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若者人口の1%がひきこもり、4%がひきこもり親和群な社会をどうしていくのか

横浜市が「横浜市子ども・若者実態調査」を公開しました。

僕も委員のひとりとして設計から調査結果の公表まで少し関わらせていただきました。

調査の全体構造は

①一般市民調査
 aアンケート調査
  調査対象:横浜市内に居住する満15歳以上39歳以下の男女個人
  標本数:3,000(住民基本台帳から無作為抽出)
  方法:郵送配布/訪問回収調査
  有効回答数:1,386人(46.2%)
 b追加調査(ヒアリング)
  3事例

②施設利用者調査
 30事例

から構成されている。郵送と訪問に対して、46.2%の若者が回答に協力したというのは非常に大きな成果だったのではないかと思います。

そこから横浜市がはじいた数値が下記になります。

定義:ほとんど家から出ない状態が、6か月以上継続し、かつ、疾病、介護、育児等をその理由にしないもの

該当者が10名(男性6人・女性4人)いたため、有効回答数に占める
割合を0.72とし、横浜市の該当年齢人口に数値をあてると

1,136,000人×0.72= 約8,000人が定義におけるひきこもり状態であると推計されました。

ちなみに、ひきこもりに近い層を親和群として推計しています。

定義:家や自室に閉じこもりたいと思うことがある等、心理的にはひきこもり群と同じ意識傾向を持っているが、ひきこもり状態ではない者

該当者が63名(男性28人・女性35人)で、有効回答数に占める割合が4.55%です。

同じく該当人口にあてはめて計算してみると

1,136,000人×4.55%= 約5,2000人と推計されます。

過去、内閣府や東京都も類似の調査をしており、下記のように比較もなされています。何かクフの調査結果はやや今回の数字よりやや高く出ておりますが、東京都の調査とは非常に近い数字になっています。

[画像をブログで見る]

その他、「単純集計」の結果として、いじめの経験や就職でのつまずきなども公表されていますが、単純集計なので具体的なことは見えづらいところがありますが、ひとつの参考にはなるかもしれません。

内閣府では、15歳から29歳までの人口を約3,600万人としています。
※平成24年度子ども・若者白書 http://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h24honpenpdf/pdf/1-1-1.pdf

若者は現在、15歳から39歳までを指すようになりましたので、そこに合わせるとざっと5,500万人程度かと思います。

これらの調査にあるよう、その1%が定義にある「ひきこもり」であるとするならば、現時点で55万人が「ほとんど家から出ない状態が、6か月以上継続」していることになります。

そこに加えて「疾病、介護、育児等をその理由」にする方が、若い世代にいることになります。

ここで私たちが考えなければならないのは、あくまでも個人や家族の責任として切り捨てるのか、それとも(感情面はともかく)適切なサポートを行うことで、地域や社会を支える側になってもらうよう社会的な投資をしていくのか、を選択しなければなりません。

当然、39歳以上の方もいるわけですから、これだけ社会の担い手人口があからさまに減るなか、その担い手のなかにも支える側に回るところか自分自身を支えることで手一杯、または近い将来手一杯になる可能性があるひとがたくさんいるということです。

現在、大きな若者支援の流れとして、「対処型」と「予防型」の支援があります。対処型は、社会からかい離された状態になってしまった若者をサポートします。「予防型」は”そうならないように”早期からさまざまなサポートをしていく取り組みです。

後者は「青少年の健全育成」と近い概念になります。育て上げネットはひきこもり状態に限りませんが、「対処型」から入り、いまは高校生や大学生、小中学生に必要なサポートを行っています。これは「予防」とも取れますが、現場では高校年代は予防+対処、小中学生だと健全育成の概念に近く、現状、さまざまな理由で不足する経験機会を提供しています。

若者支援は経費なのか、投資なのか。これは最近語っていることですが若者という年代を支えることが社会に根付かないままに歴史を重ねた部分として、さらに、これだけ国の財政等が苦しくなってくると、新たに生まれた社会課題への支出は消極的、かつ経費的になります。特に、所得の再分配のなかでだけ支えようとすれば、限られたリソースを、椅子取りゲームのごとく再分配しなければならず、既存の分野からすれば苦しい or 面白くないわけです。

しかし、これを「投資」と考えた場合はどうでしょうか。現状に至った経緯はひとそれぞれだと思いますが、少なくとも無関心や排除の感情的な観点から切りすれてれば、若者たちは年を取り、支える側になる機会を失ったままの状態になります。

一方、適切なタイミングで適切なサポートを「投資」と位置付けて行えば多くは社会と接続し、活躍することができます。少なくとも現場ではいつもそういう場面に出くわしています。

経費は少ない、ないほうがいい。

しかし、将来よい形でのリターンが見込めるのであれば、社会的な投資として社会的なサポートを”いまのうちに”拡充しておくことは、社会全体としてはプラスなのではないでしょうか。

どうしても、ひきこもりに限らず、若者への支援は感情的側面からキツイ言葉をかけられることが多いのですが、個人の考えや価値観を一度飛び越えて、社会全体を未来志向で考えた場合にどうあるべきなのかをもっと考えてもいいかなと思います。

これまでずっとこの手の調査研究で不足していたのが「で、結局誰がなるの?」「原因はあるの?」とそれらがある程度把握されないと事前に手を打つことは難しくないですか?という至極まっとうな意見がたくさんあります。

僕ら現場が持っている情報はそこを見つけるのに大きく役立つと考え、下記のような取り組みも行っています。少しでも適切なデータがみなさまに公表できるよう頑張ります。

READYFOR?
若年無業者白書-その実態と社会経済構造分析-
https://readyfor.jp/projects/underserved-youth

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