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映画『テレビで会えない芸人』が描いたテレビ界の自主規制体質について製作者に聞いた

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奥さんのインパクトと撮影をめぐる経緯

――映画の中でヒロさんの奥さんがすごくインパクトがあって、とても良いシーンになっていますね。

四元 映画に入れたかった奥さんのシーンはあと二つぐらいありました。その一つは安保法制が可決された時に、奥さんが「もうこんな日本には住んでられない」と言って美容室に行ったんですが、帰ってきたら金髪にしていたという話でした。好きなエピソードでしたが、入れませんでした。

 撮れたシーンはたくさんありましたが、最も印象的なシーンだけを残しました。僕らも撮影してる中でとても魅力的な方だなと感じていて、ヒロさんを描くためには奥さんの存在は欠かせないと思いました。

四元 ヒロさんへの思いが通じて、奥さんも僕らを信頼して、取材に応えていただいたと思っています。

 「私はちょっと映さないでね」という形で始まってるんですけれども、結構長い時間お家にもお邪魔させていただいていて、その間ずっとカメラを回していました。そうすると、奥さんの方から話しかけてくれたり、僕らが行くたびにいろいろ美味しい料理を振舞ってくれたりするんです。そういうふうに迎え入れてくれてるということが、明言はしないけど受け入れてもらったと思っています。

昔は「憲法問題」も普通にテレビでやっていた

――「テレビで会えない芸人」というタイトルは、早い段階から決まっていたのですか?

四元 ヒロさんが舞台で僕らの取材をネタにして、「『テレビで会えない芸人』なんです」と笑いを取って、それを聞いた瞬間に、もうこれにするしかないなと思いました。

 テーマが「言論と表現の自由」です。「テレビで会えない芸人」をテレビが追っかけて、その芸は本当にテレビが出せないものなのか。もし、そうでなければ何がそうさせているのか、それを僕らはテレビで観てもらおうと思ったのです。

 番宣で麻生元首相や安倍元首相をヒロさんがネタにしているシーンを流した時には「何というもの流すんだ、お前らは」みたいな抗議がちょっと来ましたが、番組そのものを放送した時には1本も来ませんでした。むしろ「再放送してほしい」という声が多数寄せられたんです。伝える思いがあって、ちゃんと観てもらえばわかってもらえるんだと思いました。

 テレビで流せないと言われてるものを流したからすごいでしょみたいな感じでは我々全然思っていなくて、むしろ今番組で観ていただいたようなものが、最近のテレビでは観なくなっていませんか、皆さんこういうのって何故なくなっちゃったんでしょうねと一緒に考えてもらう番組にできれば、というイメージですね。

四元 昔は「憲法を考える」とか普通にテレビでやっていたような気がするんです。でも今はクレームを恐れているのか、やらない時代になりました。だからこそ、憲法については扱いたいなと思いました。ヒロさんの舞台で憲法のネタをやる日を聞いて撮りました。

 イデオロギーの話というよりは、おかしいものにおかしいと言えない世の中はおかしいよねということですね。

――局としての評価はどうですか?

四元 局を挙げて応援してくれています。年末、ゴールデンの番組でも紹介してもらい、宣伝のCMも流してもらっています。鹿児島が先行上映なので、その公開に合わせて各番組での特集を展開していくことになっています。

今のままではテレビの方が棄てられる

――テレビ局としても、テレビで思い切ったことが言えない状況について考えてみようという姿勢なわけですね。

四元 「テレビで会えない」というのは、多分、今のままのテレビでは僕らの方が視聴者に会えない、僕ら(テレビ)が棄てられるのではないか、という思いもあります。

 今テレビは、ネットでちょっと批判されたり、抗議が来ると、「じゃあそれやめよう」とかいうのが本当に多くなっています。例えば温泉の番組企画で、許可をもらっているのかとかネットで書かれると、「許可を得て入ってます」とかスーパーで表示する。抗議が来ないようにそうするわけですが、でも許可を得て入っているのは当たり前でしょう。それなのに全部言い訳というか、抗議が来ないようにを最優先に考えてしまう。そういう空気に流れやすい今のテレビ界の姿勢を、ヒロさんは嫌だと言い、これでいいんですかというのを僕らに突きつけているような気がするんです。

 批判や抗議が聞こえてくるともう怖くなって、萎縮するという。そうすると次はそういう声が無くても、相乗効果でどんどん表現が狭くなってしまう。

――映画で表現するのは、テレビとはまた違う問題提起ができますね。

四元 テレビは決まった放送枠内で表現しなければならず、ローカル放送だと観てもらえるエリアも限られ、そのほとんどが1回放送したら終わりです。しかし、映画は長い時間をかけて表現でき、作品としても残り続ける―やっぱりそれは魅力だなと思います。今回、鹿児島テレビが初めて挑戦した映画『テレビで会えない芸人』、ぜひ多くの人に観てもらいたいなと思います。

「テレビで会えない芸人」公式サイト(フェイスブック)
https://www.facebook.com/tv.aenai.geinin

※Yahoo!ニュースからの転載

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