記事

SNSがウクライナ戦争を動かすか

早速、NHKテレビで報じていたけれど、彼女のFacebookページでは「地球上で最も勇気ある人物」など絶賛の書き込みが世界中から殺到しているマリーナ・オフシャンニコワ(Marina Ovsyannikova)さんの行動には、当方も驚き、歴史を動かす行為かも知れないと感じ入ったので記録しておきます。

”事件”はモスクワ時間の14日夕方に起きました。国営テレビ局のチャンネル1で、数百万人の視聴者がいるというニュース番組「ブレーミャ」放映中のことです。

この番組のアンカーを20年以上務めているというエカテリーナ・アンドレイワ(Yekaterina Andreyeva)さんがスタジオで記事原稿を読んでいたときに、このテレビ局の編集者・プロデューサーのマリーナさんがエカテリーナさんの背後の現れたのです。

彼女は「戦争をやめよ」と叫び、その手に持った大きな紙には「NO WAR」(戦争反対)と大書され、その下には「彼らはここであなた方に嘘をついている」とロシア語とウクライナ語で書かれているようです。


プーチン大統領の、ウクライナ侵攻は正当だとするプロパガンダを流している国営テレビ局としてはとんでもないハプニングです。数秒後に画面は切り替わり、マリーナさんは取り押さえられ、警察に引き渡されました。人権団体によると、内務省の拘置所に収監されているようです。

このハプニングは、彼女がFacebook のほかに  Instagramのアカウントを持っていたこともあり、SNSで直ちに世界中に拡散します。さらにウクライナのゼレンスキー大統領がTelegramで「チャンネル・ワンの生放送でまさかこんなことが起こるとは…。 知らない女の子が “Stop*****”というプラカードを持って現れました。プロパガンダを信じないでください」と映像付きで謝意を示し、大統領顧問のミハイロ・ポドリャク(Mykhailo Podolyak)氏もTwitterで「ロシアではいかなる抗議も監獄へ一本道」と記します。

New York TimesWashington Postなど大手メディアも一斉に報じ、英Guardian紙は一面に、彼女がアンカーの後ろに現れた場面の写真を大きく使ったことをTwitterで知らせました

こうしてマリーナさんのFacebookにはアクセスが世界中から殺到、「いいね」が日本時間の昼過ぎには7万を超え、コメントも3万5千に達しています。

彼女はまた、行動を起こす前にビデオメッセージを作っていて、その中で、父親がウクライナ人で、母親がロシア人だと明かすとともに、「今、ウクライナで起きていることは犯罪です」とし、「これまでクレムリンのプロパガンダ番組を作る続けてきたことを恥じる」と述べていて、覚悟を決めた上でのことを明らかにしています。ビデオクリップには早速、英訳がつけられてYouTubeに上がっています。

なお、彼女のFacebookに記された学歴を見ると「ロシア大統領府国家経済行政学院」となっていて、相当なエリートなのかも知れません。

ウクライナでの戦争もそうですが、こんなにその実態が時々刻々伝えられるのは、ソーシャルメディアの威力だと実感します。かく言う私も、今朝、ニューヨークタイムズの記事で、同紙がTelegramに戦争に関するチャンネルを開設したと知り、私もそれに追随してセットした最初に飛び込んできたのが、このマリーナさんに関する記事でした。SNS全盛を実感させられます。そしてテレビ以外でもマリーナさんの叫びがロシアに広がりますように。

あわせて読みたい

「ウクライナ」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    BLOGOSサービス終了のお知らせ

    BLOGOS編集部

    03月31日 16:00

  2. 2

    なぜ日本からは韓国の姿が理解しにくいのか 識者が語る日韓関係の行方

    島村優

    03月31日 15:41

  3. 3

    「いまの正義」だけが語られるネット社会とウェブ言論の未来

    御田寺圭

    03月31日 10:09

  4. 4

    カーオーディオの文化史 〜ドライブミュージックを支えた、技術の結晶たち〜

    速水健朗

    03月30日 16:30

  5. 5

    BLOGOS執筆を通じて垣間見たリーマンショック後10年の企業経営

    大関暁夫

    03月31日 08:27

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。