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「2年後に再び"トランプ大統領"の可能性」中間選挙を前に専門家がそう分析するワケ

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2021年1月に大統領に就任したバイデン氏の支持率が低下している。一方で、注目を集めているのがトランプ前大統領だ。ジャーナリストの大門小百合さんによると、アメリカでは今も、トランプ氏が大きな影響力を持っているという――。

2021年9月25日、アメリカのジョージア州ペリーで行われたセーブ・アメリカ集会でスピーチするドナルド・トランプ前大統領
2021年9月25日、アメリカのジョージア州ペリーで行われたセーブ・アメリカ集会でスピーチするドナルド・トランプ前大統領 - 写真=AA/時事通信フォト

2024年の大統領選に大きな存在感

ジョー・バイデン氏がアメリカの大統領に就任してから1年が経過した。しかし今も、ドナルド・トランプ前大統領の存在感がすごいのだ。

アメリカの政治メディアのポリティコは、「145 Things Donald Trump Did in His First Year as the Most Consequential Former President Ever 」(これまでで最も重要な前大統領として、ドナルド・トランプが最初の1年間でやった145のこと)というタイトルの特集を組んだ。大統領の座を降りて1年がたってもこのような特集が組まれる前大統領は今までにいなかっただろう。彼はこうした意味で、ある種の天才だと言う人もいる。

そして、昨年12月に行われたロイター/イプソスの世論調査でも、彼は2024年の大統領選で、他の共和党候補を圧倒的にリードしている。

「2024年の大統領選挙で誰を支持するか」という質問に対し、共和党員の54%がトランプ氏、11%がフロリダ州のロン・デサンティス氏、8%がマイク・ペンス元副大統領を選んでおり、トランプ氏が2位のデサンティス知事に43ポイントの差をつけていることがこの調査で明らかになった。

あっという間に支持率が逆転

とはいえ、トランプ氏が注目されるのは、バイデン政権の不人気のせいもある。昨年ギャロップ社が1万2000人のアメリカ人を対象に行った調査によると、2021年の第1四半期の政党支持率では、民主党が49%で共和党の40%を9ポイントも上回っていた。しかし、同じ年の第4四半期には、民主党と共和党の支持率が逆転。共和党支持が47%となり、民主党支持率42%を5ポイントも上回ったのだ。

たった1年の間に支持率がこれほど大きく逆転した例は、ギャロップ社の過去30年の調査の中では初めてだという。そしてこれは、トランプ氏とバイデン大統領の支持率と密接な関係があると分析されている。

2020年に大統領選挙で敗れた時のトランプ氏の支持率は、彼の任期中最低の34%。一方、バイデン大統領は大統領就任後、57%の高い支持率をしばらく維持していた。ところが、夏以降、支持率は下降し40%台になってしまった。

ワクチンの失策、アフガニスタン撤退、上向かない景気

バイデン政権の不人気の理由はいくつもある。

まずはコロナ対策。夏からデルタ株が猛威を振るい始め、昨年9月、バイデン政権は、従業員が100人以上の企業に、従業員へのワクチン接種を実質義務化する政策を打ち出した。金融業界や飛行機会社などが従業員にワクチン接種を義務付けており、従わない場合は解雇などの厳しい措置を設けているところもある。ところが、この政策は民主党員、共和党員にかかわらず不評なのだ。

1月13日、アメリカ連邦最高裁は、「政府には企業にワクチン接種の義務を課す権限はない」としてこの施策を差し止めた。このため、スターバックスやゼネラル・エレクトリックなど、従業員への接種義務化を決めていた会社は、義務化を取りやめたという。

私たち日本人の記憶にも強く残っているのは、2021年8月のアフガニスタン撤退における大混乱だ。バイデン政権は、前のトランプ政権がタリバンと結んだ合意を実行しただけであったが、早急な撤退で1日に13人の米兵が死亡、数百人の米国人が一時置き去りにされた。また、現在も続くアフガニスタン国内の生活物資不足は深刻だ。

そして何と言っても、景気が思うように上向かないことへの不満は大きい。コロナ禍の経済損失に対する刺激策を打ち出し、インフラ投資法案も成立させた。しかし、物価高でインフレ懸念もあり、国民に豊かさの実感はない。多くのアメリカ人は生活を直接支える施策がほしいと思っているのに、バイデン大統領は「民主主義を取り戻す」といった概念的な話をするばかり、とのいら立ちもあるようだ。

トランプよりも分断を広げた

しかも、トランプ政権の下で顕著になったアメリカの分断は、バイデン政権下でさらに悪化しているようにも見える。なぜか?

これには、バイデン大統領の置かれた苦しい状況が影響している。バイデン大統領は、民主党や多くの無党派層から「アメリカに民主主義を復活させてほしい」という強い期待を持たれていた一方、トランプ氏の熱烈な支持者からは、「選挙不正で勝った大統領」というレッテルを貼られている。かなり難しい課題を背負ってスタートした政権だが、期待が高かった分、支持していた有権者は少々の成果では納得せず、落胆は大きくなる。

アメリカ政治と外交に詳しい笹川平和財団の渡部恒雄上席研究員によると、バイデン大統領の支持基盤を見ることで現在、分断が広がっている理由がわかると言う。

「バイデンの支持基盤は民主党中道で、民主党左派ではありません。でも、共和党に勝つためには、左派と中道をきっちりとまとめなければなりませんでした。僅差で選挙に勝った民主党をまとめ、党の支持基盤にアピールするためには、共和党やトランプを激しく批判しないといけない。その結果、バイデンはトランプと同じくらい、国の分断を深める発言をすることになったのです」と渡部氏は言う。

7月4日の独立記念日に星条旗をはためかせる車
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Michele Ursi

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