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ニートだらけのこの世界 - 悪化を続ける若年層の失業率

2013年1月、世界経済会議に出席したメルケル首相は「ユーロ圏の大きな問題は若年層の失業率だ」とコメントした。

リーマンショックによる混迷により、ドイツを除く多くの国では雇用者数が未だにショック前と比べて凹んだままとなっているが、若年層(15-24歳)の失業率は特に悪化が激しく、欧州、中東、北アフリカなどでは新たな政情不安の種となっている。

リンク先を見るILO(国際労働局: International Labour Organization)のデータによると、12年末時点で、分かっているだけで世界には7,460万人の若年層の失業者がいるという。この数字はフランスの全労働者の2.5倍、イタリアの3倍に相当する規模だ。

企業のIT化が進んでいることや、経験のない若年層を優先して雇い入れる経済的余裕がないことが主な要因であるが、ギリシアの若年層失業率は44%、スペインは46%、イタリアは29%、フランスは22%と、異常な状態が続いている(*データは11年末であり、現在はこの数字よりも更に悪化している)。
リンク先を見るこうした中、慢性的な不景気により、職のない若者が社会からどんどん遠ざかっていることが問題視されている。トルコでは若年層労働者の30%が失業中であるが、そのうちの8割強が職を探すことを諦めている。

日本でもニートは社会問題となって久しいが、日本やドイツでは若年層の失業率は8%程しかない。もちろんこれは進学率の違いを考慮しなければならないが、客観的に見て世界は日本よりもニートであふれかえっているのである。

これを性別で分けて見ると、更に予想外のデータが見られる。ギリシアを除くすべての国で、男性の方が女性よりも失業率が高く、また、職を探している人の率は女性よりも男性の方が圧倒的に高い。

つまり、世の中の男性は女性よりも一生懸命仕事を探しているのに、就職できる確率は女性よりも低いということだ。この要因も、同様に雇い主が若手を雇い将来の幹部となるような人材を育てる余裕がなくなっているためと推察される。

リンク先を見る世界中でニートが増えているということは、独り立ちできない大人が増えているということでもある。事実、図のように若年層の失業率と実家暮らしの相関性は世界で見ても極めて高い。

これらの現象が将来の世界経済に大きな足枷となることは間違いない。就業できない若者が増加すると職業技能の継承や、貯蓄の形成、親元からの独立が遅れることとなり、潜在的な成長力を弱めることになりかねない。

ILOは各国政府に若年層の就職支援を強化するように呼びかけるものの、当該各国は経済問題が山積みでそれどころではないというのが実情である。この問題は今後とも尾を引くこととなりそうだ。

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