- 2022年03月18日 12:10 (配信日時 03月18日 05:59)
ロシアのウクライナ制圧後に想定される悪夢のシナリオ - 岡崎研究所
ブルッキングス研究所のロバート・ケーガンが、2月21日付のワシントン・ポスト紙で、ウクライナがロシアの手に落ちた場合に想定される戦略的・地政学的な大きな変動を論じている。
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目下のところ、プーチンの作戦は一気呵成にウクライナを制圧し、ロシアの勢力圏に取り込むことを目指しているように見える。
しかし、その成否は分からない。ウクライナのゼレンスキー大統領は重圧に良く耐えている。ウクライナは徹底抗戦の構えであり、首都が陥落しても、要すれば地下に潜って戦いを止めないかも知れない。
プーチンは傀儡政権の樹立を目論んでいるであろうとの有力な観測があるが、高まる反プーチン感情に鑑みれば、そういう形でウクライナが収まるのか疑問であり、また、傀儡として適当な人物を見出し得るかのという問題(傀儡は直ちに暗殺の標的となろう)もあるであろう。
ただ、以上のような障害はあっても、ロシアの圧倒的な軍事力の故に、ウクライナがロシアの手に落ちる可能性は高い。ロバート・ケーガンの論説は、ロシア軍の本格的侵攻が始まる前に書かれたものであるが、彼が描く悪夢のシナリオが展開する可能性は排除されない。
ロバート・ケーガンによって描かれた悪夢のシナリオは、衝撃的である。彼が論説の末尾で述べた戦略的・地政学的な変動とは、ロシアの軍事的復活と米国の影響力の衰退を反映した欧州地域と、東アジアと西太平洋における中国の勢力拡大が相俟って、現在の国際秩序が破壊され、世界的な無秩序と紛争の時代が始まる、というものである。これを回避すべく、西側民主主義諸国は結束して対処する必要がある。
ウクライナがロシアの手に落ち、しかる後、二層構造のNATO(旧ワルシャワ条約機構の領域にNATO軍が展開することを禁じられる)を目指すプーチンとの交渉を強いられるような事態は許容出来ない。さればこそ、ウクライナの防衛にNATO諸国をはじめとする西側諸国は最大限の努力(ウクライナに対する武器供与、対露経済・金融制裁など)が求められる。
ケーガンの論説は、ウクライナの反乱に対して近隣国を通じて武器・装備を補給して支援することの可能性に疑問を提起している。しかし、西側は補給を続けるべきである――ドイツが対戦車砲1000門と携行式地対空ミサイル500発の供与に踏み切ったことは重要である。
欧州に求められる「戦う覚悟」
補給ルートがポーランドを通じるものであれ、バルト諸国を通じるものであれ、補給を理由にロシアの攻撃の対象となるのであれば、それにはNATOが当然のこととして反撃すべきこととなる。それがNATO条約5条の意味である。
結局、プーチンは欧州が欧州を戦場にして戦うことをしないと踏んでウクライナ侵攻の蛮行に及んでいる。紛争をウクライナにとどめるためには、欧州に戦う覚悟が必要である。欧州に戦う覚悟がなければ、米国も戦えないであろう。
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