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加藤浩晃「デジタルの活用でがん検査のハードルが下がる、”どこでも医療”の実現に期待」 - 「賢人論。」第157回(中編)加藤浩晃氏

現代は2人に1人ががんになる時代。「医療4.0」の未来を描く医師・加藤浩晃氏にがん治療の可能性について聞いた。予防段階でいかにデジタルが活用できるのか。検査のハードルを下げるには。また、新型コロナウイルスのPCR検査でも使用される「自宅検査キット」についても話が及んだ。

取材・文/みんなの介護

予防の3段階でデジタルが応用できる

みんなの介護 現代は2人に1人ががんになると言われる時代です。がんの予防や治療で今後期待できる取り組みはありますか?

加藤 実は一口に予防と言っても、一次予防から三次予防まで3つの段階があるんです。

一次予防は、生活習慣を改善して健康を増進すること。例えばスマホで食事を撮影することで、栄養素や摂取カロリーデータを蓄積することができます。身体に良い食事ができているかどうかをチェックすることができます。

二次予防は早期発見・早期治療に努めること。例えば、腕時計型のウエアラブルデバイスを使ったデータの管理で、早期に身体の異常に気づいてアプローチすることができます。

三次予防は病気の方がそれ以上悪化しないようにすること。治療用アプリなど、病状を管理するデジタルサービスがあります。アプリのサポートでしっかり薬を飲むなどして、がんになってからの重症化を予防する。このようなデジタルサービスが今後は予防を支えていくでしょう。

これら3つの段階でデジタルは力を発揮します。

がん検査のハードルを下げるには

みんなの介護 がんは、検査が嫌な方が多いことが発見の遅れにつながっているような気がします。検査に対する苦手意識をなくすような技術もあるのでしょうか?

加藤 検査が嫌な理由は、大きく2つあると思っています。1つは病院で予約した時間から待たされること。仕事が忙しい中などは特に足が遠のく原因になるかもしれません。

これに対しては、予約したら待たなくても検査が受けられるシステムの開発が進んでいます。スムーズに検査が受けられるようになっていくと、気楽に検査を受けやすくなるんじゃないでしょうか。

もう1つは検査の痛みに対する不安。検査というと、ガッツリした検査を受けなくちゃいけないイメージかもしれません。しかし侵襲を少なくしながら、従来の検査から精度を落とさずに病気の兆候を見つける方法も徐々に出てきています。

実際どんな検査になるのかは、研究段階です。ウエアラブルデバイスやセンサーを使うのか、唾液や痰、尿や便などを使った検査なのか…という感じです。採血量を少なくして早期発見・早期治療できる検査も進んでいますよ。

国は、2030年ぐらいをめどに「どこでも医療」の実現を目指しています。どこでも医療というのは、病院にあるような検査機器を小型化して、どこでも検査ができるようにするアイディアです。

「自宅検査キット」は玉石混交、”精度”の見極めを

みんなの介護 現在も、家にキットが届いて血液を取って身体の状態を調べる検査などがあります。病院で調べる場合との精度の違いはあるのでしょうか?

加藤 玉石混交というのが現状だと思います。国によって精度が担保されているものと、「うちはこんな精度です」と企業が謳っているだけのものがある。後者は、誰も精度を保証していません。がんの検査だけではなく、PCR検査も精度が保証されているものと保証されていないものがあります。

グレーなところがいっぱいあり、ややこしいです。賢い消費者になって良いものを見極める必要があるんです。

みんなの介護 グレーゾーンということですね。

加藤 そうなんですよ。グレーな感じのところがいっぱいあるからややこしいんですよね。

撮影:丸山剛史

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