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  • 2022年03月15日 13:23 (配信日時 03月15日 11:00)

西村京太郎さん逝去秘話…ミステリーの大家は「旅先でまず警察署へ」、鉄道博物館をライバル視した「3畳大の巨大ジオラマ自作」も

西村京太郎さん(撮影・都築雅人)

 ベストセラー『寝台特急殺人事件』『終着駅殺人事件』など、鉄道をタイトルに冠した推理小説を多数出版した西村京太郎さんが、3月3日、91歳で亡くなった。主人公「十津川警部」が登場するシリーズは、「トラベルミステリー」として2時間ドラマとなり、40年以上にわたって放送されてきた。

 残した作品は600冊以上。そのぶん、西村さんがかかわった編集者も数多い。

 編集者とは、出版まで作家の執筆スケジュールを管理する “伴走者” であり、原稿を最初に読んで感想を伝える “第一の読者” でもある。一緒に食事したり、旅行をともにして親睦を深めたりすることもある。

 2010年ころから「十津川警部」シリーズを担当し、毎年のように取材旅行に同行してきた編集者が語る。

「西村先生はまったく威張ったりすることはなく、誰とでも普通に接する方でした。サインを求められれば気軽に応じられていました。以前、私が個人的に山形を旅行したとき、ふらっと入った蕎麦屋で、『トイレをお借りしました!』という西村先生のメッセージ入りのサイン色紙を発見したこともあります。

 西村先生は毎年2泊3日で、各社と取材旅行をされていました。つまり全社で年に10回近く全国を回っていました。事前の打ち合わせで、『ここに行ってこの列車に乗りたい』とご本人の希望で決めていた。臨時列車や観光列車まで、最新の鉄道事情を把握されていたのです。

 また、現地に着くと必ず警察署を確認し、人々の様子や街の雰囲気を観察されていました」

 2001年から20年近く担当してきた別の編集者は、西村さんの食事の好みは意外と庶民派だったと明かす。

「僕が最初にお会いしたころはもう70歳を過ぎておられたこともあり、お酒も飲んでおられませんでした。

 取材旅行では高級な宿に泊まりますし、食事も最高のものが出るのですが、先生が本当にお好きなのは、うどん、そば、ラーメンといった麺類でしたね。ご自宅ではおせんべいとかを召し上がっていましたし、決してグルメというわけではありませんでした。

 ただ、趣味にはお金をかけておられたかもしれません。大宮の鉄道博物館でご一緒した際、展示されていた日本最大の模型鉄道のジオラマを見て、その大きさに『悔しいな~』とひと言、おっしゃったのが印象に残っています。

 なぜなら、鉄道博物館ほどではありませんが、湯河原のご自宅の隣にある記念館にも鉄道のジオラマを作っておられて、それも3畳ぐらいの巨大なものなんです。

 しかも、ところどころに人間の “死体” まで置いてあったりして、ジオラマをミステリーっぽく、細かいところまで作り込んであるんですよ。

 ご自宅のお部屋から海の方を見ると、新幹線と東海道線が通るのがよく見えるんです。本当に鉄道がお好きだったんですね。

 以前は、本ができるたびに毎年のようにご自宅にお邪魔していたんですが、コロナが流行っていることもあって、ここ数年はお会いできなかったことが残念です」

 鉄道と旅を愛した西村さん。次はどの列車で、どこを舞台にする予定だったのだろうか。新刊を読めなくなったのが寂しい。

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