- 2022年02月14日 10:05
【アップル】アイフォンをレジ代り!零細飲食店は歓迎もウォルマートは見向きもせず?

■アップルは8日、店の決済端末やレジの代りにアイフォン(iPhone)を利用したフィンテックを発表した。
アイフォンがあれば決済端末が不要となる機能で特に零細小売店や飲食店などで利用が拡大しそうだ。
アップルの「タップ・ツー・ペイ・オン・アイフォン(Tap to Pay on iPhone)」は、アイフォンを近づければ、アップルペイや非接触型カードなどで決済でき、非接触型クレジットカードやデビットカード、その他のデジタルウォレットでの支払いに対応する。
このシステムでは、アイフォンの近距離無線通信規格(NFC)を採用。購買履歴や個人情報をアップルが取得することはないとし、プライバシー保護を強調している。
オンライン決済のストライプ(Stripe)と音楽ストリーミングサービス大手のスポティファイが今春、アメリカ国内でこの機能を提供する。
専用の決済端末が不要なタップ・ツー・ペイ・オン・アイフォンのメリットを生かせるのはアメリカでは「フードトラック」と呼ばれるキッチンカー等だ。
リース代など発生する固定店舗よりも低コストで開業でき、気軽に始められるキッチンカーの多くが零細業者だ。
レジ代りにアイフォンを使えることで、他のモバイル型の決済端末を揃える必要なくなりさらに費用が軽減される。
一方で大手チェーンストアにとってそれほど大きなメリットはないかもしれない。
アップルペイは国内の小売チェーンを含め90%以上で利用されている。
最大手チェーンのウォルマートは独自のスマートフォン決済「ウォルマート・ペイ(Walmart Pay)」がある。
アップル・ペイやグーグルの「アンドロイド・ペイ」などIT系企業の決済システムに対抗しているウォルマート・ペイはアプリを立ち上げカメラでレジにあるQRコードを読み込ませる手間がかかる上、ウォルマート以外の店舗では利用することができない。
しかしウォルマート・ペイを含む、買い物に便利な様々な機能をもつウォルマート・アプリを顧客に浸透させたいのだ。
特に重要になってくるのがウォルマートの成長戦略として基軸になるサブスクリプション「ウォルマート・プラス(Walmart +)」だ。
年間98ドル(月額12.95ドル)となるウォルマート・プラスはアマゾン・プライムに対抗する有料のメンバーシップ・プログラム。
スーパーセンターにある食品や日用品、オモチャ、家電品などを対象に無制限で無料で当日宅配を受けられる他、ガソリン割引や店内での買い物時で利用者が商品バーコードを専用アプリでスキャンしながら決済を終える「スキャン&ゴー(Scan & Go)」も特典となっている。
ウォルマート・プラスはローンチ直後、配送無料の条件にしていた購入額35ドル以上を撤廃し、昨年6月には処方薬の割引特典を付加している。
この特典ではウォルマートの薬局で処方薬を購入すると一部の処方薬が無料となるほか、その他数千種類の処方薬が最大85%引き、平均65%引きで購入できる。
ウォルマート・プラス等でストアアプリを使ったシームレスな買い物を実現すれば、小売以外のビジネスで収益を上げられることになる。その一つが広告だ。
ウォルマートは1年前、自社内の広告事業を刷新しオムニチャネル化に合わせてメディア売上を拡大していくことを発表した。
第2四半期(5月〜7月期)決算ではすでにその効果が表れており、メディア部門「ウォルマート・コネクト(Walmart Connect)」の売上高が前年同期比で95%増と売上が倍増したと明らかにしている(売上高は不明)。
ウォルマートはネット通販のウォルマート・コム、2020年9月にローンチしたウォルマート・プラス、そしてネットスーパーからリアル店舗内での買い物でも利用されるウォルマート・アプリ等、利用者の情報接点を活用した広告戦略で早くも結果をだしたことになる。
つまり顧客との情報接点となるタッチポイントでは顧客にアプリを使わせたい。
したがってオンラインと合わせて週客数が1.5億人にもなるウォルマートでは、アップルペイは受け付けていないのだ。
ウォルマートの顧客の多くが低所得者層で高額なアイフォンの利用者が少ないにもアップルペイでの利用が進まない理由だ。
アップルの新フィンテックは大手チェーンストアで利用が急に増えることはないのだ。
トップ画像:タップ・ツー・ペイ・オン・アイフォンのイメージ画像。アイフォンをレジ代りにできることで、例えばキッチンカーなどを営む零細飲食店などを中心に利用が進みそうだ。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。勉強熱心な日本の流通ビジネスマンもストアアプリの重要性を熟知しているひとはいないと思います。なぜなら過去3年間、米国での実地学習ができていないからです。それは日本在住の流通コンサルタントにも言えることです。3年以上もアメリカに来ていないので流通の専門家も流通先進国の現状がわからないのです。もしかしたらコンサルタントの一部には一生理解が不能かもしれません。
そもそもチェーンストアは物販以外で売上を上げるという発想がないからです。しかしウォルマートはBtoBの事業を拡大させています。出品者に代わってカスタマーサービスまで手掛けるのが「ウォルマート・フルフィルメント・サービス(Walmart Fulfillment Services)」、クラウドソーシングをベースにしたネットスーパーの宅配を手掛けるサービス「スパーク・デリバリー(Spark Delivery)」にそれを他のチェーンでも手掛ける「ゴー・ローカル(Go Local)」などあります。物販以外のサービスでも、アプリを介してシームレスに実現しようとしているのです。
摩擦のないフリクションレスをアプリで実現するためにはIT大手のプラットフォームにウォルマートは乗らないのです。



