- 2022年02月01日 17:30
不登校の親だってつらいんだ。親の支援にも取り組むNPOの思い
2/2望みのちがい
そもそも親御さんと子どもでは望んでいることが全然ちがいます。多くの子どもは、学校へ行けなくなるずっと前から苦しさを抱えています。長期間、無理をしてがんばってきたから「今は安心したい」と願っている。一方で親御さんが望んでいるのは、勉強の遅れや進学・就職への不安を解消すること。「お母さんのほけんしつ」内で行なったアンケートでも「親が感じている不安」の項目ではこの2つの回答が圧倒的に多かったです。でも、子ども自身は勉強の遅れを取り戻したいとは考えていません。悩みのすれちがいは子どもだけでなく親御さんにとっても苦しみの種になります。おたがいの苦しみをやわらげるためにも、お子さんから1度離れて方向性のちがいを親御さんに知ってもらえたらと思うんです。
――今悩んでいる親御さんたちに伝えたいことは、ほかにありますか?
「ひとりで抱えないでください」と伝えたいです。親御さんは子どもの不登校によって、社会や家庭内で孤立してしまうことがあります。社会からは近所の人との会話が減ったり仕事を辞めたりすることで孤立しますし、家庭内では夫婦間で連携が取れないことで孤立が起こることもあります。とくにお母さんが孤立していることが多いです。お父さんが抑圧的であったり、何年もまともに夫婦で話せていなかったりして、思っていることを話せていないとよく耳にします。
誰にも本音を打ち明けられないというのは本当につらいことです。私自身もまわりに理解されないことにつらさを感じていたことがありました。小学2年生のとき、「生きるってなんだろう?」と私はよく考えていました。深く考えることが好きだったんです。ところがあるとき、友だちに考えていることを話したら、「まじめくんだね」と言われてしまいました。ショックでした。友だちと自分とのあいだに溝を感じ、ひとりになった気がしました。人が離れていくさびしさを感じた私はその後、人前でふざけるようになりました。何もない道でわざと転んだり、ちょっとしたことに声を上げて爆笑したり、演技するようになったんです。自分を隠して演じていれば人とつながっていられると思ったんですね。高校の担任の先生との出会いをきっかけに、私は本音で話せるようになりましたが、今ふり返っても、ひとりで孤独を抱えるのは苦しい経験でした。
悩みの伴走者に
どんなことでも自分の気持ちを表に出せると、その先の「何か」につながっていくと思います。今苦しんでいることから1歩踏み出すためにも、どうか「人を頼ること」を恐れないでください。親御さんのなかには自分の子育てが悪かったのではないかと自分を責めている方もいますが、過去のことはそのとき一生懸命に考えて行動したことだったと思います。親のみなさんは本当に努力されてきました。でも、これ以上ひとりでがんばる必要はありません。誰かに頼っていいんです。「お母さんのほけんしつ」では子どものことだけではなく、親御さん個人の相談も受けつけています。なんだったらグチをこぼしてもらうだけでも私たちは大歓迎です。みなさんの悩みの伴走者でありたいと、私たちは思っています。
――ありがとうございました。(聞き手・遠藤ゆか、編集・本間友美)
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NPO法人キーデザイン
電話 080-1853-6296
【プロフィール】土橋優平(どばし・ゆうへい)
NPO法人キーデザイン代表理事。大学時代に周囲の生きることへの姿勢に疑問を持ち、中退後にNPO法人キーデザインを起業。「ひとりにならない社会をつくる」を目指し、栃木県宇都宮市とさくら市で不登校の小中学生向けのフリースクールを運営。ホームスクール(家庭訪問プログラム)と、保護者向けLINE相談支援「お母さんのほけんしつ」にも取り組んでいる。



