- 2022年01月26日 09:51 (配信日時 01月25日 11:15)
売上高が14%に減ったうえに…HISが苦しむ「800億円のキャンセル料」という重すぎる経営課題
1/2旅行会社大手のエイチ・アイ・エス(HIS)が業績悪化に苦しんでいる。ツイッターなどで「会計クイズ」を発信する福代和也さんは「決算書を読むと、減収減益に加えて、約800億円の現金が流出していることがわかる。それが旅行代理店というビジネスモデルを根底から揺るがしている」という――。
大手旅行会社「エイチ・アイ・エス(HIS)」のロゴマーク=2020年12月3日、東京都港区 - 時事通信フォト
経営危機に陥ったエイチ・アイ・エス
コロナ禍で業績が大きく変化した業界は少なくありません。その中の一つに旅行業界があります。緊急事態宣言や蔓延防止策により、旅行客は急激に減少してしまいました。
今回は、エイチ・アイ・エスのコロナ前後の貸借対照表を比較し、コロナの影響がどの程度あったのかを決算数値から読み解いていきましょう。
さっそく問題です。日本を代表する旅行代理店であるエイチ・アイ・エスの、2012年10月期と2021年10月期の貸借対照表が並んでいます。どちらがコロナ後の最新の貸借対照表か当ててみて下さい。
図表=筆者作成
たった1年で売り上げが4分の1程度に減少
正解は選択肢②が2021年10月期のエイチ・アイ・エスの貸借対照表でした。

図表=筆者作成
それでは、まずはエイチ・アイ・エスがコロナウイルスにより受けた業績への影響を確認します。売上高の推移を見てみると、コロナウイルスの流行が始まった2020年度の売上高は2019年度に比べて半分近くまで減収となっています。たった1年で売り上げが半分となっているのも衝撃的ですが、2021年度の売上高はさらに4分の1程度まで減っています。この2年では8085億円から1186億円と86%の減収となっています。売上高が14%に縮んでしまったわけです。

図表=筆者作成
一方で、営業利益の推移についても確認してみましょう。エイチ・アイ・エスの営業利益の推移データを見てみると、売上高と同様にコロナウイルスの流行が始まった2020年度より赤字が拡大していることが読み取れます。売上高と営業利益の推移を見ても分かる通り、旅行者の減少が旅行代理店の業績に与える影響は非常に大きいです。

図表=筆者作成
大赤字を出したからといって倒産するわけではない
コロナウイルスの影響で旅行者が大幅に減少し、その結果エイチ・アイ・エスの売上高と営業利益は大きく減少してしまいました。しかし、減収減益以上に危険なシグナルが存在します。
それは何かというと現金等の減少です。エイチ・アイ・エスの総資産の推移を見てみると、コロナウイルスの流行が始まった2020年度より1500億円近く減っていることが読み取れます。

図表=筆者作成
コロナウイルスが流行する前後の年の貸借対照表を比較して見ると違いは一目瞭然です。元々は非常に大きい割合を占めていた流動資産の金額が、たった一年で半分以下となってしまっています。

図表=筆者作成
流動資産の内訳を確認してみると、特に大きく減少している勘定科目が「現金および預金」です。コロナウイルス流行の前後で1000億円近く減少してしまっています。
企業は赤字となって倒産するのではなく、現金が支払えなくなって倒産してしまうため、売り上げの減少や赤字の拡大以上に、現金預金の減少が経営する際の最も危険なシグナルとなります。

図表=筆者作成
- PRESIDENT Online
- プレジデント社の新メディアサイト。



