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悪法の改正と法律

天下の悪法でも、法律として存在する以上、裁判官、弁護士、警察官はこれを順守しなければならない。

私はハンセン病の世界制圧の為に奔走しているが、ハンセン病の患者・回復者に対するさまざまな差別法が今も世界に存在している。

インドのオリッサ州では、ハンセン病患者に被選挙権を認めていない。何年か前にハンセン病回復者が立候補して州議会議員に当選したが、訴訟となり、インドの最高裁判所でも敗訴となった。早速、抗議と法律改正への手続き開始を書簡で要請した。さすがにインドでも問題となり、州の法律は改正された。

この手のハンセン病の差別的法律を撤廃すべく、今年もハンセン病差別撤廃のグローバル・アピールを、世界の法曹界の集まりであるロンドンの本部で41ヶ国の賛同を得て発表した。

以下は、2013年の第8回ハンセン病への差別撤廃のグローバル・アピールである。

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スコット・モンクリフ法律協会会長、川村国際法曹協会前会長、ケネディ男爵夫人及びご列席の皆様。本日、英国政府関係者の皆様、国連機関、人権NGO、ハンセン病制圧活動のパートナー、そして回復者リーダーの皆様とともに、このロンドンの地から第8回目のグローバル・アピールを発信できることを光栄に思います。

ハンセン病は、世界中の病気の中で最も誤解され、偏見の対象となってきた病気のひとつです。有効な治療法のおかげで完全に治る病気となった今でもなお、病気を経験した人々が差別に直面し、苦しんでいるということは非常に悲しいことです。世界の一部の地域では、彼らは未だに、病気を理由に差別され、結婚生活を続けられなかったり、自由に旅することもできないでいます。

こうした差別を助長しているのは、今なお各地に残る、ハンセン病患者・回復者に対して彼らの生活を規制する様々な法律や規則だといえるでしょう。
これらの法律や規則は、意図的に残されたのではないかもしれません。しかし、図らずもそのまま放置され、人々の規範として残ってしまっているのです。

これらの法律や規則は、まだハンセン病の有効な治療法が見つかっていない時に、市民からハンセン病患者らを隔離するために設けられました。そうすることが、市民の健康を守る唯一の方法だと信じられていたのです。こうした考えは今では不当ですが、一般の人々の心に根付いてしまったハンセン病患者・回復者に対する差別や偏見の意識は今も残されたまま、現存する誤った法律や規則がそれを助長する結果となってしまっているのです。

このような誤った法律や規則は、直ちに撤廃する必要があります。こうした法律や規則が存在する医学的根拠はありません。またハンセン病患者・回復者が人権を取り戻すためにも、こうした法律・規則は必ず撤廃されなければなりません。

2010年に国連総会本会議において決議された「ハンセン病差別撤廃のための原則及びガイドライン」の中でも、ハンセン病患者・回復者及びその家族に対する差別的な法律や規則を廃止、撤廃すべきと明文化されています。

私は、このたびのグローバル・アピールにあたり、世界の法曹界を代表する国際法曹協会の皆さまからお力をお貸しいただけたことを大変心強く思います。これはとても大きな前進であり、ハンセン病患者・回復者、そしてその家族たちにとっても重要な意義をもつでしょう。

しかし、差別的な法律や規則が撤廃されたからといって、人々の心に深く根付いた差別の意識もなくなるというわけではありません。

「ハンセン病療養所の壁はたった20cmの厚さですが、それは私と全世界とを隔てる壁なのです。」これは、あるハンセン病回復者の言葉です。

ハンセン病療養所に住む患者・回復者は現在は多くはありませんが、ハンセン病患者・回復者の前に立ちはだかっているのは、療養所や家の壁という「目に見える壁」だけではありません。彼らの多くにとって、「差別の壁」は彼らの住む世界とそれ以外の世界とを完全に引き離してしまっているのです。私たちは気づいていないかもしれませんが、その壁は、私たちの心の中にある壁です。

私たちが彼らを差別したり、彼らと自分たちを区別するような態度をとってしまったとき、それが意識的であれ無意識であれ、私たちの態度は彼らを大きく傷つけているのです。

差別的な法律や規則撤廃を訴えた第8回目のグローバル・アピールは、人々の意識を変革するためのキャンペーンの一環でもあります。私たち1人1人が、知らず知らずのうちに人を傷つけてしまっていることに気づくためのキャンペーンです。

本日は私の長年の友人であるナショナルフォーラム会長のナルサッパさんと副会長のヴェヌゴパールさんがインドから駆け付けてくれました。
お二人はハンセン病回復者たちが日々直面している問題に社会の関心を向けるため、また、彼らが尊厳を持って生きることができる世界を作るために日夜努力されています。今回、国際法曹協会のみなさんが彼らの味方であると表明してくださったことは、彼らにとっても非常に心強いことでしょう。

尊敬するこの二人の友人、そして、法曹界の皆様と共に私は、社会の一人ひとりに呼びかけ、ハンセン病患者・回復者に対する差別のない世界をつくることをアピールしたいと思います。

見えない壁を壊すことは簡単なことではありません。しかし、私たち一人ひとりがハンセン病患者・回復者たちの声にならない叫びに耳を傾け、彼らの痛みを分かち合うことができれば、自分自身の心に問いかけ、正しい知識を持って、差別的な行動や態度をとらないように心がけることができるはずです。
そうすることで、この壁に少しずつ風穴を開けることができると私は信じております。

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ハンセン病以外にも、世界には長い間忘れられた法律が数多く存在するのではないだろうか。確か、ミズリー州では、奴隷法が最近まで残っていたとの報道もあった。

パリでは、女性市民にズボンの着用を禁止するとした200年以上も前の条例について、フランスのバロベルカセム女性権利大臣は、最近無効である事を正式に確認した。条例は1800年に制定され、「女性がズボン着用を希望する場合は警察署の許可が必要」と定められていたそうだ。(日経2月5日夕刊)

世界には前世紀の遺物である法律がまだ数多く埋もれているに相違ない。

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