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1億円もいらない…「好きな仕事」だけ残して早期リタイアするのにかかる"本当の金額"

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目指すなら勤労収入+資産運用収入の「サイドFIRE」

「フルFIRE」が困難だとして、一方の「サイドFIRE」はどうでしょうか。投資収益に加えて、アルバイトや個人事業主などである程度負担を少なくしながら働き収入を得ていくスタイル。

ちなみに、「バリスタFIRE」と言う言葉もありますが、これは「カフェでパート・アルバイトとして働きながら」というイメージでサイドFIREの一種です。

この「フル」と「サイド」を比べたときに、現在の日本で現実的なのは「サイドFIRE」になるでしょう。「サイド」という言葉の響きから誤解があるかもしれませんが、これは決して妥協案ではありません。

サイドFIREでは、早期リタイアではなく、セミリタイアを目指すわけですが、単に「短時間だけ仕事する」「ゆったり仕事する」という考え方ではなく、本書では、「働き方の選択肢を増やし、やりたい仕事を過大な負担なく取り組む」と捉えたいと思います。

「仕事が嫌だ。辞めたい」とだけ考えると、FIREがすなわち「投資で稼いで仕事を辞める」という捉え方・目的になっていきます。しかし、ライクワーク(好きで働く仕事)、ライフワークに取り組めるとしたら、どうでしょうか。

また、働き方の問題だけでなく、収入面でも大きなメリットがあります。勤労収入があるので、用意すべきFIRE資産は先ほど目安として示した7500万円よりぐっと下げられます。

つまり、日々の節約をそこまで強いられないということ。また、運用中の利率の上下にも対応できるようになります。

子どもに「働く意味」を伝える

そして、子どもへ親として見せる「生き方」の問題もあるでしょう。親として、仕事が嫌で辞めたという姿を見せることになるわけです。

労働が嫌という意見はわかりますが、労働で得る対価、社会でどのような人がどのように働き、収益が上がるのか、そうしたことを子どもに伝えずによいのか、一度考えてみてもらいたいと思います。

仕事をしてお金をもらうということは、お金を喜んで払う人がいます。お金の向こうには人がいるのです。仕事をネガティブなものではなく、ポジティブなものとして捉えることが大切ではないでしょうか。

「豊かな暮らし」とは何か

子どもは「親の背中」を見て育つと言われますが、子に見せる大事な時期に、何の目的も目標ももたず早期リタイアしている姿を見せるのが望ましいのか、とも言えます。

FIREとは、人生を豊かに過ごすための生き方です。運用方法とともに、どのような暮らしをしたいのかよく考えて選択することが、結果的に豊かな暮らしにつながると思います。

主体的な生き方を獲得するために女性こそ「FI」が大切

現在の日本において、共働きが増えてきたとは言え、専業主婦の方も多くいます。また、依然として男性と比べ女性のほうが、平均年収が低いという現実もあります。

万一、離婚することになれば、男性よりも女性のほうがその後のお金のことを考えなければならないのが実情です。実際、離婚した場合に、その後の暮らしでお金をどのように見積もるのかというマネー相談を受けることもあります。

勤労収入を増やすのはもちろんながら、資産運用による収入があれば、職業の選択にも幅ができます。慌てて、ご飯を食べるためだけにする仕事=ライスワークを行わずにすみます。じっくりとライクワーク、ライフワークに取り組んでいけます。要は、主体的に生き方を選べるわけです。

それらの点を考えると、女性がFIREを考える場合は、まずREは置いておいて、FIを重視する必要があるでしょう。夫婦で一緒に考え、進めていくにしても、頭のなかに入れておきたいことです。

人生100年時代における「老後資金」の考え方

必要な老後資金の考え方について、以前に「2000万円問題」が話題となりましたが、これは総務省の家計調査において高齢無職世帯の年金収入と支出に毎月5万円ほどの差があり、この差が30~35年を補うために2000万円が必要という話です。

頼藤太希・高山一恵『「経済的自由」を最速で手に入れる! ぴったりの投資プランが最速で見つかる! マンガと図解 はじめてのFIRE』(宝島社)
頼藤太希・高山一恵『「経済的自由」を最速で手に入れる! ぴったりの投資プランが最速で見つかる! マンガと図解 はじめてのFIRE』(宝島社)

「人生100年時代」と言われ、男性の平均寿命は男性が81.64歳、女性が87.74歳(2020年時点)で、100歳を超える高齢者は、国内で8万人を超えています。この人数は51年連続で過去最多を更新しています。

こうした話を聞くと、特別に「老後のため」の資金をつくらなければと思ってしまう人もいるかもしれません。

しかし、サイドFIREを行う場合の考え方としては、生活費を年間で300万円(月で25万円)と決めて、老後も同じ額で生活することを前提にすると、勤労収入で稼いでいた額が年金収入でまかなえるのであれば、「老後資金」として無理に用意する必要はありません。

資産は稼ぎ続けてくれる

つまり、考えることは、年金をもらう前に稼いでいた勤労収入の額と、同等かそれ以上の年金が世帯でもらえるのか、という点のみです。老後の人生は長いのですが、生きている限り年金は支給され、同様に資産も“働き”続けて、収入を生み出してくれます。

ただし、豊かな老後を送るということに関しては十分ではないと考えれば、原則60歳以上から引き出せるようになるiDeCo(個人型確定拠出年金)や、つみたてNISAの活用も選択肢に入れておくとよいでしょう。

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頼藤 太希(よりふじ・たいき)
Money&You代表取締役
中央大学客員講師。 慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に6年間従事。2015年に(株)Money&Youを創業し、現職へ。女性向けWebメディア『FP Cafe』や『Mocha(モカ)』を運営。資産運用・税金・Fintech・キャッシュレスなどに関する執筆・監修、書籍、講演などを通して日本人のマネーリテラシー向上に注力している。著書は『1日5分で、お金持ち』(クロスメディア・パブリッシング)、『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂)など多数。日本証券アナリスト協会検定会員。ファイナンシャルプランナー(AFP)。YouTubeチャンネル「Money&You TV」配信中。
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(Money&You代表取締役 頼藤 太希)

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