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ロシアのウクライナ侵攻を許せば台湾有事にもつながる

田原総一朗です。

今から半世紀以上さかのぼる1965年のこと、東京12チャンネルのディレクターだった僕は、ソ連の首都モスクワで開かれる世界ドキュメンタリー会議に、参加することになった。人生初の海外旅行である。当時のソ連は、思想・言論の自由がまったくない国だった。

4週間の滞在中、「モスクワ以外の都市を見たい」と思い、キエフに案内してもらった。趣のある石造りの建物が立ち並ぶ、なんとも美しい街だった。
当時キエフはソ連領だったのである。
ソ連崩壊後ウクライナが独立し、キエフはその首都となる。

そのウクライナをめぐる情勢が、大変緊迫している。
ロシア大統領プーチンが恐れているのは、ウクライナがNATO(北大西洋条約機構)に加盟することだ。
もし国境を接するウクライナ領土にNATOのミサイルが配備されれば、ロシアにとっては大変な脅威である。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、NATO加盟を望んでいる。
だがロシアはNATOに対して、「NATOの東方拡大」つまり、ウクライナの加盟を認めないことを要請。
しかしNATOは、「あくまでも主権はウクライナにある」と拒否した。

プーチン大統領の主張としては、1991年にソ連は解体され、その多くの国を西側が取っていった。
「それなのにまだ取るのか」ということであろう。
ロシアの国内問題もある。

プーチン大統領の基盤も盤石ではない。
もし西側に対抗できない事態となれば、プーチンの地位は危うくなってしまう。
世論を治めるためにも、強硬手段に出る可能性は高い。

対するアメリカは、アフガニスタンの撤退、インフレ問題を抱え、外交面での余裕がない。
バイデン大統領の支持率4割を切り、11月に実施される中間選挙で、民主党の敗北も予想されている。

もしロシアが強硬策に出たとすれば、アメリカが対抗できるのかが問題だ。
ロシアのウクライナ侵攻を許されれば、中国の台湾への武力行為、「台湾有事」をも誘発しかねない。
岸田首相も、「力による現状変更を認めると、ヨーロッパ、そしてアジアのみならず、国際社会全体にも、誤ったメッセージを発することになる」と発言した。

思い起こせば、1989年にベルリンの壁が崩れ、東西ドイツが統一、1991年「ペレストロイカ」を掲げるゴルバチョフ大統領によって、共産党支配は終焉を迎える。
当時、東西の「冷戦終結」といわれた。

しかし終結どころか、世界の状況はより複雑になり、多くの人々が苦しんでいる。
今回も、もし武力行使となれば、多くの人が犠牲になるだろう。人間はそこまで愚かではない、僕はそう信じたい。

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