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「ヒトラー発言騒動」真の問題点とは 日本の言論状況を考える その1

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Photo by Koji Watanabe/Getty Images

林信吾(作家・ジャーナリスト)

【まとめ】

・菅直人元首相によるヒトラー発言に、日本維新の会が正式に抗議した。

批判的な文脈でも褒め言葉だとしても、法律上ヒトラーの名前を持ち出すことは禁止されていない。

・こんなことではヒトラー・ナチスの暴虐の犠牲となった人たちが浮かばれない。

「ヒトラー発言騒動」が未だ収束しない。

発端は1月21日、立憲民主党(以下、立憲)の最高顧問である菅直人・元首相が、日本維新の会(以下、維新)の元代表である橋下徹氏の名前を挙げ、その弁舌の巧みさは

ヒトラーを思い起こす

などとツイートしたこと。これに対して橋下氏は、

「ヒトラーに重ね合わす批判は国際的に御法度」

などと反発。ただしこの時点では、

「ほめ言葉と受け取っておく」

と受け流す姿勢であった。


▲菅直人氏ツイート(2022年1月23日)

ここで終われば世間も橋下氏に軍配を挙げた可能性が高かったろうし、私個人としても、

「本当に強い野党を作る気があるなら、大阪では自民に圧勝している維新の政治を謙虚に研究すべき」

との意見は、大いに正しいと思えた。

▲写真 選挙カーの屋根から有権者に語りかける橋下徹氏(2014年12月) 出典:Photo by Buddhika Weerasinghe/Getty Images

しかし、収まらなかったのは維新で、まずは翌22日、代表の松井一郎・大阪市長

正式に抗議する

とツイートしたのを皮切りに、24日には同党の次期代表との呼び声も高い吉村洋文・大阪府知事が、大阪府庁で取材に応じ、

「これは国際法上はあり得ないことですし、どういった人権感覚をお持ちなのか」

などとコメントした上で、やはり正式に抗議し謝罪を求める姿勢を明らかにした。

そして実際、維新は26日、立憲に正式に抗議したのである。

まず、なにが問題なのかをはっきりさせておかねばならないが、ヒトラーや彼が率いたナチス政権を礼賛することは、もちろん「国際的に御法度」である。

▲写真 日本外国特派員協会で記者会見に臨む松井一郎氏と吉村洋文氏(2019年2月) 出典:Photo by Tomohiro Ohsumi/Getty Images

これについては、サンドラ・へフェリンさん(編集部注:ドイツ・ミュンヘン出身。多文化共生をテーマに執筆活動を続けている)が、そのものズバリ『ナチス・ヒトラー礼賛が絶対ダメなわけ』というタイトルにて、本誌にとてもよい記事を寄稿したことがあるので、詳細はそちらに譲るが、しかしその記事の中でも、批判的な文脈でヒトラーの名前を持ち出すことまでダメだとは、どこにも書かれていない。

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