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4月から英国でスタートする新しい金融監督体制について

リーマンショック、LIBORスキャンダル、JPモルガンの「ロンドンの鯨」事件など、世間をお騒がせする出来事が相次ぎ「英国の金融監督当局は、ぬるい」という批判がこのところ続いていました。英国では、割とコロコロ監督当局の体制が変わります。そして議会を含めて、英国政府のシティ・オブ・ロンドンに対する監督は「ユル褌」的な状況がずっと続いてきました。これは1980年代のビッグバンの時代から続く英国の良き(笑)伝統です。

今回の改正では1997年から設置された金融サービス機構(Financial Service Authority、略してFSA)が首になり、英国の中央銀行であるイングランド銀行が自ら監督の総元締めになります。

イングランド銀行内に設けられた金融安定委員会(Financial Policy Committee)が究極のお目付け役となり、その下に:
1.金融行動監視機構(Financial Conduct Authority、略してFCA)消費者保護、公正さと競争の確保

2.健全性規制機構(The Prudential Regulatory Authority、略してPRA→プルーデンス規制機構と訳しているメディアもある)メガバンクに対して監視の目を光らせ、金融システムを脅かすような行為をそれらの銀行がしないようにする

という二つの機関が設置されます。この両組織の役割分担はかなり明確ですが、暗にこれら二つの組織はお手柄の数を競い合うように仕向けられています。

或る意味、今回の新体制は「馬が逃げてから、慌てて納屋の扉を閉める」如き行為と言えます。なぜなら冒頭に示したような様々なスキャンダルはもう起きてしまったのだし、シティのメガバンクはリスクテーキングを大幅にカットバックした後だからです。

下はマッキンゼーの資料ですが、リーマンショック以降、グローバルなクロスボーダーの資本フローはピークから-61%も落ち込んでいます。

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とりわけ英国の金融機関はクロスボーダー取引からの撤収が顕著でした。

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英国を含めた欧州のメガバンクは特に国境をまたがったローン(融資)を大幅にカットバックしています。

つまり現在の欧州の問題はメガバンクが向こうみず過ぎるのではなく、委縮し過ぎな点にあります。なおこれは欧州だけでなく世界的な問題であり、だからこそ資本仲介者としての能力を大きく毀損したメガバンクに代わって、各国の中央銀行がLTRO(三年物流動性提供プログラム→欧州中央銀行の貸し渋り是正策)などのプログラムによってその穴を埋めているのです。

また各国の政府も国債を増発し、景気刺激プログラムやソーシャル・プログラムの維持・拡大に努めました。

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英国でスタートする監督体制が、どれだけ実際に「牙を持つ」ものになるかは、暫く時間が経ってみないと、わかりません。でも締め付けの強化は楽市楽座的なロンドンの金融センターとしての魅力を削ぎ、現在英国が直面している不況を一層深刻化させるリスクがあります

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