記事

「法的な対応」というチキンレース

別にネットだけに限らず数十年も浮世にいれば、誹謗中傷されることもあるし、「告訴しますよ!」という言葉を投げつけられることもある。Parsleyの乏しい会社員経験の中でも、クレーム対応で法的手段を散らかされることは幾度もあったし、影響力の大してない吹けば飛ぶようなブログに対しても、年に数回程度はちらつかされたりしている。

 まあ、こういった対応が面倒くさいことこの上ないから、文句言われたので削除しましたてへぺろ(・ω<)…というのは、大手のメディアやポータル・サイトも案件によっては採用するし、間違っているとは言いがたい。とはいえ、一度そのような要求に応じると、「理不尽な要求でも折れるんだな」と周囲に知れてしまうという弊害もあったりするから、折ることが出来ない一線を決めて、できればポリシーとして明文化しておくのがベターだろう。

 こんなことを考えたのは、上杉隆氏が自身の講演会の内容を公開したブログに対して記事の削除を求めたというのを耳にしたから。

 こんな苦情が(木星通信 @irakusa)

 相手を「ニュースブログ」と認めた上で「肖像権および著作権侵害」というあたり、上杉氏が報道の自由を盾にして政府機関に相手してきた経緯を知っていればなかなか味わい深い。
 仮に問題の記事が事実と異なる内容が含まれる場合、それを指摘し訂正を求めるのは当然のことだろう。だが、今回の「苦情」ではそのような要求はなく、いきなり全部削除しろ、というのは随分と乱暴だという印象を受ける。
 いずれにしても、多くのクレーマー同様に、本気で訴訟を想定しているのではなく、「法律を持ち出せば相手が折れるだろう」と考えているのではないかと疑問を覚えるくらい、軽~い感じの文面だなぁ、と。

 こういった心理戦に持ち込まれた時の選択肢は、先程上げた「折れる」という他に、「無視する」「おおごとにする」といった対応が考えられる。
 何事もなく、粛々と無視するというのは、一般社会においては一番有効に働くことが多い。けれど、ネット上では外野からの反応があってだんまりを決め込むのが難しい場面もある。今回のケースも、沈黙を続けると上杉氏を支持する方々からtwitterで嵐のようなメンションがやってくる事態になったのではないか。
 そうなると、抗議があったことを公開して堂々と喧嘩に応じるというのは、コストがかかるけれど正しい選択ということになるかな。

 まぁ、これが元切込隊長氏ほどの巧者ならば、一度記事を非公開にして再度長文の質問状をアップした上で、ご丁寧に相手と同じようにプレスリリースサービスを使って内容を告知するという手段を造作もなくやってのけるわけだけど。彼の行ったことは、相手に合わせてエスカレーションしていくというしっぺ返し戦略を忠実に守っているというあたりが参考になるかもしれない。誰でも出来ることではないけれどね。

 ネットに限らず、生きている上で訴訟マターを持ちだすひとに出くわす確率は、想像よりも高い。その際に適切な対応をするためには、最低限の法律の知識があることと、知り合いに助言を求められる専門家がいることが望ましいが、大前提として、そういったチキンレースに耐えられるだけのメンタルを持つことが大事なのでは、と思う。その上で、もし揉め事がもとで会社や家庭など実生活に影響が及んだ場合には、逆に内容証明を送るくらいの用意は気持ちだけでもしておく必要があるのではないだろうか。繰り返しになるけれど、喧嘩の基本はしっぺ返し戦略ですよ。

 そんなこんなで。皆様の奮励をお祈り申し上げます。

リンク先を見る

内容証明文例200―通知 請求 要求 撤回 催促 抗議

posted with amazlet at 13.03.20保田 行雄
金曜日
売り上げランキング: 588,038
Amazon.co.jpで詳細を見る

あわせて読みたい

「著作権」の記事一覧へ

トピックス

議論福島第一原発処理水の海洋放出は許容できるリスクか?

ランキング

  1. 1

    都構想リーク記事に陰謀の匂い

    青山まさゆき

  2. 2

    橋下徹氏 毎日新聞は訂正すべき

    橋下徹

  3. 3

    精子提供を年間100回 男性の葛藤

    ABEMA TIMES

  4. 4

    田原氏「菅首相は地雷を踏んだ」

    田原総一朗

  5. 5

    菅首相の社会像「腹立たしい」

    畠山和也

  6. 6

    日立金属が3200人の人員削減へ

    ロイター

  7. 7

    陽性者数報道がコロナ拡大抑制か

    中村ゆきつぐ

  8. 8

    杉田議員が差別発言繰り返す背景

    文春オンライン

  9. 9

    タワマン強盗の恐怖を被害者激白

    NEWSポストセブン

  10. 10

    強TO!急ZO! 日経の韻が巧MYO!!

    BLOGOS しらべる部

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。