記事

「刑事裁判の絶対権力者」による「ざまあ見ろ」判決の傲慢

3/4

秘書事件控訴審判決

これに対して、秘書事件の控訴審判決(飯田喜信裁判長)は、石川氏らの故意に関して、以下のように述べている。

《原判決は,本件4億円の借入れ等に関する「不記載」及び「虚偽記入」について,被告人  石川の故意及び動機が認められるとしているところ,その理由付けを要約すると,次のようになる。

ア 被告人石川は,小沢から受け取った本件4億円を分散入金した上,後日りそな衆院口座に 集約している。このような迂遠な分散迂回入金は,本件4億円を目立たないようにするための工作とみるのが自然かつ合理的である。

イ 本件4億円は,本件土地購入の原資として小沢から借り入れたもので,実際に本件土地の取得費用等に充てられている。それにもかかわらず,被告人石川は,本件土地の残代金等を支払った後に,小沢関連5団体から集めた金員を原資とする本件定期預金を担保にした本件預担融資を組み,小沢を経由させた上で陸山会が転貸金4億円を借り受けている。本件預担融資を巡るこれら一連の経過をみると,被告人石川において,平成16年分収支報告書上,本件4億円の存在を隠そうとしていたことが強くうかがわれる。

被告人石川は,本件土地の購入を平成16年分収支報告書に記載せず,平成17年分収支報告書に記載しようと考え,被告人大久保を介して売主側と交渉し,所有権移転登記を平成17年1月7日に延期している。このような画策行為も,前記イと同様に,被告人石川が本件4億円の存在を隠そうとしていたことをうかがわせるものといえる。

エ 以上を総合すれば,被告人石川は,本件4億円の収入や,これを原資とした本件土地取得費用等の支出が平成16年分収支報告書に載ることを回避しようとする強い意思をもって,それに向けた種々の隠ぺい工作を行ったものと推認することができる。

被告人石川が本件4億円の収入等を平成16年分収支報告書に載せないように,種々の隠ぺい工作を行っていたとする原判決の推認の過程は,自然かつ合理的であって,種々論難する所論を踏まえて検討しても,被告人石川の故意及び動機を認定した原判決の判断に,論理則及び経験則に違反するところはない。》


これを、前に引用した小川裁判部の小沢氏事件の控訴審無罪判決の判示と比較すれば、秘書事件判決の石川氏の犯意と隠蔽の意図についての判示が全く理由になっていないことは明らかである。

例えば、小沢氏事件の控訴審判決では、不動産の所有権移転の時期についての石川氏の認識に関して、不動産業者Yの側からの提案によって、所有権移転の延期の合意が行われたと認定しているが(下線部分)、秘書事件控訴審判決では、「石川氏が売主側と交渉して所有権移転登記を延期した」とだけ認定している(下線部分)。

判決後の記者会見で、石川氏の弁護人の安田好弘弁護士が明らかにしたところによると、秘書事件控訴審でも、小沢氏の控訴審判決の記録の取り寄せが行われ、その記録中に含まれる不動産業者Yの証人尋問調書を弁護人が証拠請求したのに、請求却下されたとのことである。

所有権移転登記が延期された経緯や、それについての石川氏の認識等について小沢氏控訴審判決では様々な証拠に基づいて緻密な事実認定をしているのに、秘書控訴審では、その点について、小沢氏控訴審判決が根拠とした証拠を検討しようとすらしなかったのだ。

また、小沢氏事件では指定弁護士(検察官役)が主張しなかった水谷建設からの5000万円の授受の問題等については、

《原判決は,検察官が本件の動機ないし背景事情として主張する,① 本件4億円がその原資を公表できないものか否か,② 水谷建設からの5000万円の授受の存否の2点についても考察を加えて,① については,本件4億円は,その原資を明快に説明することが困難なものとの限りで認定することは可能であると,② については,水谷建設の社長が平成16年10月15日被告人石川に現金5000万円を手渡した事実が認められ,それが本件4億円隠ぺいの動機形成の一因になっていると説示しているが,そこまで至らずとも,被告人石川の故意及び動機は,前記隠ぺい工作自体から推認するに十分である。(下線は筆者)》


と述べた上、

《次に,② については,原判決は,前記社長の原審証言が信用できることについて詳細な説示をしているところ,所論を踏まえて検討しても,関係証拠に照らせば,その説示に不合理又は不相当な,点は何もないから,原判決の認定に誤りはない。》


と述べて、原判決の認定を丸ごと容認し、

《原判決は,それを前提に,平成16年10月当時,胆沢ダム建設工事の利権を巡って小沢が金員を受領した疑いがあるとの報道がなされ,同月19日にその記事が被告人石川にファックス送信されていることなどを併せみれば,被告人石川が,同記事の受領を契機として,よりー層本件4億円を隠ぺいする必要性を感じて,そのための工作に及んだとみるのが合理的である旨説示しているところ,被告人石川において,被告人大久保に前記2ウの交渉を依頼したのが平成16年10月24日か同月25日頃であり,また, りそな銀行衆議院支店長に預担融資を申し込んだのが同月28日であって,いずれも,前記送信から数日後に行われていることに加えて,小沢の選挙地盤で行われる工事の受注に絡みゼネコンから多額の金員を受領したという事柄の性質を併せ考慮すれば,被告人石川が,同記事の受領を契機として本件4億円隠ぺいの必要性をよりー層感じ,それが,上記交渉や本件預担融資等の各工作を押し進める方向に影響を与えたことは否定できないというべきである。②の点も,被告人石川の本件4億円隠ぺいの動機形成の一因になっており,ひいては,被告人石川の故意の存在を裏付けるものということができる。原判決は,同旨の判断を示しており,その判断に誤りはない。》


と判示して、裏金受領の事実が4億円の隠蔽の動機であると認定している。

あわせて読みたい

「石川知裕」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    河野太郎は自民総裁選で勝てるか? 父と祖父があと一歩で届かなかった首相の座

    田原総一朗

    09月21日 08:02

  2. 2

    全国フェミニスト議員連盟の釈明は、明らかに虚偽を含み極めて不誠実である

    音喜多 駿(参議院議員 / 東京都選挙区)

    09月20日 16:58

  3. 3

    「テレビ報道が自民党一色になっていることへの懸念はあった」立民・安住淳議員に呆れ

    鈴木宗男

    09月20日 15:48

  4. 4

    引きずり下ろされた菅首相の逆襲が始まる「河野内閣」で官房長官で復活説も

    NEWSポストセブン

    09月21日 08:42

  5. 5

    「感染ゼロではなく、重症化ゼロを目指す。医療と経済は両立できる」現場医師の提案

    中村ゆきつぐ

    09月21日 08:28

  6. 6

    <オダギリジョー脚本・演出・編集>連続ドラマ『オリバーな犬』に危惧

    メディアゴン

    09月20日 10:32

  7. 7

    「論文ランク1位は中国」ノーベル賞常連の日本が貧乏研究者ばかりになってしまった根本原因

    PRESIDENT Online

    09月20日 14:10

  8. 8

    医療逼迫招いたのは日本医師会か 医師不足に触れず「病床増やそう」は欺瞞

    NEWSポストセブン

    09月20日 17:06

  9. 9

    混雑する観光地、お休み中の飲食店…「国民の祝日」が多すぎることのデメリットを痛感

    内藤忍

    09月21日 11:56

  10. 10

    コロナ第五波の新規感染者数が減少 原因を医学博士が推察

    先見創意の会

    09月21日 09:24

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。