- 2022年02月22日 12:51
ウクライナ巡り政府・与党で場外乱闘 遠因は岸田政権の〝親露政策〟継続?
2/2■ この時期の対露経済対話は適切か
両氏の発言の真意がどこにあるかは措くとしても、外相がこの時期に、ロシア閣僚と経済協力について話し合うというのは、やはり、適当さを欠いたというべきだろう。
ウクライナをめぐる緊張については、ここで詳しく論じる必要はあるまい。
各国は、「第2次大戦後最大の危機」として、軍事侵攻が強行されたなら、貿易のドル決済からの締め出しを含むかつてない規模の制裁を行う構えだ。
そうした中で、外相がロシア側と経済協力について話し合い、「幅広い分野で日露関係全体を発展させる」などと呼びかけているのだから、各国がそれを知ったなら、強い疑念を抱かれるのは必定だ。
■ クリミア併合時も実効性欠く甘い制裁
思えば、2014年にロシアがウクライナ南部のクリミアを併合した時の日本政府の対応も鈍かった。
当時の安倍政権が課した制裁は、関係者へのビザ発給停止、66個人、16団体の資産凍結、ロシアの主要銀行による新規証券募集、発行の禁止、武器禁輸などだった。
資産凍結された個人、団体はいずれもウクライナ国内の協力者らだけ、ロシア要人は含まれず、またロシア向け武器輸出はないから、実効性はほとんどなかった。
アメリカ、欧州による貿易、経済分野での協力、軍事協力、エネルギー企業5社への技術供与停止などに比べれば大きな違いだ。(参照:2022年1月29日掲載『毅然さ欠く日本のウクライナ危機対応 クリミア併合時の轍踏むな』)
■ 毒殺未遂、欧米の制裁横目で〝誕生会〟
今回と似たケースとして思い出すのは、2018年3月、英国内でロシアの元情報部員父娘が神経剤で襲撃され重症に陥った事件だ。
欧州各国はロシアの情報機関が関与しているとして、外交官追放など強い手段をとったものの、その最中に日本は、あろうことかロシアのラブロフ外相を東京に招いて河野外相との間で外相会談を行い、昼食会では、その日が誕生日というラブロフ氏にバースデーケーキを振る舞うおまけまでつけた。
英国のメイ首相(当時)が直前、安倍首相に電話、制裁への同調を強く求めた直後であるにもかかわらずだ。
■ G7歴訪の帰途、追放されたロシアを訪問
日本政府とくに安倍政権の度を越したとも思える親ロシア、親プーチンの姿勢を示すケースはほかにもある。
2016年5月、日本で開かれたG7首脳会議(伊勢志摩サミット)の直前、議長の安倍首相が欧州各国を歴訪、首脳と事前会談を行ったが、その帰途、何とロシア・ソチに立ち寄り、プーチン大統領と会談した。
G7首脳との準備会談の帰途に、追放されたロシアを訪問するという無神経さに、欧州各国の首脳はさぞ不快だったろう。
■ ロシアのG7復帰、欧州は反対、日本賛成
2019年夏、フランス・ビアリッツで開かれたG7サミット(主要国首脳会議)で、トランプ米大統領が、ロシアをG7に復帰させるべきだと主張した際、安倍首相は「ロシアが国際的問題に建設的な形で参加することが望ましい」と真っ先に歓迎の意向を示した。他の参加国はいずれも、慎重姿勢だったが。
翌年、トランプ大統領が自国での開催を控えて、同様の議論を蒸し返した時には、やはり日本の茂木外相(当時)は、一年限りのゲストという条件付きながら、明確に賛意を示した。
クリミアの原状回復がなされず、日本にとっても北方領土返還が実現しないにもかかわらず、ロシアのG7復帰に賛成するというのだから理解を超えるというほかはない。
■ 無意味で危険なロシアへの譲歩
安倍氏が首相在任中に、プーチン氏と会談したのは27回にのぼった。ウマが合ったのだろうが、やはりロシア首脳との良好な関係が、北方領土問題へ好影響をもたらすことへの期待感があったろう。
安倍氏は2018年秋、シンガポールでプーチン氏と会談した際、「1956年の日ソ共同宣言を平和条約交渉の基礎とする」ことで合意した。日本にとっては、従来の「4島返還」から「2島返還」への大転換だった。
しかし、日本の思い切った譲歩にもかかわらず、ロシアは2島の返還すら応じず、領土問題の解決のめどは全く立たない状況に再び陥っている。
もはや、ロシアに〝鼻薬〟などかがせる必要はあるまい。
ウクライナ危機のさ中にあって、日本側がロシアとの経済協議を行った真意は明らかではないが、この期に及んでなお、領土問題進展を期待してのことだとしたら、ナンセンスというほかはない。
安倍氏は、シンガポール合意の後、国会審議で「私たちの主張をしていればいいということではない。それで(戦後)70年間一歩も進展がなかった」と説明したが政策転換によって状況は変わったか。それによって、島は返ってきたか。
ロシアに譲歩をすることほど無意味、かつ危険なことはない。
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