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池田清彦「生物にとって認知症とは何か。それは神様がくれたご褒美という考え方もできる」 - 「賢人論。」第158回(後編)池田清彦氏

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生物学者・評論家の池田清彦氏に聞く、超高齢社会での課題。池田氏が危惧するのは、認知症の妻を支える夫の老々介護の増加の問題。現在74歳で、73歳の妻と同居する池田氏。自身の実感も込めて、老いや認知症に対する考えを語った。認知症の捉え方がガラリと変わるお話をいただいた。

取材・文/みんなの介護

日本の85歳以上のうち約5割は認知症である

みんなの介護 池田先生が、超高齢社会において一番危惧していることは何ですか?

池田 老々介護の問題ですね。夫婦が年齢を重ねていくと、ほとんどのケースで先に女性が認知症になります。一方、男性は女性より認知症になり難い。身体にガタがきた旦那さんが、認知症の奥さんを世話するという構図が多く見られます。

『本当のことを言ってはいけない』(KADOKAWA)という本にもこの問題を書きました。90歳を超えてくると、女性は90歳~95歳までの認知症の割合が63%ぐらい、95歳を過ぎて認知症になる人は80%以上です。女の人は90歳を過ぎると、ほとんどの人が認知症になると考えた方が良い。

一方、男の人の90歳~100歳までのあいだの認知症の罹患率は、51%ぐらいです。少し前まで日本の90歳以上は約219万人、85歳以上の人口は約570万人でした。そのうち約5割が認知症と言えます。

このような状況では、認知症のパートナーを持つ老々介護の夫婦をどうやって社会的にサポートするかが課題になる。

当然、症状が重ければ施設に任せることになりますが、お金がかかります。でも、そこの問題が解決できないと無理心中せざるを得ないというような事態も起きてくるんじゃないかと思います。

そうなると、安楽死の法案をつくるという話がまた浮上してくる可能性がある。「死にたくない、まだ頑張れる」という人も無理に安楽死させるようなことが起こりそうな気もします。その辺の兼ね合いが難しい。

子どもを産んだ後から人間は個人差が大きくなっていく

みんなの介護 池田先生は生物学者として「認知症」というものをどうとらえていますか?

池田 かなり極端なことを言いますが……そもそも生き物っていうのは、遺伝子を残した後は”オマケ”なわけです。

30代ぐらいだと、生物的に見ればこれから子孫を残さなきゃならないから、脳が衰えたりする暇はない。でも自分の子供が大人になったら、もう頑張る必要がないのですぐに衰えてしまう人がいる。

もちろんずっと元気な人もいますが、呆けるも呆けないも自然選択は関与しないので、個人差が大きくなる。実際70歳ぐらいになると、元気で思考が冴えた人と体が弱って認知症になる人とはっきり分かれるようになります。

僕は今74歳で、かみさんは73歳。あと15年ぐらいして両方とも90歳近くになると、多分どちらかが認知症になるでしょう。両方とも認知症になったらなったでもいいんだけど。

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