- 2022年03月06日 11:40 (配信日時 03月06日 09:15)
端緒はタレコミだけじゃない…税務署員が必ずチェックしている5つのポイント
1/2税務署はどうやって申告漏れや所得隠しを見つけ出すのか。元国税調査官の根本和彦さんは「タレコミが情報源になることが多いが、それだけではない。特に例年よりも多い経費を計上した場合は要注意だ」という――。
※本稿は、根本和彦『元国税調査官が捨て身の覚悟で教える「節税」の超・裏ワザ』(SB新書)の一部を再編集したものです。

税務調査がやって来る…税務署員の本気度を見分けるポイント
税務調査には、種類というかパターンがあります。大別すると、まず、「事前通知があるパターン」と「事前通知がないパターン」に分かれます。
「事前通知アリ」のほうは、税務署員が会社に電話をして、税務調査に行くことを知らせます。そして、納税者と日程を調整して訪問します。これは、通常のパターンといってよいでしょう。
「事前通知ナシ」の場合、税務署員がいきなり税務調査にやって来ます。このパターンは、ある程度の覚悟をしてください。
すでに、税務署がかなりの証拠をつかんで来ている場合がほとんどです。
もちろん、確実な証拠はなく、決算書や申告書をチェックして脱税の形跡が見られたから来た、というケースもあります。あるいは、銀行口座を見て脱税の可能性が高いと判断したから来た、ということも考えられるでしょう。
いずれにしても、「事前通知ナシ」で来たからには、税務署員側にそれなりの確信というか根拠があります。間違いなく、「事前通知アリ」と比べて深刻度は高いと思ったほうがよいでしょう。
深刻度が違う…「事前通知アリ」の場合の3パターン
また、「事前通知アリ」の場合でも、次の3パターンがあります。
①事前通知をせずに調査するほどではないものの、所得を隠していることが濃厚で、しっかりと追徴課税を狙っている場合
②会社の売上げが増加していて黒字が続いているので、念のための確認で来ている場合
③たんなる件数ノルマ達成のために来ている場合
深刻度の高い順でいえば、①・②・③となります。
この3つのパターンを頭に入れたうえで税務署員の対応を見ると、どのパターンに当てはまるかがある程度わかると思います。
あと、調査の時期からもわかったりします。
税務署には、7月に定例の人事異動があります。そして、7月から新しいチームが発足し、税務調査にあたるのです。翌年の人事異動は、前年の実績で決まるので、7月から12月までの調査は、税務署員たちの気合が入っていると思ってください。
7~12月の調査の成績が、次の年の人事異動に反映されることになるので、この時期に調査に入られたら、①が濃厚だと思って対処してください。
逆に、1月から6月までの税務調査は“消化試合”です。②か③のパターンがほとんどで、税務署員も面倒に巻き込まれたくないと考えています。したがって、1月から6月の調査ならば、納税者の言い分もかなり聞いてくれるでしょう。
税務署に続々届く「タレコミ」の送り主は…
事前通知のアリ・ナシにかかわらず、税務調査が入るときには原因が存在します。銀行や税関、取引先など、普段より、税務署はいろいろなところから情報を集めているのです。
その中でも、情報源として意外に多いのが、「タレコミ」です。
じつは、税務署には、電話やメール、手紙、直接の訪問といった形で多くのタレコミによる情報が寄せられているのです。
いったい、誰がタレコミをしているのか? それがじつに多様で、儲けていることが面白くない同業者や、社長にパワハラなどを受けて会社を辞めた元従業員、社長と別れた元配偶者だったりします。
つまり、個人へのストレートな復讐という動機がタレコミの背景にあることが多いのです。身近な人を冷たくあしらうと、痛いしっぺ返しをくらうことになるということでしょう。
以前、こんなケースがありました。社長との折り合いが悪くなって会社を辞めた従業員が、その会社の裏帳簿を税務署に持ち込んだのです。
その裏帳簿は、2~3カ月分の帳簿で、それだけでも十分な証拠になるのですが、残りの期間の裏帳簿もあったほうが、重加算税をガッツリと取れます。
そこで、その元従業員に聞いてみたところ、残りの裏帳簿の隠し場所も教えてくれました。

「おそらく、査察の案件になる」税務署員の“説得”は効果絶大
さっそく、事前通知ナシで調査に入ったのですが、タレコミで教えてくれた場所には、すでに裏帳簿は見つかりません。おそらく、別の場所に移動させたか、焼却処分をしたのだろうと考えられます。
社長に問い質してみたものの、「裏帳簿なんて、あるわけないじゃないですか」と、簡単には口を割りません。知らぬ存ぜぬ、の一点張りです。
この程度はこちらも想定内ですから、本格的な“説得”に入ります。
そして、察しのよい人ならお気づきでしょうが、こちらには切り札があります。
「今回は、地方の税務署で処理できる金額じゃないので、おそらく、査察の案件になると思いますよ。あんまり大事にはしたくないんですけどね……」と、査察をちらつかせます。
前述のように、事前に査察が来るなんて教えるワケはないのですが、効果は絶大です。
「毎日、国税局に呼び出される」「地元の新聞やニュースで報道される」などと畳みかければ、通常は、口を割ることになります。そのときも、最終的に社長が折れました。
じつは、残りの期間の裏帳簿は最後まで見つからなかったのですが、2~3カ月分を1年に換算して、重加算税を徴収することに成功したのです。
従業員や配偶者は、日頃からくれぐれも大事にするようにしてください。
タレコミだけじゃない…税務署員がチェックする5つのポイント
タレコミなどの確実な情報がない場合、決算書や申告書をチェックするという正攻法で、調査対象を選びます。
決算書や申告書などのチェックにおいて、税務署員が特に注意するポイントは、おもに次の5点です。
①毎年黒字を計上し、売上げが増加していた②例年と比べて、極端に売上げが増えた
③過去にないような経費の金額の増加があった
④決算期末の近辺で一気に経費が増えていた
⑤脱税を助けているような業者と取引があった
これらのポイントは、実務経験が豊富な税務署員であれば、決算書や申告書を見るだけでピンときます。そして、件数ノルマの消化のために訪問するケースを除いて、最悪、修正申告だけは持って帰ろうとするはずです。
したがって、売上げの増加や黒字などは仕方ありませんが、例年よりも多い経費を計上するときは気を付けてください。決算期末の時期にやれば、経費の水増しであることが簡単にバレてしまいます。

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