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子育て支援のハードル上げる“窓口申請” 政治家×NPOがデジタル活用を徹底議論 - 今、子育て世代が社会を変えている①(髙崎順子)

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政府のDXに必要なのは"分かりやすさ"


「その国民への説明やお知らせには、”分かりやすさ”が欲しいです」

即答で副大臣にそう求めたのは今井氏だ。ユーザーである国民のデジタル理解度は様々で、ネットへのアクセス環境も世帯や個人によって異なるためだ。

「ユーザーにとっての分かりやすさは、行政からの情報が分かりやすくなるよう、デジタル庁としても、行政のwebサイトやアプリのUI/UX改善に取り組んでいくことで確実にやっていきたい」と、小林氏も躊躇なく、意気込みを語る。

「行政はプラットフォームを作って広く拡大できる分、個別最適化は苦手なのでNPOの皆さんに協力してほしい。DXは行政だけが考えるのではなく、民間の方にも個人起点でアイデアを出していただき、行政とユーザーやユーザーに近い支援者が一緒になって、制度を作っていきたいですね」

「YouTubeでNPOと行政が意見交換する」ことの意味

最後に視聴者からの質問を受け、YouTubeライブは予定通りの1時間で終了した。縦割り行政での情報共有の難しさ、国民のデータにアクセスできる民間団体の認可の必要など、視聴者が投げかける質問も具体的かつ明快で、この課題への関心の高さを窺わせる。駒崎氏・今井氏は支援現場からの知見を言い添え、小林副大臣は自治体の先進事例を取り上げつつ、問いに答えていった。登壇者の一方的な講演に終わらない、情報と示唆が凝縮された、濃密なイベントだった。

これまで国と民間の意見交換などは、省内での有識者会議のように、一部の限られた人のみが参加する場で行なわれるケースが多かった。それがこうして、希望すれば誰でも無料で視聴できるYouTube上でライブ展開された。このイベント自体が、制度設計のデジタル・トランスフォーメーションとも言えるだろう。

そして注目すべきは、イベントを設定したのが行政側ではなく、支援の現場にいるNPO側ということだ。

「これまでルールメイキングの場は、政官に閉じていました。そこに民間の立場で参加し、声を上げ、政策に生かされていく回路を育てていきたいのです」

フローレンス・こども宅食事業部の桂山奈緒子マネージャーは、企画の意図をそう語る。

フローレンスは今後も政治家や官僚、専門家に加え、現場の課題の当事者たちを招いて、NPO主導でイベントを開催する予定だ。それぞれの視点からのアイデアが寄せられ、より良い政策として結実していくように。

存在感を増すNPOが担う役割とは

「こども宅食」梱包の様子(提供:フローレンス)

阪神大震災を契機に日本で確立された、非営利社会貢献団体としてのNPO制度。困窮者の現場支援を軸にしつつ、その活動の幅は年々多彩に広がり、社会的な信頼と存在感を増している。

その背景にはNPOならではの特質があると、駒崎氏は語る。

「NPOは、時代の変化に柔軟かつ迅速に対応できる性質があります。世の中にない解決策を現場から見出し、小さく実験する。失敗と成功を繰り返しながら、機能する解決策を提示できる。それらの解決策を国が政策の形で水平展開することで、さらに多くの人々を支えていけます。そうしたNPOと国の役割分担が、もっと機能していけばいい」

困窮の中にある人を支援しながら、より良い支援の形を模索する。その成果を国に提言して、支援の輪を広げていく。日本の子育て環境を力強く改善するNPO法人は今、国の制度設計とその展開プランをも、ダイナミックに変えているのだ。

◆ ◆ ◆

著者プロフィール: 髙崎順子
1974年東京生まれ、2000年よりフランス在住。フランス社会・文化に関する寄稿多数。著書に『フランスはどう少子化を克服したか』(新潮社)、『パリのごちそう』(主婦と生活社)など。

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