策に乗り出すなんて幾ら言ったって、中国を含む国際的な投資ファンドが円を買い続ければなかなか円高が収まらないのは我々が経験してきたとおりなのです。だとすれば、今回の円安は、中国が投資スタンスを変えたことが大きな理由になっていると考えるべきでしょう。

 誰も語らないアベノミクスの一面とは、このように安倍総理の外交姿勢が引き起こしている日中間の緊張の高まりによる経済への影響を指すのです。

 アベノミクスの誰も語らない一面のお蔭で、これだけの円安がもたらされた、と。しかし、それと同じ理由で、幾ら円安になっても中国への輸出が回復しない。だから、日本の製造業界は、景気がそれほど良くなっているとは感じないのです

 中国への輸出を回復させるために、安倍総理は中国との関係改善に努めるべきだ、なんてことは私は言いません。もちろん、真の意味で関係改善が図られれるのであれば、それに越した事はない訳ですが‥今の中国と関係を良くするためには、理不尽な要求を受け入れるしかない訳ですから、長期的には事態をより悪化させてしまう恐れがあるからです。

 アベノミクスの効果を考える際には、この中国との関係についてもよく見ておくことが必要なのです。

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