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大学入学共通テスト「数学ⅠA」に受験生が苦戦 急激な難化は正当だったのか

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共同通信社

非現実的な設定を採用してまで難化させることに意味はあるのか

共通テストでは、かつてのセンター試験よりも実用性を意識した出題が増えたのだが、数学ⅠA同様に難化した数学ⅡBで出されたこの問題(外部リンク:共通テスト2022 数学ⅡB問題|共通テスト解答速報2022|予備校の東進)は、果たして実用的と言えるのだろうか。歩行者と自転車をトリッキーに動かしてまで実用性を装うことに、どういった意味があるのだろうか。実用性重視という方向性を守るべく、苦心惨憺の末に編み出した労作なのだろうが、やはり理解に苦しむ。実用性を押し出す意味が感じられないばかりか、いたずらに受験生を困惑させただけにしか思えず、明らかにデメリットの方が大きいだろう。

これもまた、ただでさえ作問の難しい共通テストに対し、あれもこれもと理想を押し付けた人たちに責任がある。センター試験や二次試験をきちんと解いているようには全く見えない人々が入試改革の議論に参加するという、かなり笑えない現象が生じていたのだから、ある意味では当然の帰結ではある。

が、思い付きレベルの話が共通テストに反映され悪問となり、受験生の日頃の努力が実らないばかりか、自身の持つ能力が適切に計測されず涙する姿を思うとやりきれない。実際、当塾の生徒たちから話を聞く限り、試験終了後に涙を流す生徒が散見されたようだし、受験生と思しきSNSのアカウントからも悲痛な叫びが見て取れる。

共通テストに過剰な役割を押し付けるのは止めるべき

共通テストの前身であるセンター試験や共通一次試験からそうなのだが、この試験は選抜試験と資格試験の両方の役割を課せられている。

これが資格試験だけであれば、基本的に平均点は気にする必要がない。求める水準に到達していれば合格とするだけであり、平均点が高くなりすぎても低くなりすぎても、原理原則的に言えば問題ないのだ。

ところが、この試験は選抜試験でもある。能力差が適切に点数差として反映される必要があるため、どうしても適度な平均点が要求される。

ここに、そもそもの難点があった。選抜試験故に、受験産業や受験生は日々進化していき得点能力を向上させていく。必然的に、適切な平均点維持のため、試験の難易度を年々と上げざるを得ない。これでは、基礎学力の有無を測定するという資格試験的な目的や、共通一次試験以前に問題視された難問・奇問を排するという目的を達成するのは徐々に難しくなってしまう。現に、今回の共通テスト数学ⅠA・ⅡBは、標準的な受験生からすれば十分に難問・奇問の類であった。

繰り返しになるが、思考力・判断力・表現力といった多面的な能力は、各大学・学問によって求められるあり様が随分と違うのだから、各大学で計測するべきものだ。多様な生徒が受験する共通テストでは、基礎学力さえ測定できれば十分ではないのか。あれもこれもと夢や理想を好き放題詰め込むのは、単なる大人のエゴである。

そう遠くない将来、また入試改革の議論が実施されるだろう。その際には是非、委員の方々は共通一次・センター試験・共通テストおよび各大学の二次試験を最低限解答してから議論に参加していただきたいと切に願う。

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