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「どうしてもゲテモノの扱い、罰ゲームなどの要素が強かった」 “食べるコオロギ”の魅力、環境・貧困・食糧問題の解決へ



 去年11月から販売が始まった、その名も「蟋蟀(こおろぎ)醤油」。大分県の老舗醸造所のマルマタしょうゆと共同で開発したのが、食用コオロギを活用した食品の開発などを手掛けるエコロギーだ。

【映像】“食べるコオロギ”の魅力

 「ベースが甘い醤油の中で、コオロギというものを一緒に発酵させる。そうすることによって、ベースが甘い醤油の中に、さらにうまみの強い醤油の開発に成功している」

 エビやカニなどの甲殻類に似た香ばしい味わいを持つコオロギの粉末を発酵段階から仕込むことで、おいしい醤油ができあがったと話すのは、エコロギーの葦苅晟矢CEO。

 エコロギーの社名の由来はエコなコオロギ。エコロギーは、このコオロギパウダーの量産体制を構築し、その活用方法を日々模索している。



 「コオロギの粉末は60%がタンパク質。これは高たんぱくという食材として、まず栄養価が高い。たんぱく質以外にも、鉄分や亜鉛などミネラルも豊富に含んでいる。人間の健康にいい成分が詰まっている栄養価の高い食材。そして、CO2とか温室効果ガスの排出が少ない資源、既存の牛肉や家畜産業に比べてすごくCO2の排出が少ないエコな資源というところ。3つ目が、生産効率がとても良い。こういった3つの理由で着目している」(同)

 そんなコオロギの可能性を感じた葦苅氏は、学生時代に自宅の押し入れでコオロギの飼育に挑戦。始めは数匹だったコオロギが、気が付くとどんどん増えいったという。

 「飼育の容易さに加えて、コオロギは雑食性が強い。なんでもエサとして食べる。いわゆる人間が捨ててしまうような食品の残渣、食品工場からどうしても出てしまうようなフードロス、レストランから出るフードロスといったものをコオロギはエサとして食べてくれる。コオロギが成長して新しくたんぱく源になる」(同)

 葦苅氏は早稲田大学在学中にコオロギの生産に関する研究を続け、2017年に法人化。カンボジアに拠点を移し、生産を委託する現地の農家を一から開拓していった。



 「現地の農家にコオロギの生産方法を教えて、農家が作ったコオロギを買い取るという仕組みづくりをしている。そうすることによって、農家が安定した収入をコオロギの生産によって得ることができる。広い土地が必要なく、家の軒先でできる。これの何がいいかというと、やってみてお互いに気づいたが、お母さんが工場とかに働きに行かなくても、子どもの面倒を見ながらコオロギの生産ができる」(同)

 現在、エコロギーと連携している農家は50軒ほど。これを、将来的には数万軒の規模まで増やしたいとしている。

 人間が出したゴミによってコオロギを育てることが現地の雇用創出に貢献し、その上で栄養豊富な食品の原料として人間に返ってくる。この循環型のシステムを確立することによって環境問題、貧困問題、食糧問題の解決を目指したいと葦苅さんは語る。



 「どうしても昆虫食って、テレビの業界でもゲテモノの扱い、罰ゲームとかパーティーグッズの要素が強かったと思う。ただ、最近はエキスパウダーとかエキスで形が見えないし、そういったかたちで1つおいしさというところと、サステナブルな原料というところ。自然由来のたんぱく源というところで、少しずつ昆虫食がいい方向で社会的認知度が広がってきている感覚がすごくある。工場を持たなくても、農家がたくさんいればいつでも柔軟にコオロギを生産・供給できますよ、といった世界観を作っていきたい。また、コオロギの餌としてもフードロスというものも数万トン回収しながら、地球環境にやさしいコオロギ生産を作っていきたい」(同)

 こうした取り組みについて、自身で昆虫などを飼い、4年前から昆虫食を広める活動をしている看護師でタレントの荒川真衣は「日本でもコオロギを使った商品が増えているのはたしか。無印良品や大手の企業もコオロギに注目していて、より食べやすいような商品が増えていると感じる」と話す。



 また、昆虫食が広まっていくためには、「たんぱく源としてだけではなくて、食品としておいしいから食べてみたいって思えるように進んでいけばいいのでは」との見方を示した。

 「やはりゲテモノだったりネガティブなイメージがあると思うが、少しずつ昆虫食が食品として馴染んできていると思う。肉、魚みたいに『昆虫食』が1つ加えられれば、少しずつ皆さんのもとに届くことが増えると思う。私も昆虫食全般のSNSでの発信を始めて4年経つが、コメントで『どこで買えますか?』『どれだけ形を変えても食べられない』という声も多い。スーパーなど手軽に昆虫食を楽しめるような場が増えればいいなと思う一方、見た目はこれからも課題になるかと思う」

(『ABEMAヒルズ』より)

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