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いじめ問題で困ったとき、真っ先に弁護士に相談してはいけない…「いじめ解決のプロ」がそう忠告するワケ

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いじめ問題で困ったとき、どこに相談すればいいのか。NPO法人「プロテクトチルドレン」代表の森田志歩さんは「弁護士などの『いじめ問題の専門家』は、保護者と学校の対立を深めるだけで、あまり役に立たない。素早い解決には、子どもの味方になる第三者の介入が有効だ」という――。(第1回)


森田志歩さん - 撮影=堀隆弘

いじめ被害生徒の保護者として相談を受ける

新聞やテレビでいじめのニュースが流れるたびに、学校・教育委員会がいじめの存在をなかなか認めようとせず、いじめの解決に消極的であることが報じられます。そうした学校・教育委員会の対応に、いじめ被害に遭った児童・生徒の保護者が怒りをあらわにし、教育評論家などが学校・教育委員会の姿勢を激しく批判する様子は、もはや見慣れた光景となってしまったと言ってもいいでしょう。

なぜ、いじめ問題はこじれ、膠着(こうちゃく)し、解決に長い時間を要することになってしまうのでしょうか? それを論じる前に、私がなぜいじめ問題と関わるようになったのか、その経緯からお話ししていきたいと思います。

私は、いじめ被害生徒の保護者です。

息子は中学生の時、警察が介入するほどの激烈な暴力を受けて登校することができなくなってしまい、ついには自傷行為に及ぶほど心に傷を負ってしまいました。息子の心がみるみる壊れていくのを目の前にして、学校・教育委員会に対する私の不信感はピークに達し、息子を守るため、徹底的に戦う決意を固めたのでした。

こうした私の姿が何度も報道されたこともあって、同じようにいじめ問題に直面している児童・生徒や保護者の方たちから、相談が舞い込むようになりました。学校・教育委員会との「戦い方」を教えてほしいというわけです。

相談件数は、猛烈な勢いで増えていきました。これは、きちんとした組織をつくって対応しなくてはならないだろうと考えて、まず2020年に市民団体を立ち上げ、翌2021年、この市民団体をベースにした、子どもたちの命と尊厳を守るNPO法人「Protect Children~えいえん乃えがお~」を立ち上げたのです。

相談の内容は、いじめ、教員による不適切指導、虐待、学校・教育委員会等への対応問題など多岐にわたりますが、1カ月に200件近い相談が寄せられます。相談者は当然、被害児童・生徒本人、保護者が多いのですが、実を言うと、学校・教育委員会からの相談も3割近くあります。これはおそらく、他の団体にはない特色ではないかと思います。

そして、大げさではなく、私が介入すると1日か2日で解決に向けて事態が動き出します。これまで携わった案件で、膠着状態に陥って動かなかったものはないと断言できます。

中立の立場で介入すれば即解決できる

なぜ、私が介入すると、解決に向けてすぐに動き出すのか。

それは、私が保護者でも、学校・教育委員会の味方でもなく、中立な立場で介入するからです。多くのいじめ問題に関わる団体や弁護士は、保護者の味方になって問題に介入します。しかし、それが学校・教育委員会との対立構造を生み、問題を長引かせてしまう。これは次回の記事で詳しく紹介しますが、学校・教育委員会側にも言い分や理解してほしい事情がありました。

私自身がそうでしたが、被害児童・生徒の保護者の多くは、いじめの存在をなかなか認めようとしない学校・教育委員会に不信感を募らせて、処罰感情をエスカレートさせています。「学校はいじめの存在を認めて謝罪しろ」「いますぐに担任を辞めさせろ」「加害児童に謝らせろ」というわけです。こうした保護者の気持ちは、痛いほどわかります。本当に不誠実な学校・教育委員会がいるのも事実です。

相談を受け始めた当初、私も保護者と一緒になって学校・教育委員会に抗議していました。しかし、これではいけないとすぐに気づきました。なぜなら、学校・教育委員会に対して抗議の姿勢で臨むと、「個人情報に関わることなので、これ以上お話はできません」と言われてシャッターを下ろされてしまい、話し合いのテーブルにすらつけなかったからです。

そこで学校や教育委員会に連絡するときは、「私は保護者の味方でも、学校・教育委員会の味方でもない中立の立場です」とはっきり表明しました。すると、話し合いが進みます。それどころか、学校・教育委員会から「解決のためには何をすればいいですか」とアドバイスを求めてくるケースも少なくありません。彼らだって、早期解決を願っているのです。

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