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防衛装備調達における世論の影響

防衛装備調達は、防衛省の専門家が決めるものであって、素人の抱くイメージレベルの世論などが影響を与えるものではない……と、言う訳ではないようです。

F-15コンテンツの多いサイト「MASDF」管理人にしてカメラマン、軍事評論家の関賢太郎氏が、ツイッターで興味深いことを呟いてます。
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このツイートで私が注目したのは、エアワールド紙が、関氏が広告主に損害を与えたとしており、エアワールド紙に対して、ボーイング社からクレームが入った事を示唆している事です。
関氏は、後のツイートで次のように呟いています。
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エアワールド紙において、ボーイングが、当時のFX選定において有利になるよう、ン十万を投じてF-18関連の広告を出していたのでしょう。
広告を打ったにも係わらず、その効果を打ち消すような記事を載せたため、広告費がムダになったという論法なのだろうと思われます。

そして、その背景には、エアワールド紙自身が、広告費の支払いを拒否されたか、その後の広告をストップさせるとして、ボーイングから圧力をかけられたのだと思われます。

注目すべきなのは、ボーイングがエアワールド紙などの航空誌による機種の評判が、FX選定に影響を及ぼすと評価しているという点です。(もちろん、そう評価しているからこそ広告を乗せるのでしょうが)

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件のエアワールド紙記事は読んでいませんが、関氏は、速度性能を評価する上で重要なグラフであるフライトエンベロープを用意するなど、技術的にしっかりした記事を書いたようです。

しかし、実際に選定に当たっている防衛省・空自の関係者は、それよりも遥かに詳細なデータを受け取り、米軍やオーストラリア空軍とのDACTを通じて、F-18の速度を含めた性能を遥かに熟知しています。
関氏の記事を参考にする必要性は、皆無です。

そして、そんなことはボーイングだって知っています。
それにも係わらず、航空誌による評判を気にするという事は、それがFX選定に影響を与えうると判断しているからでしょう。

その評判が影響を与えうるのは、防衛省・空自でなければ、その上、つまり防衛大臣や首相などの政治家だと思われます。
実際、FXがF-35に決定した後でも、その後の開発遅延などで、選定した政府に対して批判も起きています。
政治家は、そう言った評判を気にするが故に、航空誌にのる候補機の評判も気にするのでしょう。
石破氏のように、スペックに言及する政治家もいますし、菅元首相がFX選定に口を出そうとして止められたなどという情報もありました。

純軍事的に評価されるべき機種選定に、そのような力学が働くことは適切ではないと思いますが、致し方ない部分ではあります。
実際の評判を与える側である航空誌の読者やこのブログの読者とすれば、自分達の認識が正しくないと、国防にも悪影響を与えるということですから、改めて情報リテラシーが大切だということでしょう。

ちなみに、実際、今回の関氏のような事例は、良くあることのようです。
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関氏は、この件を信義の問題だとしています。
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しかし、ボーイングやエアワールド紙においては、これは信義の問題ではなく、経営上の問題です。
エアワールド紙としては、例え裁判になったとしても、ボーイングの手前、広告に反する記事を書いたライターにはペナルティを与えなければならないのでしょうし、それによって他のライターに対しても、広告主の意向に反する記事を書かないよう、抑止する必要性があるのだろうと思います。
良くないことだとは感じますが、これが故に、商業誌である以上、これを無くすことは不可能だと思われます。

よって、情報の受け手である我々が、多額の広告費が使われていると思われるメディアの情報には注意を払わなければなりません。
(最近、テレビはこれでかなり叩かれてます)
(ちなみに、私はこのブログでは、アマゾンのアフィ以外は一円ももらったことないです)

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