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続報!米国政府へ直接取材:「TPPで関税(customs)等は今後議論されない」という米通商代表部の声明翻訳を、米国政府への直接取材で確認

 我々は3月14日に「日本政府はすでに、TPP参加に際して、無礼で不公正な条件に同意している」米国交渉官が明言~秘密のTPP交渉会合に潜入した内田聖子氏が明かすTPPの正体と題して、TPP交渉の生々しい内幕を報じ、3月15日に【TPP交渉、日本の『聖域』は守られない!米通商代表部声明により判明】と題するブログ記事を掲載した。

 その中で、3月14日までシンガポールで行われていたTPP第16回交渉会合後に、USTR(米通商代表部)の発表した声明を独自に邦訳し、「関税(customs)、通信(telecommunications)、規制の統一(regulatory coherence)、開発(development)を含むいくつかの交渉グループは、今後の会合で法的文書に関して再度集まっての議論は行われない」という驚きの内容が含まれていることを明らかにした。

 安倍総理は、3月15日にTPP交渉参加を正式に表明し、同時にコメを含む重要品目について、関税撤廃が行われないように「守るべきものは守る」「強い交渉力で結果を出す」と宣言したが、米政府のTPP交渉担当部門であるUSTRによれば、「関税」については、もはや議論は行われないのだという。議論も交渉も行われないのに、「守るべきものは守る」などということは不可能である。

 この記事に対し、「『customs』は『税関』を意味する用語であり、『関税』は『tariffs』であり、誤訳ではないか」というご指摘をいただいた。

 また、日本政府が3月18日に取りまとめた「第16回交渉会合の概要」でも、「―規制制度間の整合性,電気通信,税関及び開発については良い進展があった。これらの分野の残された作業は,協定を完成する段階において取り扱うこととし,当面は,これらの分野の作業部会は開催されないこととなった」と、「customs」を「税関」と翻訳している。

 確かに前提として、英語の「customs」には、「(空港などの)税関」と「(輸入)関税」という両方の意味があり、「(空港などの)税関」の方が、最も日常的に使われる用法である。

 そのことは承知の上で、我々は、このUSTRの声明の「customs」は「関税」を指すと考えており、「誤訳ではない」という見解に立つ。以下、その根拠を述べる。

 まず、USTRの文書はTPP交渉の内容に関しての声明であることから、「(物理的場所としての)税関、という意味」に解釈するのは不自然である。

 第2に、(税関で行われる事務的手続きという意味での)「税関手続き」(customs procedures)という意味がある。これはTPP交渉内容にも入っているため、これを意味する可能性はありえなくはない。

そうすると、可能性としては、
①「関税」を指す
②「税関手続き」を指す
③「関税」と「税関手続き」の両方を指す

の3つがある。

 それをふまえ、我々は3月18日、米国政府の担当者に直接、「この『customs』という用語は、『関税率(customs duties=tariffs)』、『関税法(customs laws)』、『税関手続き(customs procedures)』など、ある特定の意味を持って使われているのか? それともより一般的な意味として使っているのか?」と問い合わせた。

 米国政府担当者は、我々の取材に対し、取材源の秘匿を条件に、「(TPP交渉において)『customs duties』と『tariffs』という用語は同じ意味で、置き換え可能です。声明文の中の『customs』は一般的な意味で使われています」と回答した。

 従って、USTRの声明に用いられた「customs」の語は、「関税」と翻訳するのが妥当であると考えられる。

 「customs」という言葉の意味の多義的な解釈は可能だが、USTRがなにがしか特定の意味に限定していない以上、「関税」という訳を「誤訳である」と断言することはできない。

 そもそも、この声明文は、USTRが米国議会に対して、「これだけ交渉が進んでいる」ということをアピールする目的で発表されたものである。米国連邦議員がこの声明を見て、「customs」を「税関」などと捉えるとは到底考えられない。



■日本政府の翻訳に疑問点

 また、日本政府が取りまとめた「第16回交渉会合の概要」であるが、「customs」を「税関」と訳した点だけでなく、他にも不可解な点がある。この翻訳では原文と違い、順番が「―規制制度間の整合性」「電気通信」「税関及び開発」となっている。

 しかし、USTRの原文では、我々が翻訳したとおり、「customs」「telecommunications」「regulatory cohesion」「development」となっており、「customs」が筆頭にきている。またその前の一文の列記項目の中でも「customs」は一番最初に上げられている。

 英文のルールから言えば、「一番始めに列記されるものが一番重要な項目」ということになる。この順序は重要な意味を持っているはずなのである。

 政府の翻訳文書では、その順序を勝手に変えてしまっている。非常に不可解である。「関税(customs)」という言葉がなるべく人目につかないようにするための「配慮」であるとしたら、実に「姑息」であると言わねばならない。(調査取材・野村佳男・佐々木隼也/文責・岩上安身)

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